バルカン砲 機関砲の名称。「バルカン」はローマ神話に登場する火と鍛冶の神の名


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 6本の砲身を持つ、回転式20mm機関砲。1秒間に最大100発の砲弾を発射する。F-4、F-15、F/A-18などの航空機や、ファランクスCIWS(近接防御武器システム)、VADS(Valcan Air Defense Systemバルカン防空システム)などに使用されている。

  「バルカン」は20mm機関砲、開発プロジェクトの名称であったが、後に開発された砲の名称となった。
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 多数の銃身を束ねて、回転させ、高い発射速度(時間あたりの発射される弾数)を得る方式は、1862年米国のリチャード・J・ガトリングにより考案されたガトリング・ガンで実用化、南北戦争などで使用された。しかし、重く機動性を欠き、軽量な機関銃の登場により姿を消した。このアイデアを復活させたのがバルカン砲である。

 バルカン砲は、1946年開発に着手、1950年代後半、F104戦闘機に初めて搭載された。
以後、米国製戦闘・攻撃機の標準的火砲となった。派生型として口径5.56mm、7.62mm、12.7mm、25mm、30mmタイプがある。

 砲身は1.52mのクロム・モリブデン・バナジウム鋼製で、9本のライフリングが切られおり、各砲身は砲尾に、遊底(閉鎖機)および撃発装置を持つ遊底・遥底部がある。6本の砲身は、ローターに60度間隔で取付けられる。各砲身は0.75度、中心に向け傾斜しており、2箇所のクランプで束ねられる。砲自体は全長1.83m、最大外径0.34m、重量114kgと、高い発射速度の割には小型だ。

 砲の作動は、油圧・電気または空気圧などの外部動力によりローターを回転させ、カムにより装填、閉鎖、発射、開放、俳莢をおこなう。これにより毎分4000発、または6000発(最大7200発)の高い発射速度が得られる。また、6本の砲身が回転しながら、発射するため、各砲身の摩滅は少なく、砲身寿命は12000発である。



 バルカン砲は、砲弾発射時に発生する反動、ガスを作動力として利用しないため、不発弾が発生しても作動不良とならず、高い信頼性を持つ。平均故障発生率は10万発に1回とされる。
 M61の機関砲自体は共通だが、給送弾、外部動力システムおよび弾倉の収容弾数・配置は搭載する機種により異なる。

 F-104に搭載されたM61は、電気モーター駆動のため、発電能力の制約からエンジン出力95%以上でないと正規の発射速度を得られなかった。また給送弾装置にリンク方式を採用したが、高い発射速度のため、リンクの破損による作動不良や、機外に投棄されるリンクにより機体や搭載物を損傷する可能性もあり、F-4以降は油圧モーター駆動に変更、給送弾方式もリンクレス・コンベア方式のM61A1となった。

  弾倉は二重ドラムとなっており、外側ドラムの溝に砲弾底部、内側ドラム中心のらせん式階段状溝入ドラムには弾頭部分が入り、内側ドラムが回転して砲弾を機関砲に送り出す。なお、軽量タイプとしてM61A2もありF/A-18E/F、F/A-22に搭載されている。

 砲弾はリンクレス・コンベアで機関砲に送られる。砲弾が薬室に供給されると遊底が砲尾を閉鎖、撃発装置により雷管に点火、発射薬を燃焼させ、砲弾を発射する。
 砲身過熱防止のため、連続射撃時間は2秒間を限度とし、有効射程は空対空射撃ではおよそ800m、地対空射撃では約1500mである。
 使用された薬莢は薬室から排出、別系統のリンクレス・コンベアに送り出され、弾倉に戻される。

 バルカン砲は最大発射速度に達するまで約0.3秒かかる。停止には0.5秒を要し、この間、砲弾は発射されないが、砲弾は供給されるため数10発が未使用のまま弾倉に戻される。




 使用される20mm砲弾は弾体と薬莢が一体となった固定弾で、全長168mm、全体重量は約250g、弾体重量は100gである。撃発は電気式雷管により行われ、砲口速度は1030m/秒。使用される弾種にはM53(徹甲・焼夷弾)、M55A2(訓練弾)、M56A3(炸薬・焼夷弾)、PGU-28/B(半徹甲・炸薬・焼夷弾)などがあり、使用目的に応じて弾種を選択する。

 航空機搭載機関砲は空対空ミサイルの発達により実戦で使用される機会は減少しており、湾岸戦争では多国籍軍の撃墜したイラク軍機40機の内、機関砲により撃墜されたのは、A-10によるヘリコプター2機のみである。対地攻撃への使用も、敵対空砲火の射程内となるため使用される機会は少ない。

 バルカン砲運用上の制約は以下の通り。

  • 空対空射撃では有効射程が約800mと短い。
  • 20mm砲弾の破壊力不足。
  • 最大発射速度に達するまでに約0.3秒を要し、この間、弾道が安定しない。
  • 停止に約0.5秒掛り、この間、砲弾は発射されないが、砲弾は供給されるため数10発が未使用のまま弾倉に戻される。
  • 単装機関砲に比べ砲弾の収束率が悪い。
  • 発射時の反動は約2トンあり、搭載する他のシステムにも悪影響を与える。
  • 弾薬を大量に消費する。
  • 弾倉および給送弾装置は複雑でかさばる。


                 2003年11月 1日制作


性能・諸元

M61A1バルカン砲(給送弾・外部動力システムを除く)
全長:1.83m
最大外径:0.34m
口径:20mm
砲身:6
重量:114kg
発射速度:4000または6000発/毎分


参考文献

火器弾薬技術ハンドブック(改訂版)弾道学研究会編 防衛技術協会
図解エアパワー最前線上・下 原書房 著者:アンソニー・ソーンボロ 監訳者:松崎豊一
トム・クランシーの戦闘航空団解剖著者:トム・クランシー 訳:平賀秀明 新潮社
F−15イーグル 航空ジャーナル別冊 航空ジャーナル社
GUN用語事典 Turk Takano監修・編集 国際出版株式会社
U・S・ウエポン・ハンドブック 宮本勲編著 原書房
CANNONS D F Allsop  Brassey's
Jane's Air-Lunched Weapons Jane's Information Groups
Jane's Naval Weapon Systems  Jane's Information Group
The Gatling Gun 19th Century Machine Gun to 21st Century Vulcan Joseph Berk  PALADIN PRESS

RAPID FIRE The Development of Automatic Cannon, Heavy Machine Guns and their Ammunition for Armies, Navies and Air Force ANTHONY G. WILLIAMS   Airlife

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