PAC-3(パック・スリーと読む) Patoriot Advanced Capabilityの頭文字を取った造語。防衛省では「ペトリオット能力改善3型」と呼ぶ。


解説                  総合索引

 弾道ミサイルを大気圏内で迎撃する能力を持つ、発達型ペトリオット防空システム。 米国が配備を進める、弾道ミサイル防衛、終末段階(大気圏内)における迎撃を担当する。Copyright (c)2002-2005 Weapons School  All rights  reserved.
 PAC-3システムの開発は1983年に着手、ミサイルは新規開発され、爆風・破片弾頭を搭載するマルチモード・ペトリオットと、運動エネルギーを利用するERINT(エリント:Extended Range Interceptor延長射程迎撃体)の競争試作でERINTが選ばれ、2000年に初期低率量産を開始した。なお、ミサイル本体以外は、従来型ペトリオット防空システムを改良して利用する。

 PAC-3システムの開発は3段階に分けて進められ、それぞれをConfiguration(コンフィギュレーション:構成)1・2・3と呼ぶ。

  • Configuration1  1995年配備開始
    レーダー処理装置、ECS(射撃管制装置)・ICC(情報調整装置)など戦闘管理、指揮・統制、通信機能の改良。
    ミサイル本体はPAC-2またはPAC-2GEMを使用する。

  • Configuration2  1996年配備開始
    目標探知・識別能力の向上。
    対レーダー・ミサイル対処能力向上。

    Link16データ通信装置の追加。

  • Configuration3  2000年配備開始
    レーダーの進行波管を2基装備して、探知距離を延ばし、角度分解性能を向上させた。
    弾道ミサイル発射地点を特定可能に。
    新型PAC-3ミサイルも使用可能となる。
    発射機は最大30km離して設置可能。


 
 PAC-3ミサイルは、目標に体当たりして破壊するhit-to-kill方式を採用している。従来型ペトリオット・ミサイルに比べ、全長は5.2mとほぼ同じだが、弾体直径は0.25mと細身で、重量もおよそ4分の1の315kgとなっている。このため従来型ペトリオット・コンテナー1基に、4発のPAC-3ミサイルを収納、対処できる目標数も増える。ただし、ロケット・モーターも細身になるため、射程は20kmと従来型の3分の1以下となる。Copyright (c)2002-2005 Weapons School  All rights  reserved.

 PAC‐3ミサイルの構造は大きく6つ部分により構成される。

 先端はレドームで、Kaバンド(35GHz帯)アクティブ・パルス・ドップラー・レーダー・シーカーを内蔵する。この後方は180個の小型固体推進剤ロケット・モーターを搭載する姿勢制御用サイド・スラスターで、ミサイルの機動性を向上させる。この後ろは、INS(慣性航法装置)や、自動操縦装置などを内蔵する誘導部分となっている。
 誘導部分後方は、航空機や巡航ミサイルへの殺傷力を強化する、225gのタングステン・ペレット24個を放出するリーサリティ・エンハンサー(殺傷力強化装置)を内蔵する。この後部は固体推進剤ロケット・モーターで外側に4枚の安定翼が取り付けられる。最後部にはロケット・ノズルと飛行制御装置を内蔵、外側に4枚の操舵翼を装着する。
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 発射されたPAC-3ミサイルは事前に指示されたコースを飛行、必要に応じて射撃管制装置ECSから飛行コースの修正指令を受ける。目標に接近すると、アクティブ・レーダー・シーカーを作動させ目標を捕捉する。

 レーダー・シーカーは、リーサリティ・エンハンサー放出時期を決定する近接信管の役割も兼ねており、ミサイルの運動エネルギーだけでなく、タングステン・ペレットを放出して航空機や巡航ミサイルの迎撃確率を高める。

         

 PAC-3システムは、既にペトリオット防空システムを採用している国も、弾道ミサイル防衛用として導入を検討しており、日本も導入を決定している。

 PAC-3の改良は現在も進行中で、ロケット・モーターの直径を25.5cmから27.9cmに大径化、安定翼も大型化し、射程を最大50パーセント増大、機動性も改良したPAC-3 MSE(Missile Segment Enhancement:ミサイル部分強化)は、米、独、伊共同開発中のMEADS(Medium Extended Air Defense System:中間拡張防空システム)のミサイルとしても使用される予定だ。また、米軍では、F-15C戦闘機に搭載する空中発射型や、イージス艦に搭載する海上配備型も検討されている。

                                                 2007年6月16日 改訂


性能・諸元

PAC-3ミサイル
全  長:5.2m
翼  幅:0.48m
弾体直径:0.25m
重  量:315kg
最大射程:20km
最大射高:15000m
最低射高:50m
メーカー:ロッキード・マーチン社他


参考文献

空自ペトリオットPAC−3実戦配備 石川潤一 軍事研究 2007年7月号 (株)ジャパン・ミリタリー・レビュー
進化型地対空誘導弾「ペトリオット」の実力  丸 2001年9月号 潮書房
防衛白書 平成16年版 防衛庁
AMD systems rise to the challenge Janssen Lok Jane's INTERNATIONAL DEFENSE REVIEW March 2004
Jane's Information Group
Field M
anual No.3-01.11 Air Defense Artillery Reference Handbook U.S Army
Field Manual No.3-01.85 PATRIOT BATTALION AND BATTERY OPERATIONS U.S Army
Jane's LAND-BASED AIR DEFENCE 2001-2002 Jane's Information Group
Jane's STRATEGIC WEAPON SYSTEMS ISSUE THIRTY-NINE Jane's Information Group
Lockheed Martin社ホームページ
Missile Defense Agencyホームページ
Raytheon社ホームページ

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