MOP モップと読む。 Massive Ordnance Penetratorの頭文字を取った略語。直訳すれば巨大貫通兵器。


解説                                         総合索引

 GPS誘導の超大型貫通爆弾。従来の「バンカーバスター」と呼ばれる貫通爆弾では対処できない、ぶ厚い鉄筋コンクリートで保護された指揮・統制、大量破壊兵器製造・貯蔵施設、またはミサイル関連施設の破壊を目的とする。制式名称はGBU-57/B。
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 MOPは、米空軍および国防脅威削減局が、ボーイング社を主契約者として、2004年に開発に着手した。現在、各種試験を行っており、2010年夏の実用化を予定している。

 MOPは、全長6.2m、弾体直径0.8m、総重量約13・5トンと、米空軍の保有する通常兵器の中で、最も重量のある兵器だ。貫通力は、貫通爆弾BLU-109の約30倍、湾岸戦争で話題となったBLU-113の約9倍で、厚さ60mの鉄筋コンクリートも貫通可能とされる。

           

 MOPの構造に付いては、米空軍からの公開情報は少なく、以下はWeapons Schoolの推測である。

 MOPの構造は、弾頭部分および誘導・飛行制御部分に区分される。
 弾頭部分は、弾着時の強烈な衝撃に耐えるため、ES(Eglin Steel)-1と呼ばれる高強度鋼を鍛造して作られている。
 内部には、弾着時の衝撃にも起爆しない、低感度爆薬AFX-757が約2.5トン充填されている。総重量に占める爆薬の割合は、18.5%と、通常爆弾の半分以下となっている。これは弾頭が弾着時に破壊・変形しない様、肉厚に作られているためである。
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 AFX-757は、RDXに結合剤として末端水酸基ポリブタジェン、酸化剤として過塩素酸アンモニウム、燃料としてアルミニウム等を加えた爆薬で、衝撃波の持続時間が長く、燃焼温度も高いため、トンネルなどの攻撃には最適の爆薬である。また、運搬・保管中の事故・火災に対しても安全性が高い。後部には、HTSF(硬化目標スマート信管)が取り付けられ、目標内部の階数を数え指定された場所で起爆することも可能だ。外部には4枚の安定翼を装着する。

 弾頭部分後方は、誘導・飛行制御部分となっており、精度の高いDGPS(差動型全地球測位システム)と、INS(慣性航法装置)などの誘導装置、および飛行制御装置を内蔵する。外部には格子状の操舵翼を4枚装着しており、投下後展開される。
 格子状の操舵翼は、従来型に比べ小型ながら大きな操舵力を持ち、作動に必要な動力および操舵角も少ないなどの利点を有し、MOABにも採用されている。   


       
 MOPは、B−52またはB−2爆撃機の機内爆弾倉に搭載可能で、重力加速度を利用するため、高度約1万メートルから投下される。投下後はDGPS、INSにより自律して目標に誘導され、CEP(半数必中界)は2m以内である。弾着後、地下数十メートルに到達、起爆して施設を破壊する。

 MOPの貫通力は、5000psi(ポンド/平方インチ)の強度を有する鉄筋コンクリートでは60m、10000psiの鉄筋コンクリートでは8m貫通可能とされる。
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【捕捉】 コンクリートの強度に付いて

一般の分譲マンションに、使用されるコンクリートの圧縮強度は、2845〜4694psi(20〜33N/mm2)程度である。
10000psiを(70N/mm2)超えるコンクリートは、超高層マンション基礎部分の柱等に使用されている。


  注意:数値は概算である。


 従来の貫通爆弾に比べ、驚異的な貫通力を有するMOPではあるが、運用上の課題を以下に挙げる。

  • 地下数百メートルに建設された施設には威力不足である。
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  • 地下施設の攻撃には、目標の正確な位置・構造情報の入手が不可欠である。

  • 正確な目標情報は、偵察衛星のみでは入手困難であり、関係者に接触して情報を得なければならない。しかし、こうした情報の入手は非常に困難である。

 MOPを使用しても、効果を期待できない地下施設の破壊には、B61-11等の核兵器を使用せざるを得ないのが現状である。

                                                    作成2009年11月24日制作


性能・諸元

GBU-57/B
全    長:6.2m
弾体直径:0.8m
重   量:約13.5トン
炸薬重量:約2.5トン

誘導方式:DGPS・INS


参考文献

建築構造設計基準 構造計算指針(案) 2000年3月(社)日本建築構造技術者協会
財団法人 国土技術研究センターホームページ
30,000-pound bomb reaches milestone  12/27/2007 U.S.Air Force News
B-2, MOP, a devastating combo 12/21/2007  U.S.Air Force News
BLU-122 Warhead Program Precision Strike Technology Symposium 19 Oct 2005 Maj Mike Lauden BLU-122 Program Manager

Boeing-Developed Massive Ordnance Penetrator Successfully Completes Static Lethality Test March 26, 2007 Boeing社ホームページ
Defense Threat Reduction Agencyホームページ
DOD official: New bomb has 'important capability' by Gerry J. Gilmore 10/9/2009 American Forces Press Service 
Dynetics Playing Key Role in Massive Ordnance Penetrator Developmentby Mike Landers Volume 17 Issue 1 In Focus Dynetics Inc
Insensitive Enhanced Blast Formulations P.Chabin他 EURENCO
FACILITY NEUTRALIZATION INTEGRATING CONCEPT U.S.Air Force Fact Sheet
Jane's Air-Lunched Weapons Issue Forty-nine Jane's Information Groups
Senator Feinstein Argues Against Reopening Nuclear Door June 30, 2005 U.S. Senator Dianne Feinsteinホームページ
Nuclear family planning: fewer, smaller and safer warheads for future generation  BY BILL SWEETMAN
Jane's INTERNATIONAL DEFENCE REVIEW JANUARY 2006


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