(日本版)BMD Ballistic Missile Defenseの頭文字を取った略語。直訳すれば弾道ミサイル防衛。


解説                                        総合索引

 日本に向け、発射された短・中距離弾道ミサイルを迎撃する防衛システム。
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 わが国の採用する、弾道ミサイル防衛システムは、米国が開発・配備を進めているBMD(弾道ミサイル防衛)の、縮小版とも言うべき内容で、大気圏外(上層)、および大気圏内(下層)の、2段構えで迎撃をする多層防衛システムである。
 
1995年より、弾道ミサイル防衛の検討に着手し、2012年3月(平成23年度)までに配備を完了する予定である。

 弾道ミサイル防衛に使用される主なシステムを以下に挙げる。
  • イージス艦

    イージス・システムを搭載した護衛艦4隻を配備する。艦艇の持つ機動性を生かし、日本海に展開、3段式迎撃ミサイルSM-3を使用して、高度約90km以上の大気圏外(上層)、中間コース段階での迎撃を担当する。米国が開発中のイージスBMDと、ほぼ同等の能力を有する。


  • PAC-3

    ペトリオット・システムを改良し、新型ミサイルPAC-3「ペトリオット能力改善3型」を装備する16個 高射隊(Fire Unit)を配備する。PAC-3は、高度15km以下、大気圏内(下層)、終末段階における迎撃を担当する。




  • 地上配備型(警戒管制)レーダー

    弾道ミサイルの発射監視、識別、追尾、迎撃効果判定を行う、地上配備 長距離レーダー。

    通称「ガメラ・レーダー」と呼ばれる新型、警戒管制レーダー
    J/FPS−5を4基、既に配備されている固定式3次元レーダーJ/FPS−3の改良型を7基配備する。

    この他、弾道ミサイル発射監視用として、米軍が運用するDSP(防衛支援計画)など、早期警戒衛星からの情報や、青森県の航空自衛隊 車力分屯基地に、米軍が配備しているAN/TPY-2前方展開X波長帯レーダーからの情報を利用する可能性もある。


  • 統合指揮・統制・通信システム

    弾道ミサイル防衛の頭脳および中枢神経。従来の陸上・海上・航空自衛隊などの区分に捕らわれる事無く、各種センサーからの情報を一元処理し、状況をリアルタイムで把握、迎撃システムの割り当てなどを行う。

    航空自衛隊の運用する防空システムBADGE(Base Air Defense Ground Environment:自動警戒管制組織)の機能を大幅に向上させ、弾道ミサイル防衛も実施可能としたJADGE(Japan Aerospace Defense Ground Environment:自動警戒管制システム)により地上配備レーダーの他、イージス艦からの目標情報も、データ・リンクにより一元化処理し、リアルタイムで状況把握、指揮・統制、通信などを行う
    統合運用システムである。



 日本は北朝鮮、中国、ロシアの弾道ミサイルの射程圏内にある。政府は、弾道ミサイルを、日本に向け発射する可能性のある国を、具体的に挙げていない。しかし、可能性があるのは、北朝鮮で、使用される弾道ミサイルは、ノドンであると推測する。

 その理由は最大射程が1300kmと、沖縄などの南西諸島を除く、ほぼ日本全土を射程内に収めること。パキスタンやイランなどでの、ノドンもしくは、その派生型弾道ミサイルの発射試験により、実用段階にあると考えられるためである。これに対し、テポドン1・2については、発射が1〜2回しか実施されておらず、実用性には疑問点が多い。

 ノドンは発射されると、ロケット推進装置により約2分間加速した後、再突入体(弾頭)を分離、以後は、惰性で大気圏外を弾道コースで飛翔する。最高高度は200kmを越え、大気圏再突入時の速度は秒速3km(音速の約8.8倍)以上となり、発射から着弾までの時間は約10分である。

 弾道ミサイルの発射を地上配備型レーダー、イージス艦などで探知すると、JBADGEシステムを通じて、PAC-3を装備するペトリオット部隊にも、目標情報、および迎撃命令が伝達される。


 イージス艦はSM-3により高度90km以上の大気圏外(上層)で迎撃する。これを逃れ、大気圏内(下層)に突入した場合は、PAC-3が高度15km以下で迎撃する。


 日本の弾道ミサイル迎撃システムの問題点を以下に挙げる。

  • 弾道ミサイルの発射を早期に探知する、赤外線早期警戒衛星を保有してない。このため貴重な対処時間が減少する。米国の保有する早期警戒衛星から弾道ミサイル発射情報を入手することも可能ではあるが、常に情報提供を期待できるとは限らない。

  • 弾道ミサイル、大気圏再突入後の終末段階、高度15km〜90kmまでの間、有効な迎撃システムが存在しない。
    米国の弾道ミサイル防衛では、GMD(地上配備中間コース防衛)による大気圏外での迎撃と、高度40〜150kmの間はTHAADを攻撃予想地域に配備することも可能なため迎撃率も向上する。

                                                  2010年8月16日改訂

参考文献

自衛隊装備年鑑2010 朝雲新聞社

弾道ミサイル防衛(BMD)と日米同盟 神保謙 日本国際問題研究所
平成21年度版 防衛白書 日本の防衛 防衛省
防衛省ホームページ
ミサイル入門教室ホームページ
TMD 戦域弾道ミサイル防衛 山下正光・高井晉・岩田修一郎 TBSブリタニカ

Jane's LAND-BASED AIR DEFENCE 2001-2002 Jane's Information Group
Jane's RADAR AND ELECTRONIC WARFARE SYSTEMS 1999-2000 Jane's Information Group
Jane's STRATEGIC WEAPON SYSTEMS ISSUE THIRTY-NINE Jane's Information Group

Japan's BMD February,2009 Ministry of Defense,Japan

Missile Defense Agencyホームページ

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