ATACMS エィタクムスと読む。Army Tactical Missile Systemを組み合わせた造語。 日本語に訳せば陸軍戦術ミサイル・システム。


解説                   総合索引

 MLRSから発射される長距離 大型 地対地ミサイル。 制式名称、M39(MGM-140) ATACMS。 米陸軍の要求により1985年開発に着手、1991年より量産を開始した。米国のほかギリシア、トルコ、バーレーン、韓国などでも採用されている。 (c)2002-08Weapons School  All rights reserved.
 ATACMSは敵指揮・通信施設、ミサイル発射機、補給物資集積場などの目標に対し、夜間・悪天候時でも、短い所要時間で攻撃可能だ。
  攻撃ヘリコプター以外、100km以上の遠距離目標を攻撃する兵器を持たなかった米陸軍は、ATACMS導入により自前の遠距離対地攻撃能力を手に入れた。

 湾岸戦争では、部隊配備開始、間もないATACMSが投入され、イラク軍地対空ミサイル陣地などに32発を発射した。また「イラクの自由作戦」では450発以上使用された。

 ATACMSは、
M26ロケット弾6発を収納するLP(発射ポッド)と同じサイズの、GMLA(Guided Missile Launching Assembly誘導ミサイル発射アセンブリー)に1発のミサイルを収納、GMLAの総重量は2095kgである。敵の偵察・監視網を混乱させるため、外観上は100m以内に近づかないと、LPと区別できないようプラスティック・パネルが取り付けられる。
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 ATACMSの構造は4つに区分される。先端部分には慣性誘導装置、自動操縦装置などの誘導・制御部分を搭載する。ブロックIA以降は攻撃精度向上のため、GPS(全地球測位システム)を追加、最新型のM57ではCEP(半数必中界)は9m以下である。

 誘導・制御部分後方は、M74対人・対物子弾950個を搭載する弾頭部分だ。ブロックIIでは対装甲車輌攻撃用BATを搭載する。
また、周辺部への被害を減少させるため、多数の子弾ではなく、対艦ミサイル、ハープーンの単一弾頭WDU-18/B(重量222kg)またはSLAM-ERの単一弾頭WDU-40/B(重量:247kg)を使用するタイプも開発された。

 弾頭部分後方は、固体推進薬ロケット・モーターである。最後部はロケット・ノズルと飛行制御装置が内蔵され、外側に折りたたみ式の操舵翼が4枚取り付けられる。


 ATACMSの発射には、強烈な噴射炎から車体を守るため耐熱パネルを装着、FCS(射撃統制装置)等を改良したM270A1、もしくはHIMARS(高機動砲兵ロケットシステム)を使用する。

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 ATACMSは、M26ロケット弾の様に弾道飛行するのではなく、発射後、展開される操舵翼を作動させ、指定された目標に向け飛行経路を変更する。目標地点上空でM74子弾を放出、広範囲を一気に制圧する。

ATACMSの主なタイプは以下の通り。

タイプ M39
ブロックI
M39A1
ブロックIA
M39A3
ブロックII
M48
QRU
M57
T2K
弾 頭 M74子弾
950個
M74子弾
300個
BAT13発 WDU-18/B
WDU-40/B
単一弾頭
WDU-18/B
WDU-40/B推定
単一弾頭
目 標 対人・対物 装甲車輌 対人・対物 対人・対物
誘導方式 慣性誘導 慣性誘導+GPS  ←
射程km 25〜165 70〜300 35〜145 70〜270 70〜270
備 考 ATACMS基本型 子弾を減らして、射程を伸ばす
GPS追加
生産中止 周辺部への被害を減少させる単一弾頭を搭載 弾着角度をほぼ垂直にして都市部、山岳地帯でも使用可能


 長い射程と、強力な破壊力をもつATACMSだが、使用に当たっては以下の配慮を必要とする。

  • M74子弾を使用する場合、不発弾は友軍地上部隊進撃の妨げとなり、非戦闘員にも被害を与える可能性がある。
  • 射程100km以上のため、目標補足・識別には、陸軍の偵察部隊だけでなく、JSTARS(統合監視・補足レーダー・システム)やUAV(無人偵察機)などからの目標データー提供が欠かせない。
  • ブロックI/IAでは目標位置精度は、150m以下でないと小弾効果は大幅に減少する。
  • 射程100km以上のため、ミサイルの飛行経路および目標地域上空に、友軍機や民間機など入り込まないよう事前調整が必要。

 ATACMSはアパッチ攻撃ヘリと共に、米陸軍の遠距離攻撃兵器として活躍を期待されている。
 
                      2008年9月 4日改訂


性能・諸元

M39Army Tactical Missile System ブロックT
全長:3.98m
弾体直径:0.607m
最大射程:165km
弾体 重量:1674kg
搭載子弾:M74対人・対物子弾950個
誘導方式:慣性誘導


参考文献

パワーアップするMLRS 軍事情報研究会   雑誌 軍事研究 ジャパンミリタリーレビュー社
湾岸戦争に学ぶ 現代軍事作戦&テクノロジーVol.16 軍事情報調査会 雑誌 軍事研究 99年11月号 ジャパンミリタリーレビュー社
ATACMS 永澤武壽   雑誌 軍事研究 98年2月号 ジャパンミリタリーレビュー社
FIELD MANUALNO. 6-60 Tactics, Techniques, and Procedures for MULTIPLE LAUNCH ROCKET SYSTEM (MLRS) OPERATIONS U.S Army
Jane's AMMUNITION HANDBOOK 1997−98 Terry J Gander      Jane's Information Group
Jane's  ARMOUR AND ARTILLERY 1997−98 Christopher F Foss    Jane's Information Group
J
ane's STRATEGIC WEAPON SYSTEMS ISSUE THIRTY-SEVEN Jane's Information Group
Lockheed Martin社ホームページ
MLRS modes multiply to suit modern warfare Rupert Pengelley Jane's INTERNATIONAL DEFENSE REVIEW July 2004 Jane's Information Group
Precision Guided Missiles and Rockets Program Review LTC Mark Pincoski U.S Army
Special Text 6-60-30The Army Tactical Missile System (Army TACMS) Family of Munitions (AFOM)U.S Army
U.S Armyホームページ

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