デジャ・ヴュ01〜伊集院警部補の憂鬱〜
のりこの私的解釈

私なりの解釈であって、本当のところ観劇中に見落とした役者さんの表情や、聞き漏らした台詞があったかもしれません。また、演出意図を全く違った感じ方をしたかもしれません。ま、21回も観てれば大体の台詞も覚えるっちゅーねん。ドリーム娘なんて、振りつきで歌えるわ。(苦笑)私のたいして良くもない頭で考えた事なので、正解ではありません。正解は鴻上さんの頭の中にしか無いかもしれない。いや、鴻上さんの中に正解があるかどうかもわからない。この作品は理解したかどうかでなく、どう感じたかだと思うのですがね。
ひとつだけ先に断っておきたいのは、感じ方や考え方はそれぞれの人によって違うと言う事。自分の解釈と比べて「こんな風に取る人もいるのね」程度に思っていただければと思います。

秋田の部屋
新種のコンピューターウィルス『ブラックキューブ』を全世界にばらまく。その後、カラフルな色の錠剤の瓶を手に取る。そして何粒か一緒に飲み込む。
暗転。北林がドアの外から秋田を訪ねる。秋田が死んだのではないかと思ったという北林に向かって秋田は「当たってますよ」と言う。驚く北林。「さようなら」と秋田。それを引き止めようとする北林。
電子音が鳴り響いた後、北林は言う。「いってらっしゃい」
まず、この冒頭シーン。
最初に言ってしまえば、秋田の言った「さようなら」とは、出世しながら生きる伊集院に対しての言葉。そして「いってらっしゃい」は『秋田を殺害した』北林が『新しい物語への扉を開き、歩き出した秋田』へ言った言葉。夢売りのドラッグを飲み込んだ秋田は、夢の世界を生き、死んだフリをし続けるという事だと思った。
オープニング
音楽とともに暗転した舞台にピンスポットが当たる。そこに立っていたのは伊集院。出演者が交錯する中、なつみから逃れようとしたり、秋田から逃れようとしたり。最後、残った伊集院と秋田。秋田は伊集院を見続け、伊集院は振り向き秋田を見る。そして2人同時に走り出し、舞台中央ですれ違う。
このオープニングはマジでカッコよかったね。意味があるんだろうなーと思ってはいたんですけどね。
秋田は、伊集院に側にいて欲しかったんじゃなかったのかな?一緒にいたかったんじゃないのかな?とか思いました。
秋田の部屋
警察官である不二子が、第一発見者の北林に事情聴取をしている。
言葉じりを持ち上げては、伊集院は「犬夜叉」だの「卓球の愛ちゃん」だの「山本●二」だの「パラパラおばあちゃん」だのに変装して出て来る。秋田は秋田で死体役も大変なんだから早く話しを進めろと起き出す。
私は夢の中だと思いました。誰の夢なんだろう…?
激動の幕末
坂本竜馬になった秋田。その仲間の北林。その妻の不二子。そして新撰組に狙われる。伊集院やマミも出てきて、坂本を斬ろうとする。そこへ来た、オクラホマ出身の外人役のUK。斬ろうとする伊集院。止める秋田。が、秋田はUKに撃たれてしまう。
これは完璧に夢ですね。UKの夢かな?とか思ったんですが、いかがでしょう?
秋田の部屋
またしても事情聴取がくり返される。が、なぜか先の事を知っているかのような会話。登場する伊集院。これは芝居なんだからと開き直り、秋田を起こして誰が犯人かを聞き出そうとしたりする。
そこへ登場するマミ。伊集院とラブラブでイチャイチャである。そんな2人を不二子は撃とうとする。が、そこへ颯爽となつみが現れ、不二子から拳銃を取り上げるとマミに向かって発砲。しかし、空砲だった。
なつみは伊集院に子供ができたと言い、マミと不二子は同棲している相手がいた事を伊集院に問いつめる。そんな所から本庁からの連絡を口実に逃れる伊集院。
ここで恋の4角関係が発覚。芝居なんだからと開き直った作り…これも夢だったらどうします?(爆)
東京タワー
秋田はリーダー、北林は仲間。
今生きている世界は作り物で、もう一つの世界は別のカタチで別の場所に存在しているかもしれない。どこかに「新しい物語」が存在している。そう言う秋田は、アメリカ大統領(UK)を呼び出し、月に連れて行けと言う。天に神は居ないかもしれないが、私は見ていない。それを確かめると言う。そんな時、突然現われた伊集院は「あの女も連れて行くのか?」と。仲間を抜け逃げ出した伊集院。が、その時、秋田はUKに撃たれる。
これで思ったのが、伊集院と秋田は親友だった(と、思うんだよね)のに仲違いと言うか、離れる事になったのは夏美の存在があったからではないか?と言う事。それさえ無ければ親友同士でいられたのに。親友同士でいたかったんだろうなと言う事。
北林は、夢を語る秋田に希望をもたらされたはずだった。しかし、新しい物語を確かめに行く旅に北林はついて行けなかった。そうではない所へ行くはずだった。すがりついたはずだったが、秋田は北林を気にもとめていなかった。と言うか、気付かないフリをしていたのかな。
そしてこれも、UKの夢だと思うんだな。
警察署内
不二子が伊集院に検死の結果を報告している。分析不能の錠剤の中に1錠だけ毒薬が入っていたが、体内には毒が残っていなかった。体内には銃弾が3発あったが、撃たれた傷は無かった。首には錯状痕があったが、窒息した形跡はみられなかった。死因はショック死。
頭を抱える伊集院に、不二子は自分が調べた事を語り出した。大学時代「チョコエッグ研究会」と「非合法組織ブラックキューブ」の創立メンバーであった伊集院と秋田。その後輩だった北林。大学卒業後、秋田は引き蘢り、北林はマンションの管理人として秋田の様子を見ていた事が判明。そして夏美は秋田の元カノだった。そんな居心地の悪い中、記者会見のシナリオ作りを不二子に押し付け、帰ろうとした伊集院の前に、マミが現われた。夢売り01と02を連れて。夢を見るためのドラッグを買った伊集院は、1人でシナリオを考えながら秋田を思う。
ここで伊集院と秋田、北林の人間関係がはっきりとした。後に全て判明する謎もちりばめられてますね。
素敵な愛〜梅コース〜
メル友としてユリと知り合い、デートの約束をする。順調に楽しいデートをしていたはずが、そこへ夏美が乗り込んで来る。そしてユリだと思っていた女性はマミだった。そして2人に責められ、取り合いされる伊集院。しかし、子供を作る気も結婚する気も無いと宣言。そんな伊集院に夏美は子供が産まれたと言い出す。そこから逃げ出す伊集院。
これはねー…伊集院の夢なんだけどね。根本的にどっちかを選べば素敵な愛として終わるはずだったと思うの。伊集院の実生活もそうなんだろうけど。どっちつかずのままだから大変なのよって事ですかね。
素敵な愛〜梅コース〜の続き
夏美とマミから逃れた伊集院のもとへ不二子が来る。秋田の遺書を見つけたり、記者会見のシナリオを考えたり、ハラマキを作って来たりと、伊集院の役に立とうと努力する不二子。
そんな不二子に伊集院はプロポーズ。
これは、不二子の夢が入ったため、不二子に都合良く進んで行きましたね。
夢が醒めた後
デジャ・ヴュだらけで進む。伊集院のもとにマミが来て、もっと楽しい夢を一緒に観ようと言う。そこへ子供(人形)を抱いた夏美が来る。結婚を迫る夏美とマミで伊集院を取り合い。それを振払い、不二子が見つけたと言う秋田の遺書を4人で読む。
そのうち、その世界に入っていく4人。夢売りUKが秋田の前に現れ、秋田に「アナタは死んでいる」と言う。そして夢売りのビルへ連れ出す。4人もUKに促され、熱にうかされたような足取りで向かう。北林も何か考えながらも続く。
素敵な愛〜竹コース〜
ドラマ「ストロベリー・オン・ザ・ショートケーキ」のパロディー。タッキー役は秋田。深きょん役はUK。
が、途中からいつのまにやらUKは夏美に。夏美は浮気しているのを知っていても何も言わない秋田に言う。「いってらっしゃい」
夏美は、秋田が女より重要だと思っているらしい『新しい物語』へ行く道を探っているのを知っていた。そんな秋田よりも伊集院を選んだ。夢の中ではハッピーエンドっぽかったけど。実際は秋田と付き合っていた夏美は後に伊集院と同棲してるんだから、そうでしょう。と思う。(弱気)
夢が醒めた後
北林が走り込んで来る。が、北林の言葉に秋田は答えない。秋田は死んでいると指摘するUK。北林は走り出して行く。
北林の行った方を見ながら秋田は何かを思い、UKに「新しい宗教を作りたい」と言う。
北林は、夢の世界だけで生きようとする秋田の目を醒まそうとするんだけど、秋田はそんなふうにすがりつく北林の希望通りには生きられないからと、対話を拒んだんだろうなーと。
暗闇
伊集院と不二子がビルの中で迷う。そして伊集院が不二子に夢を聞く。「俺と一緒になることか?」と聞く伊集院に、不二子はニヤつきながらも「違います」と答える。安心する伊集院。伊集院の夢は寿司を腹いっぱい食べる事だと言う。それを聞いてホッとする不二子。
これは、夢?な気がするんだよね。不二子の夢。自分の夢は、伊集院と結婚する事。(だと思うんだよ。素敵な愛〜梅コース〜では結局プロポーズまでこぎつけたし)伊集院の夢が家庭だったり女だったりするより、まぐろやフカヒレが水槽で泳ぐ寿司屋で腹いっぱい食べる事の方が安心だもんね。多少ホッとしたかったのかもしれないな、不二子さん。
理想の教室〜竹コース〜
映画「バトル・ロワイヤル」のパロディー。教員免許を持っている北林は、教師役。
UK演じる生徒が全員を皆殺しにし、北林だけが生き残ってしまう。そして、ゲーム開始のボタンを押す事を委ねられる。ボタンを押せない北林。が、起き上がった生徒達に撃たれてしまう。
これはUKの夢に北林や他のみんなを引きずり込んだんじゃないかな。ここで、秋田はUKに撃たれた。3度目だ。身体の中の銃弾3発は、UKによって夢の中で体内に入れられたっちゅー事ですわね。
あとね、北林は自分から何かを始められないという事を印象付けられました。
夢から醒めた後
もう帰ると言った北林に向かって、伊集院は急に警部補の顔になる。が、北林への呼び方は学生時代と変わらない「やっしー」という愛称。
伊集院の出世を嫌味ったらしく褒めたたえる北林。「途中で降りた人の気持ちなんてわからない」その言葉に「貴様ー!」と怒りを隠さない伊集院。
2人の間には何らかの確執があったのではないかと思う。秋田と伊集院が決別した後から、北林の伊集院への憎しみが生まれたのではないかな?親友を失った秋田は、「北林の希望」へ向かって歩く事をやめてしまったのではないか?という事。すっげー逆恨みっぽいけどね。(苦笑)
新しい宗教〜松コース〜
教祖(秋田)は信者たちに、宗教にあるはずのお布施や教え、救いなど無いと言い放つ。それに対し、すがり、救いを求める信者たちは教祖に追い縋ろうとする。
そこへ北林が駆け込んで来て、秋田を守ろうとする。が、秋田は「私が言っているのは、今お前がしている事なんだ!」と言う。
秋田はすがりついて来る北林を少し疎ましく思っていたのかもしれない。自分にすがりつかずに、自分の足で自分の道を歩いて欲しかったのかもしれない。でも、それはできる事なのか、それを試したのではなかったのか?
夢から醒めた後
UKは「新しい宗教は無理だった」と秋田に謝る。しかし秋田は「わかっていた事だ」と。
秋田はUKに「未来の夢」が見たいと頼む。が、UKは自分が何百回と実験のために夢を見たと言う。その結果、どんな体験もかつて経験したもののようにしか思えなくなってしまった。それでも見たいかと念を押す。が、秋田は未来の夢を見る事を選ぶ。
ここでUKの過去が明らかになりましたね。ただ、どうして秋田に夢を売ろうとしたのかはわからんのですよ。あと、激動の幕末とか東京タワーとか、バトルロワイヤルもUKの夢だったと私は理解したのね。そしたら、全て最後に秋田はUKに撃たれている。これがナゼなんだろうか…。死んでいる人なら殺しても良いと思ったのだろうか…?
ドリーム娘解散ライブ
不二子、夏美、マミがアイドルグループを解散。結婚について夢を語り合う。
アイドルをやめ、他の男と結婚する道を選んだマミ。
それを見た夏美は、どんな男が相手でも満たされないかもしれない自分に気付き、伊集院とは別れる決意をする。
そして不二子は、伊集院と、そのそばで見ている自分をただ見続けたいという夢を口にする。
何も考えていないマミが、一番自分の幸せについて考えていたって事だね。夏美は、どんな男でもダメだと言う。彼女の場合はずっと言っていた「子供」になら満たされるのだろうか。だったら、子供は作らないと公言している伊集院と一緒いても自分が満たされないのなら、さっさと別れた方が良いのだろう。そして、不二子は「安易な結婚願望など無い、仕事もある」と言ったが、本心なのだろうか…。
未来の夢
愛も宗教も物語さえも手放した人間たち。伊集院はいまだ警部補。上層部には批判的。そして仕事のサポートをする不二子。
反乱罪として秋田が連れて来られる。秋田の名を見て、はっとする伊集院。なんとか動機を知ろうとするが、秋田は答えない。
そこへ売春容疑のマミや、新興宗教の信者の夏美が連れて来られる。その2人は、終身刑に処される。死刑と同じだと言う伊集院。
伊集院の叫びに答えない秋田。答えなければ死刑になるのに良いのか?と。そんな時、北林が駆け込んで来て、銃口を伊集院に向ける。が、発砲する前に警官に射殺される。それを見た秋田に向かって、伊集院は微笑みながら「知り合いですか?」と聞く。伊集院は、北林の遺体を片付ける警官を「こいつらには生まれつき感情が無い」と秋田に言う。
そこへUKが出て来る。時間の止まった伊集院と不二子。UKは「これが未来だが、夢は所詮疑似体験に過ぎない」と秋田に言う。そして秋田のコンピューターウィルスを使えば、新しい世界への扉が開くかもしれないと。未来を変えられるかもしれないと。それを秋田に告げるため来たと。
少しでも普通の人と違う人は捕まり、終身刑になると言う世界。北林は殺されるは、それを見ていた伊集院はたいして動揺もしないは(動揺したが、必死で取り繕った)秋田は信じられないといった面持ち。そりゃそうだろうよ。そんな未来は嫌だと思うだろうな、普通。
そしてUKの目的も明らかに。コンピューターウィルスが目的だった。UKは、何百と見た夢により、未来を垣間見たのかもしれない。それを変えるために、秋田に救いを求めたのかもしれない。
未来の夢の続き
取り調べが終わり、連れて行かれる秋田を伊集院が呼び止めた。「もし、死刑にならずに出て来る事ができたら、今度こそ何をしますか?」「もう一度同じ事を」と答える秋田。
秋田が連れて行かれた後、ドアを見ながら呆然とする伊集院。泣きそうになるのをガマンしつつ、不二子に音楽をかけさせる。音楽によって明るく振る舞う伊集院。それに合わせつつもつらそうに見ている不二子。
そして不二子は銃口を伊集院に向け発砲する。自分の悲しみを自分で片付けられない男達は、女をあてにしてばかりいる。が、女はその悲しみを引き受けられない。それでも女たちは男たちを待っている。一体いつまで女を待たせるのかと、涙ながらに語る。
これは、不二子の夢?私も友達に言われてそうかも…と思ったんだけどね。やっぱり、不二子は伊集院と結婚したかったんだろうな。ずっと伊集院を待っていたんだろうな。でも、甘えるだけ甘えるのに自分の所に帰ってきてくれるわけでもない男。その男がどうしようもなく苦しんでいるのなら、それを自分はどうにもできないのなら。結局は殺して楽にしてあげたかったのかな。これも愛のカタチなのか。
秋田の部屋
舞台中央に倒れている秋田。その横に立ち尽くす伊集院。秋田にやさしく「おきろよ」と声をかける。起き上がる秋田。
被害者も犯人も自分だと言う秋田の言葉を、伊集院は信用しない。そんな伊集院を見て秋田は「お前は狂ってない」と言う。そして、もう一度事件がおきた時と同じ状態に置いての現場検証を秋田は提案する。
暗転して冒頭の北林との会話。「いってらっしゃい」の声の後、伊集院が「ライト!」と叫ぶ。舞台右に伊集院、左に北林がロープをそれぞれ引いている。そのロープは舞台中央の秋田の首に巻かれていた。
北林は毒を仕込んだのは自分だと言う。秋田に希望をもらい、すがりつこうとした。が、秋田はそんな北林に答えてはくれなかった。秋田が北林に助けを求める事を望んでいた。が、秋田は最後まで北林に助けを求める事は無かった。
伊集院は、死んだフリをして引き蘢っている秋田を救おうとしていた。そんな時、新しい物語への扉が開こうとしていた。そして秋田は倒れた。何が起こったのかわからない伊集院。その時、伊集院の携帯が鳴る。床に投げ付ける伊集院。伊集院はあきらめず、もう一度秋田を起こそうとする。
やっとの事で起きた秋田は伊集院に「だるまさんがころんだ」と言う。この世界を後戻りさせる事なんてできっこない事を、秋田はちゃんと知っていたのではないかと言う伊集院。だからこそ踊り続けて生きて来たんじゃないかと秋田に叫ぶ。が、秋田は聞いていないふり。そこへ携帯の着メロとともにドアが開く。
「さようなら」と言う秋田に、伊集院は「すぐ戻って来る」と。出て行こうとする伊集院を、「だるまさんがころんだ」と引きと止めようとする秋田。が、泣きそうになりながらも出ていく伊集院を、がっかりした様子で見送る秋田。すぐにまた何も感じないかのような無表情で立ち尽くす。
そんな秋田を北林は笑顔で見ていた。そして、ロープを秋田の首に回す。苦しんだ秋田は、北林の顔を見た瞬間、驚いた表情。直後、脱力。そんな秋田を愛おしそうに抱きしめ、「いってらっしゃい」と言う北林。
ここで大半の謎が解明されましたね。引き蘢りの秋田を、何とかしようと伊集院は気にかけていた。しかし、伊集院には仕事がある。秋田よりも仕事がどうしても優先される。秋田は「だるまさんがころんだ」と言う言葉で伊集院を引き止めようとした。が、伊集院は心残りがあったものの行ってしまった。
伊集院が居なくなった秋田は、また元の夢の世界、引き蘢りに戻ろうとするんだろうな。そんな秋田を北林は殺害。死んでしまえば、新しい世界に行けるかもしれないからか。それとも秋田の絶望が許せなかったのか。苦しむならいっそ殺してしまえと思ったのか。「いってらっしゃい」の言葉。これに全てはあるのだろう。北林の、秋田に対する愛のカタチだったのかもしれない。
そしてこれは、北林の夢だろうか…。それとも…現実?

人々が通り過ぎて行く。そんな中、伊集院が歩いて来る。「もし、死刑にならずに出てくる事ができたら、今度こそ何をしますか?」伊集院の呟きは、叫びになる。
伊集院は小さな町の署長になり、不二子を移動して現場を離れる。そんな時、不二子は秋田の事件の時の「分析不能の錠剤」をもう一度調べたと言う。そして、その錠剤からは飴の成分しか発見されなかったと。だが伊集院は「終わった事件だ」と。
伊集院は、秋田が殺された事でずっと自分を責めていたんじゃないかな。「死刑にならずに出てくる事ができたら…」と言う言葉を、私は「もう1度やり直す事ができたら」と言う意味に取った。その言葉を呟きながら、後悔してたんじゃないかな。
不二子にとっては、伊集院の内面を垣間見た事件だっただけに忘れられなくて、一緒に仕事をしなくなっても何か役に立ちたいと思っていたんでしょうね。でも、伊集院は秋田の事は「終わった事件」と、言う。忘れたかったのかな。自分を責めていたんだとしたら。もう1度考える事を放棄して、逃げたかったんじゃないかな。伊集院は女からも逃げてばっかりだったしね。
地鳴りや、無線の通線らしき声、非常事態を連想させる音が鳴り響く。秋田が「やっと始まったか。死んだフリも楽じゃない」と言いながら起き上がる。伊集院は、そんな秋田の姿を見て驚くが、すぐに秋田に駆け寄ろうとする。
秋田は「死刑にならずに出てくる事ができたら、今度こそ何をしますか?」と、伊集院に問う。「だるまさんがころんだ」と答えようとする伊集院を制し、「もう一度同じ事を」と言う秋田。それを聞いた伊集院に笑顔が溢れる。暗転。
結局、秋田は死んだフリをしていただけで死んではいなかった。
そして、自分の生き方を悔いて、自分を責めていた伊集院は、やり直せるなら今度こそ仕事より秋田を取ろうとする。でも、秋田はやり直しても同じでかまわないと言う。伊集院の生き方を認めたって事かな。ただ、これが伊集院の夢だったら…。
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