パフォーマンスをあげよう!(基礎編A)



 深部筋肉(インナーマッスル)の中でも腸腰筋は体の中軸となるので、この筋肉が使えるかどうかでパフォーマンスは大きく変わります。腸腰筋は大きく分けて大腰筋(図−1)と腸骨筋(図−2)の二つの筋の総称です。図−1、図−2は真中の台形が骨盤、上の棒が脊柱、下の2本の棒が大腿骨として正面から見た図としています。

大腰筋は腰椎ほぼ全部から起こり(起始部)、大腿骨の小転子に付着(停止部)しています。腰椎と大腿骨をつなぐ筋肉はこの筋肉だけです。ボディバランスをとることや、捻りやうねりを引き出すためのポイントなる筋肉です。腸骨筋は骨盤上部(起始部)と大腿骨の小転子に付着(停止部)しています。この筋は骨盤と大腿骨をつなぐ筋肉として最深部で一番安定した力を発揮できます。働きは単純に大腿骨を引き上げるようなことです。腸腰筋は、このような重要な働きをするにもかかわらず意識して動かすのが非常に難しいという特性を持っています。



図−1


図−2


図−3


図−4

 腸腰筋の機能を考えれば腿上げや、大腿部が固定したような状態での骨盤の前傾をすれば働いているのではないかと思うでしょう。私も以前はそういう意識が頭の中にありましたが、アスリートサポートの田中さん(Link参照)の指摘と自ら空手を始めたことによって意識が変わってきました。

 骨盤の前傾でおきやすい症状をあげてみましょう。まず足を肩幅にとって立ち、膝を90度くらいに曲げて上体を前傾させます(図−3)。この段階は上体の前傾であり骨盤の前傾ではありません。それではこの位置で骨盤を前傾させて見ましょう(腸腰筋の癒着がひどいと、この動きはできません。後で述べます)。この時使っているのは、脊柱起立筋(脊柱に沿ってついている筋肉で上体を反らしたりするときに使う筋肉)です。骨盤の上の背骨付近を触ると緊張している筋肉がそれです。腸腰筋の働きでもこのような腰椎の前湾、骨盤の前傾が起こりますが、全く違う働きとなります。




図−5


図−6


図−7

 それでは、脊柱起立筋が主導となる骨盤前傾がどのような影響を及ぼすか確認してみましょう。まず先程の骨盤の前傾をしない状態(図−3)で踵が浮かないように注意し、膝を前方に出しながら膝を曲げて見ましょう(図−5)。この時重心が前に行き過ぎて前のめりにならないように、下に吸い込まれるようにして上体を安定させて下さい。

 次に1度体をもとに戻してから、骨盤を前傾させたポジション(図−4)から骨盤の前傾を緩めずに、同じように膝を前方に出しながら曲げてください(図−6)。このとき先程より大腿前面部の筋肉が張り、膝が曲げられなくなります。これは、腸腰筋が機能せず骨盤の安定性がなくなり、それを大腿前面筋肉で支えるブレ―キ作用を起こしています。更に今のポジション(図−6)で上体を動かさずに腿上げをしてみてください(図−7)。腸腰筋の働きである大腿を引き上げる動作ができないばかりか、大腿部に猛烈な痛みと疲労が襲ってくるでしょう。大腿直筋や大腿筋膜腸筋も骨盤につながっていますが、安定させ腿を引き上げたりする作用は低いということです。

このような状態でスポーツのプレーをすることは、ボディバランスが崩れ、しかもアウターマッスルの疲労が重なり、パフォーマンス低下の原因となります。前に動くスポーツにおいては膝を前方に出してに曲げることが基本です。膝が前に出ていないと、重心が後方にいき前方へのすばやい動きがなくなります。

これらのインナーマッスルがしっかり働くと、脊柱は相当な力を発揮します。相撲のあたりや、ラグビーのタックルなどのコンタクトに入るとき、骨盤は前傾していません。自然な湾曲の状態がインナーマッスルを働かせるのです。ただ先に述べたように、インナーマッスルを意識して動かすことは困難です。意識して動かすというより、動かさせる状況を作り出す練習がひとつのポイントになります。ちなみにプレーでいい動きをしたときは、どういう体の動きをしたか憶えていないときが多いですよね。


 腸腰筋の癒着・・・無理な動きや、日常での悪い姿勢を続けることで筋疲労を起こし大腰筋や腸骨筋との接合部などが癒着して正常に働かなくなること。癒着がひどいと図−3のような姿勢で痛みや疲労がきたり、脊柱起立筋も意識して動かせなくなります。



 腸腰筋がより簡単に動かせるようになりました! (2010/02)

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