「駅前魔法学園!!」ウェブ講座】
「BOSSデータのつくりかた」
〜キャンペーンプレイ対応〜
文・写真:桂令夫
監修・コメント:藤浪智之


写真1:レゴフィギュアを用いたBOSSエネミーとの戦いの様子

※プレイにおける立体物の使用のガイドについては、「喜劇駅前小物屋」〜小道具を使おう〜をごらんください。

●はじめに
 RPGは単発セッション(モノプレイ)も楽しいですが、キャラクターを継続して複数のセッションを続けていく「キャンペーン・プレイ」には、独特の楽しみがあります。
 プレイメンバーがそろうならば、ぜひキャンペーンシナリオをつくり、あそんでみましょう。

『駅前魔法学園!!』のキャンペーンシナリオですが、その例としては……
A:リプレイ『星降る街のマギカ』にあります。
:全2回の連続セッションが紹介されています。

B:他のRPGのキャンペーンシナリオを見て参考にすることだってできます。
:ほかのリプレイや、ネット上の動画などは大いに参考となるでしょう。

C:ゲーマーズ・フィールド誌の連載記事でも紹介されました。
:GF連載記事「すてきな魔法のつかいかた」の第7講・第8講・最終講は、全3回のシナリオフックの紹介でした。
記事リストをご参照ください。

 さて、キャンペーンシナリオをどんなストーリーにするかは、上記などを参考にしていただくとして、RPGとなれば
登場するエネミーの数値データをどうするか、どうやってバランスをとるかというのは、GM諸氏にとって悩むところでしょう。
キャンペーンとなれば、2回目、3回目に参加するPCの能力も上昇していくわけですから。

【付記:『駅前魔法学園!!』のキャンペーン・プレイ】
:キャンペーン・プレイは、同じキャラクターを使い続けるというだけで、自然に物語が積み重なっていくという面白さがあります。
「全○回」で壮大なストーリーを構成する、長編シナリオ型のキャンペーン・プレイももちろん楽しいものですが、
(上述Cの、GF誌での連載記事ではその形式を紹介しています。「異世界の妖精が現れ、故郷を助けるためのアイテム探しを依頼をされる」「妖精と共に異世界へ向かい危機を救う」「異世界の事件の影響で地球界にも異変が起き、最後の戦いに挑む」という三部構成のストーリーです)
『駅前魔法学園!!』は、壮大な物語では
ない、「日常的なキャンペーン・プレイ」も、実は向いています。
なにしろ「街になる魔法学園」が舞台で、PC全員がそれに属するという設定です。「学園からの課題(魔法実習)」という形でのシナリオをただ続けていくだけでも、十分キャンペーンになります。
魔法学園の生徒として経験を積んでいくことや、同じ街が舞台になることで、自然とドラマができていくでしょう。
(上述Aの、リプレイ『星降る街のマギカ』は、そういうスタイルのキャンペーン・プレイだといえます)

『駅前魔法学園!!』は、基本的にクライマックスのみ、1セッションに1度しか、戦闘ルールを用いた戦闘は発生しません。
(※サプリメントで導入された「クラフトマジック」形式を導入すれば、クライマックスにも戦闘は起こりませんが)
クライマックスに登場する「BOSSキャラクター」の数値のみを決めればよいのです。
(逆にいえば、そのひとつが重要であるわけですからして、バランスが大切になるわけですが)

そのようなわけで、BOSSキャラクターのデータの作り方について解説しましょう。
以下、本稿では「キャンペーン・プレイ」を意識したノウハウについて語りますが、これはもちろん単発セッションにおいて、
あなたがBOSSキャラクターを自作する上でも役に立つことでしょう。


 キャンペーンの各回BOSSデータについて配慮すべきことを列挙すると……

(1)BOSSには数値面でバリエーションを持たせよう
(2)BOSSの能力値を決めるにはPCを見よう
(3)BOSSのヒットポイントは2回目以降増やそう
(4)PCの攻撃が当らないBOSSは止そう
(5)BOSSの攻撃が当るか、攻撃力が大きいかは、キャンペーン2回目からは気にし
なくてよい
(6)なぜ2回目からは気にしなくてよいか
(7)敵構成を決めるにはパーティ構成を見よう
(8)ストレスとフェアネスに配慮しよう
                           
 ……ということになります。
以下順番に説明します。


【1】BOSSには数値面でバリエーションを持たせよう                    
キャンペーンのBOSSエネミーには能力値面においてバリエーションを持たせるべきです。
たとえば全3回キャンペーンならば、敵の「一番高い能力値」は各回で【体】、【技】、【心】とバラけていることが望ましいです。
これは各キャラクターの有利不利を均等に近づけるためです。

【2】BOSSの能力値を決めるにはPCを見よう                            
 BOSSキャラクターの能力値は、「PCが判定に使う主要な能力値」を確認し、それと判定ダイスの期待値から求めるのがよいです。
 「PCが判定に使う主要な能力値」は、初期の時点では、多くのキャラクターにおいて7〜9です。
 キャンペーン(特に長期キャンペーン)では各人がレベルアップ時に能力値を上げることができますから、「PCが判定に使う主要な能力値」の差がさらにひらくこともあります。
 成長時に主要能力値を優先的に伸ばすプレイヤーは一定数います。そしてかれらはやはり「一点伸ばししたことに対する報酬」を受けてしかるべきでありますから、BOSSキャラクターに対するかれらの攻撃の命中率はキャンペーン開始時に比べて高くなってよいのです。

 おすすめは、たとえば4人パーティの場合、
「主要な能力値がパーティ内で2番目に低いキャラクター」の数値(シナリオ作成後に初期キャラクターを選択してもらう場合なら「7」)を基準として
BOSSキャラクターの能力値を決める
ことです。
 (主要な能力値がパーティ内で一番低いキャラクターはたいがい、戦闘においてきっちり攻撃を当てること「以外」に楽しみを見出して組んであるのでムシしてOKです。このテのキャラクターが真にパーティ全体の能力を底上げすることもあります)

【3】BOSSのヒットポイントは2回目以降増やそう                        
 キャンペーンの2回目以降は、出てくるBOSSキャラクターのヒットポイントを増やしましょう。

【付記:BOSSキャラクターのヒットポイント】
『駅前魔法学園!!』の成長ルールをごらんになれば分かりますが、このTRPGでは、PCの「能力値」は、おいそれと上昇しません。
(全3回ほどのショート・キャンペーンならなおさらです)
ですので、PCの多くは、まず「マギアーツを取得する」という成長手段をとることでしょう。

そのようなわけで、BOSSキャラクターも、能力値については、第1回目も2回目以降も、それほど大きく変化する必要がない場合が多いでしょう。
むしろ注意すべきは、BOSSキャラクターのヒットポイントです。
キャンペーン2回目以降は、PCが取得したマギアーツを確認し、そのぶんだけヒットポイントを増やすとよいでしょう。
目安としては、たとえばキャンペーン2話目のBOSSのヒットポイントは、キャンペーン1話のBOSSのHP(PC人数×40〜45)+「[PC全員が新たに取得したマギアーツによって与えるダメージの期待値]×2」ぐらいがよいです。

戦闘が巧みなプレイヤーならば、(能力値や新しいマギアーツに関係なく)キャンペーンの+1話目ごとに、[PC人数×(30〜40)]ずつ程度増やしても良いでしょう。
PCの能力が上昇するだけでなく、キャンペーン2話目からは、(ミドルフェイズで得たマナソースを戦闘中に巧みに使用するようになる等)プレイヤーの経験もまた積まれていくであろうからです。

その一方で、クライマックスの戦闘において、BOSSを倒すまでのラウンド数と、PCが与えたダメージを記録しておくのもまた良い方法です。
次のセッションではその結果を踏まえて、ヒットポイントを増やすわけです。

【4】PCの攻撃が当たらないBOSSはよそう                              
 注意すべき点として、「プレイヤーにとってストレスの溜まる敵」とは「PCの攻撃が当たらない敵」です。これはBOSSについて特に言えます(一部のミーレスとかならまあ味のうちじゃないでしょうか)。
 なので「能力値高めでヒットポイント少ないBOSS」でなく、「能力値低めでヒットポイント多いBOSS」のほうが、実際には同じラウンド数で倒せるとしても、プレイヤーにとってストレスが少ない敵になります。

 基準としては……
 たとえば4人パーティの場合、BOSSキャラクターの一番高い能力値は、
 「『主要な能力値がパーティ内で2番目に低いキャラクター』の主要な能力値」
 とひとしくする

……のがよいでしょう。むろん例外はあってよいです。

【5】BOSSの攻撃が当たるか、攻撃力が大きいかは、          
キャンペーン2回目からは気にしなくてよい
                  
 いっぽう「BOSSの攻撃が当るか」、「BOSSの攻撃が当ったときの攻撃力が大きいか」は、そこまで気にしなくてよいです。
PC側には「すごいダメージ」を防ぐ方法はありますし、PCは戦闘不能になっても死亡するわけではありません。
なので「キャンペーン2回目からは」攻撃力が大きすぎることがあったって構わないでしょう。
 (ですから、「防御のときは能力値が低く、攻撃のときに高くなる」エネミーアーツを取得するか、適切なものがなければ作ってしまってもよいと思います)
 すごく乱暴に言うとBOSSはPCたちを「PC人数回ぶん(つまりPC4人なら延べ4回)、戦闘不能にする」つもりで作ったっていいと思います。
 PCはそれぞれ戦闘不能を回避できる秘儀とかを持っているはずですし、回避できなかったとしても、PCが半分生き残れば勝利できるケースは多いです。
 そして「PCが戦闘不能になること」は(全滅までしなければ)経験点評価のペナルティにもなりません。

【6】なぜ2回目からは気にしなくてよいか                                  
 「キャンペーン2回目からは」とことわったのはなんでかというと。
『駅前魔法学園!!』は一見して見えるよりも緻密な戦闘バランスを持っており、計画的なパーティ構成が物を言うゲームだからです。
筆者はこれを本気で言っています。

 したがってキャンペーン2回目からは、プレイヤーは……

・ゲーム世界に少数存在する「ミドルフェイズ用のリソースを戦闘に持ち越せるパワー」や「ミドルフェイズを有利にするパワー」をパーティ全体でどれだけ持っておくか。
・HP修正が低く、ほうっておけば簡単に死ぬキャラクターのための、クリティカル回避または蘇生の手段をパーティ全体でどれだけ持っておくか。
・いかにして「最も重い一撃を叩きこめるキャラクター」の最初の手番までに秘儀を使用可能にしておくか。


 ……ということを考えはじめる(はずだ)からです。

【7】敵構成を決めるにはパーティ構成を見よう                  
 キャンペーン2回目からは、GMであるあなたもパーティ構成を見て、それにあわせて敵構成を考えましょう。
 これは基本的には各キャラクターに見せ場をつくるためです。

たとえば……
・ルーンブラスターがいるなら「ミーレスを含む多数の敵」を出しましょう。キャンペーン第一シナリオが『迷い猫ノラ』だった時などは絶対です。
・アリスがいるならヒットポイントの高いBOSSを出しましょう。
 ……等々です。
 各キャラクターに見せ場をつくるためでなく、パーティの弱点を突いてプレイヤーに手に汗握らせるための構成を考える手もあります、
 が、しかしこれについては【8】をごらんください。

【8】ストレスとフェアネスに配慮しよう                                       
 マスタリングテクニックとして、プレイヤーにストレスをかける場合、
「そのストレスについて前もって予告する」および/または「そのストレスを回避/軽減可能にしておく」
ことがたいへん大事です。
 たとえば【4】でのべた「能力値高めの、PCの攻撃が当りにくい敵」を出す場合……

・その敵が風のように速く水銀のごとくにとらえがたいことを、NPCの発言などを通して、前もって予告しておくこと。

 および/または
・特定の条件を満たせば能力値が下がるようにしておくこと。
 ……が大事です。

 たとえば【7】でのべた「パーティの弱点を突くための構成」の敵を出す場合……
・キャラクターにはわからずともプレイヤーにはわかるような形で、敵が魔法使い抹殺計画を練っているのを前もって予告しておくこと。
 および/または
・敵にも弱点を設けておくこと。
 ……が大事です。
 これさえ守っておけば多少ストレスをかけたってOKでしょう。
 が、やはりこのテのストレスのかかる展開は「セッション3〜4回に1回程度(つまり、全3〜4回のキャンペーンならば、キャンペーン全体で1回)」にとどめ、かつ「第1回でも最終回でもない回」でやるのがおすすめです。

●おわりに
 BOSSデータの調整は『駅前魔法学園!!』のキャンペーンのデータ面でのたのしみを――キャンペーンのなかでパーティが噛みあってよりよく機能するようになるたのしみをGMに教えてくれます。ぜひ、ほくそえみながら調整しましょう。

 もちろんキャンペーンのたのしみはそれだけではありません。データ面でのたのしみのほかに、物語的なたのしみもあります。
 RPGのキャンペーン一般についていうならば、一度出会った相手に別のセッションでまた会ったり、一度行った場所にまた行ったりする、しかもそこに何か以前と違う要素がある、というたのしみ。
 特に『駅前魔法学園!!』のキャンペーンについていうならば、魔法学園の生徒として実力を上げていく過程や、同じ街を舞台に「その場所を守り続け」、住人との触れ合いや、季節の移ろいゆく様子を体験していくというたのしみもあるでしょう。

 『駅前魔法学園!!』のキャンペーンをどうぞお楽しみください。




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本ページは、著者・藤浪智之が、私的に行っているもので、
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