妖 精


エルフ Elf

完全に迷ったようだ。やはり旅費をけちってガイドを雇わなかったのが悪かったようです。
すぐそばに転がっている人の物とも思える白骨遺体が未来の自分を映し出しているかのようにも思えてくる。
「ペターゼン。本当にこちらで大丈夫でしょうね?」
「勿論大丈夫だ。『火蜥蜴の兄弟』はあんたを裏切らない」
「だといいんですがね。ここは先ほども通りましたよ」
万策尽き果てた我々の耳に忍ぶような笑い声が聞こえてくる。
「アイン様。我々はここで死ぬんでしょうか?妙な笑い声が聞こえてくる」
「馬鹿な事を言うんじゃありません。この森のエルフたちですね?どうも道に迷ったようでして・・・ヴァルブルクの方へ案内してもらえないでしょうか?」
私がそう頼むと、背中に弓を背負ったエルフが木の上から降りて来た。
「こんにちは旅人のお方。ここからヴァルブルクどころか人里まで丸二日かかりますわ」
「それは困りましたね・・・」
「それなら是非我々の歓迎を受けてもらえませんか?お急ぎなら無理にお引止め致しませんけど」
「いいえ。美しい森の守護者よ。是非ご招待させていただきましょう」
助かったどうやらこれで今夜は野宿しないで済みそうです。

エルフたちは森に住む妖精の一員で、森の中に集落を作り集団で生活しています。
たいていは生まれた森の中で一生を終えますが、好奇心の強い若者が外の世界に憧れて森を出て生活することも少なくはありません。
そろって姿は美しく、男性でも髭は生えません。最たる特長は尖った耳でしょう。大半の者が樹神の信仰者ですが、精霊神や風神や水神を信仰する者もいます。


トゥルー・エルフ True Elf

エルフたちの集落に招待された我々は歓迎を受けた。外から人が来たのは数十年振りのようで、特に望んではいなかった歓待の席まで設けてくれるようだ。
いささかきな臭い感じがしたが悪意は感じられなかったので受ける事にした。休むための小屋を割り当てられた私たちは小屋に荷物を置いて寛いでいた。
するとこの集落に案内してくれたエルフのエリシスが長老がお会いしたいと言っている旨を伝えに来た。私はペターゼンを小屋に残して会見に臨んだ。
「トゥルー・エルフ!?まさかお会いできるとは・・・」
目の前のエルフはまさしく上位のエルフであるトゥルー・エルフだった。

エルフたちの中でも特に神や森と結びつきの強い者をトゥルー・エルフと呼びます。
この世界のエルフたちは元はトゥルー・エルフでしたが、徐々にその力は衰えて、ほとんど上位種はいません。
だからハイ(上位の)とは呼ばずにトゥルー(真の)と呼ばれるのです。彼らは神の代行者とも言われ、その存在が信仰されることもあります。
エルフの寿命は1000歳前後ですが、トゥルー・エルフには寿命は存在しません。彼らはたいてい十数の集落を統べています。


ドワーフ Dwarf

ドアを開けるとそこがもう仕事場になっていた。
「すいませんが・・・ここにディベーゼルという職人がいらっしゃるとお伺いしたのですが」
「すいません。師匠は今仕事中でして・・・一度はじめると火事になっても仕事を中断しないですから。こちらでお待ち下さいますか?」
徒弟の一人であろう若者が私を待合室に通してくれる。
「差し支えなければ見学させてもらえませんかな?」
「ならこちらに。仕事場に入ると怒るんです。運が良かったですよ」
なるほど、本来の入り口はあちらだったようだ。
仕事場を覗くと小柄な男がいた。間違いなくドワーフだろう。
戦士として、職人として優秀な連中だ。気難しさもとても優秀ですが・・・

ドワーフは大地に関係が強い種族です。身長は120cmくらいで、女でも髭があり、小柄なわりに力があって、それは人間以上です。
暗闇を見通す力があり、穴の中でも昼間と同じようにものを見ることができます。寿命は200歳前後です。


フェアリー Fairy

「師匠。あれはなんですか?」
弟子のレオンが指した方向を見ると淡く光る球が飛んでいる。
「あれはフェアリーですね。こんなところにもまだ住んでいたとは」
私はゆっくりと、彼らを驚かせないように近付いた。
「どうやらここに住んでいるようですね。女王もいるみたいです」
水辺の少し大きな石の上に明らかに他のフェアリーたちとは違う姿の者がいる。
「私はアイン。この森の所有者です。是非女王に謁見を申し込みたいのですが」
「存じておりますわアイン様。あなたはこの森を守り育んでくれています。是非近くにおより下さいな」
女王の許しを得て、我々は近くで妖精たちのワルツを見ることが出来た。

フェアリーは美しい森の川や泉の側に住む小柄な妖精です。身長は30cmくらいで、背中に薄い羽根があります。高い知性を有し、集団で暮らしています。
集団には女王と呼ばれる者がいて、その他のフェアリーたちを従えています。普段は姿を現しませんが、彼らの踊りを目撃する人はけして少なくはありません。
時間の多くを妖精界で過しているため、寿命はありません。


ピクシー Pixie

「おかしいですね・・・」
ここに置いてあったはずの水晶球が無い。
魔力自体はこの部屋から感じ取れるため物取りではないようですが(もっとも、この部屋に侵入できたらだが)しばし思案した後、唐突に思い当たった。
懲らしめてやっても良いが、残念ながらその時間はないし、死なない程度という制限をつけることも容易ではないことから懐柔することにした。
「レーディアン。私の水晶球をお返しなさい。そうすればセラがミルクをくれるでしょう」
反応は想像と相違無い。すぐに身の丈30cmくらいの人の姿をした者が大きな水晶球を持って出て来た。

ピクシーはだいたい30cmくらいの背丈の妖精です。人間に対して友好的ですが、困ったことに悪戯好きで、時折困らせてくれます。
背中には昆虫を思わせる羽根が生えていてあまり早くはありませんが飛ぶことが出来ます。
『姿隠し』の魔法も使え、たいてい姿を隠してから悪戯をします。


ハーフリング Halfling

「あら、この穴はなにかしら?」
所領地である森の中を弟子であり姪であるエリナーと散歩していると、彼女が不思議な穴を見つけた。
「いろいろな妖精が住む森ですね。どうやらハーフリングの集落のようです」
私はカイスラーグを旅していた時に見た彼らの集落と酷似するするそれを見て判断した。
私の予想は間違えていなかったことはすぐに解った。穴の中から1mにも満たない身長の妖精が出て来た。
「やあ大きな人。僕たちの村に何か用かい?」

ハーフリングはその名の通り、身長が人間の半分ほどしかない妖精です。森や丘の穴の中に集落を作って暮らしています。
非常に器用ですばしっこい。力は弱いですが体力はあります。非常に臆病者という欠点もありますが・・・・

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