紋章


●紋章とは

紋章は騎士や貴族の個人や家柄を象徴するものとして扱われました。
馴染み深いためにエンブレムと表記しましたが、エンブレムは記章を意味しており、厳密には紋章ではありません。
もちろんそれが象徴に値しないのではありませんが、紋章学における手法や規則に則っていないためです。
厳密には紋章はheraldry(ヘラルドリ)、coat of arms(コウト・オブ・アームズ)、armorial bearrings(アーモーリアル ベアリングス)である。
紋章には大きく分けてふたつの種類がある。
楯形に描いた「楯紋」(arms)と「大紋章」(achievement)である。


●紋章の歴史

紋章の起源は定かではありませんが12世紀頃だとも言われています。
アダム、ノア、アレクサンドロス、アーサー王が紋章を開発したと言う説は紋章学の世界では16世紀末に却下されています。
今日の西欧では紀元1000年以後の封建社会の変容と、11世紀末〜12世紀初頭の武具の変化に起因するということで専門家たちの意見は一致しています。


●戦場における紋章の誕生

第一次十字軍と第二次十字軍の間の時期に、鎖帷子の頭巾と兜の鼻当てで敵味方の区別がつかなくなった西欧の戦士たちはアーモンド型の楯の広い表面に戦場や
とくに初期の騎馬試合の最中に目印となる図柄を描くようになります。その図柄とは幾何学模様や動植物であった。
ただ、色をつけられた図柄が紋章となり得るのは、同人物がひとつの図柄を持ちつづけ、その描き方が同じになるようにしたがったときに紋章となります。


●社会全体への普及

当初は王族や大貴族、大領主が使った紋章は、徐々に上級階級全体へと広がっていきます。13世紀初頭には中小貴族の誰もが紋章を持つようになる。
同時に戦士や貴族ではない人々、さまざまな団体へとひろまったのです。


●明確な規則、厳密な構成

*紋章は図柄と色の二つの要素からなる。図柄と色は楯(エスカッシャン)の中に置かれるが、楯そのものの外周の形は何でも良い。
中世の楯を継承した三角形の形でなければならないわけではなく、それは単に頻度がもっとも高いだけである。
もっともわかりやすい例を述べればサッカーのクラブチームの紋章だろう。確かに楯型の物もあるが、有名なマンチェスターユナイテッドやACミラン、インテルなどは楯型ではない。
*楯の中で、色と図柄はでたらめに使われたり組み合わされたりしてはいない。
両者は、数は少ないが厳密な構成規則にしたがっている。
この規則の存在こそ、ヨーロッパの紋章とその他の文化で使われるほかのタイプの記章(エンブレム)をもっともはっきり区別するものといえるのです。


●紋章の六つの色

*紋章の主要な規則は色の使用に関するものである。色の数は限られており<普通に使われるのは6色>、フランス語の紋章用語では特殊な名称をもっている。
金色、銀色、赤色、黒色、青色、緑色(名称については他項を参照してください)である。つまりこれは、西欧文化の基本的な6色である。


●色の組み合わせの規則

*紋章はこの6色を二つのグループに分ける。第一に銀色と金色。第二に赤色、黒色、青色、緑色である。
色の使用の原則とは、動物の舌や爪といった細部に関する場合以外は、同一のグループに属する2色を並べたり重ねたりしてはならないというものである。


●図柄――無限のレパートリー

紋章においては、色が本質的な要素である。図柄のない紋章は多く存在するが、何にせよ色のない紋章はないからである。
しかし、紋章に使われる図柄の種類は色よりはるかに豊富である。実はこのレパートリーに制限はないのである。
どのような動物、植物、品物、幾何学図形でも図柄になりえるのです。


●紋章用語

紋章の部位を指す、組み合わせを言い表す等する時に使われる言葉。

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