大まかに体の状態を四つに分けて、チェックすることにより肉体の上下、左右、前後のバランス、心の癖(消極的にあきらめてしまう、すぐ焦って対処しようとする等)をまず認識するのが目的です。

『自分のことは自分が一番分かっている』と私たちは漠然と思い込んでいますがコントロール出来ない『自分』もまた同時に感じている筈です。

『潜在意識下の自分』要するに『無くて七癖』というものです。弱い体を強くしたい、この性格を直したい、悪い所を直してゆくのはそう簡単ではないでしょう。しかし新しい癖をつけるのは難しくはありません。癖は黙っていても付くものですからね!このメカニズムを活用しない手はありません。

それにはまず『今』の自分の状態を過小も過大もせずにただ眺めて認識するのが『初めの一歩』です。ただ普段私たちは社会生活の中で意識と体をくもらせがちです。まず基本四態相を通して自分の癖を認識して理に適った新たな癖をつけ、生まれ変わっていきます。意識が変わってくると体も変わってきます。

心と体はコインの裏表ですからね。そして体が変われば当然意識も変化してきます。氣が付くと自分の事を『納得出来る自分』に思えていることでしょう。『強い自分になる』と言うのは相対的に他人と比べる事ではないのですから。

レッスンを通じ、自分で楽な心身の感じを日常生活に還元しましょう!



■基本四態相

1.限定不動態

上半身に力みがあるバランスの悪い姿勢だと、軽く押されけでふらついてしまいます。現代人は顎が上がり、重心が後ろに下がっている傾向があります。そういう姿勢も関係があります。そこでまずある程度動かないようにバランスを保とうと集中する段階です。初めは外側の筋肉の『反応』でこらえるものです。

それで構いませんから、ます単純に『動かない』のを意識して自分の姿勢のバランスの限界を認識します。初めは『表面』の筋肉で『こらえて』いた感じが、徐々に『内側』に意識が移行して、身体の内部の『芯や軸』で『対応』しようとする感覚が芽生えてきます。

『違和感』を素直に感じる事が『インナーセンスの芽生え』となります。
 胃の弱い方、腰に力のない方もふらついてしまいます。この初めの『自身の相(ありさま)』を素直に見詰める感覚が次の段階へと結んでくれます。
この段階を数回やって胃腸が丈夫になった方もいらっしゃいます。


2.限定動態

じっとしていて、ある程度こらえられる様になったら、その状態を保ったまま今度は押してくる『力を逸らしたり、いなしたり』と動いてみます(立ち位置、座っている位置はそのままで)。
じっとしている状態でバランスを保つのは比較的容易ですが、動きの中で安定した状態を保つのは難しいものです。
動こうと思った瞬間に体勢が崩れてしまいます。気持ちと動作が不一致のいわゆる氣の抜けた状態になり易いものです。

『柳に風』のように根っこは、しっかりと大地を掴み、枝葉は風に抵抗するのでなく、自然に揺れている感じでしょうか。
心を集中し内観しながら無駄な動作を省いていきます。

 そのうちに『力を逸らしたり、いなしたり』と反射的に忙しく動いていたのが段々静かになり『身を任せている』感じになり何とも心地よい精神状態になってゆくのが実感できます。動く瞑想とでも言いましょうか


3.無限動態

今までの段階で『内部感覚、軸、バランスの目安』みたいなものが少し芽生えてきたら立ち位置、座った位置も定位置からわずかに移動しながら『自由』に動いてみます。
正面立ちで足の位置を動かさないという『制限』から解放され、特に下半身の充実感が抜け易くなります。
そうすると更に『不自由さ』が分り今の自分の限界を素直に感じ取る事が出来てきます。

『柳に風』から『波に揺れる海草』のように『幹(腰から下の部分)』も無くして、全体が波の動きに乗りながら、固い心棒
では無く、しなやかで弾力のある体の中心軸を保つ段階です。

これも初めは外見の柔らかさから練習しているうちに意識が内部に移行して、見た目の動きが派手では無くなってきます。
外側から『波に翻弄されている』感じから、身体の内部まで『波そのもの』になってゆく感じです。そのうちに相手の動きと一つになって、まるでダンスを踊っている様な一体感が出て来ます。


4.無限不動態

見た目は動いてはいませんが内部は大きくゆったりと自分の意識を眺めています。
あらゆる意味で制約のある肉体を一旦完全に受け入れ、肉体と意識とを境目が無くなるまで鎮めていきます。
台風の時、海面は波立ちますが深くなってゆくと波も無くなり静かになりますね。

丁度そんな感じです。とにかく『内観:瞑想』を心掛ける段階です。落ち着いていて、しかも感覚が鋭くなるのを感じてきます。
この心身の状態の時に押してみると見た目はほとんど動いてはいないのに、力が吸い込まれたり、勝手に自分から体勢が崩れたりと面白い現象が起きてきます。
 そしてまた始めに戻り心身の状態をチェックして更に深めてゆきます。
『態相1』でも1から4を何度も通過する事により『質』が高まり、深まってゆきます。 

このように基本四態相で明確に条件を変える事により、頭の整理がつき易くなり今の自分(心と体の状態)をしっかりと認識出来るようになるのです。
『今の自分』を知る事が出来れば必ず先に進むことが出来ます。

そして統一態が深まって何時でも充実した自分になってゆきます。この基本四態相以上を色々と『遊び感覚』で身に付けてゆきます。

『遊び』と言うと不謹慎な感じがするかも知れませんが義務感や責任感、年令性別、国籍を超えて誰もが持っている身体そのものに気付く事、楽しみながらと言う事で『遊び』と捉えています。



■段階(基本、初級、中級、上級、応用)

基本四態相1〜4の中にも段階があり、統一体を深めるための『手助け』となります。
ただ、『砂上の楼閣』とならないように基本をしっかり踏まえた上で身体を練り、一つ一つ気付いて(築いて)ゆきます。

【まず初めに】

腰や、お腹に力のない方、病中病後の(虚)のタイプ。

虚弱な方はただでさえ、ふらつきがちなのでただひたすら、中心に『芯や軸』を意識して安定を保とうと足の裏から頭まで『全身で立つ(座る)』のを心掛けて、堪えたり(力むのとは違います)しながらも安定を保持しようとして下さい。
何回かレッスンをするうちに、自然に腹や下半身に力が入って来るのが感じられてきます。身体内部まで影響があるので自然治癒力が湧いてきます。


またはどっしりしていて、普段では安定していると思ってはいるが動作が緩慢である方、筋力があり、力強く構えてしまう方の(実)のタイプ。


そう言う方は今まで培ってきた『強さ』は一旦わきへ置いて『微妙な変化に応じられる状態、ある意味繊細で弱い状態』の作らない『素』の状態を再確認してみましょう。
力の強さがあまり反映出来ない状態にする為に『正面立ち』という一見不安定な姿勢でチェックをするのです。
『脚力で踏ん張り、居着いた安定を作る』という感覚を自覚するためにも正面立ちは有効な姿勢でもあります。

完全にこの2タイプの方に分けられる筈も有りありませんが御自分に当てはめてこれから始まるレッスンの心得にして頂きたいと思います。

■チェックする方向は4方向(原則として)


全てのバランスチェックを行う際に方向は正確に把握して、相手を押して安定度を確かめます。
つまり相手の顔が向いている方を正面としてそこから前後、左右と4方向から真直ぐ押していくと言う事です。

そしてその4方向は全て相手の体の中心を通るように押すのが大事です。(東西南北の中心と言う事です)
チェックする方が中心を大きく外れて押しているのは相手に重心を預け、寄り掛かっただけで被験者は本来、受け止める必要はありませんが、初めのうちは力の加わっている方向もなかなか分らないので、つい受け止めているうちに硬直してしまいます。
これではお互いに身体の内に意識が向かないので注意しましょう。

 方向さえ大体守って押していれば相手に応じて、かなり強く押しても非常に安定した強い姿勢を感じる事が出来るようになってきます。特にこの基本の感覚を目安として『基本、初級クラス』へと段階を進めましょう!



【基本クラス、初級クラスで行う事】

基本柔軟体操で身体を緩めたら、次に身体を『纏めて』ゆきます。インナーセンスを自覚する初めの一歩である、『基本の段階』に入ります。正面立ち(或いは正座)で前から胸を『じわっ〜』と押してもらいバランスチェック。
骨盤を真横から押してもらう。足で踏ん張るのは限界があります。

股関節をフッと緩めるといきなり途中で止まっていた重心がストンと地球に落ちてゆき、磐石の安定感が現れます。(股関節の動きは別に記載)初級クラスでは『限定不動態相』を基本としてレッスンします。

前からと真横から押されてバランスを保つうちに、『芯や軸』といった自分が頼るべき位置、存在を感じられるようになってきます。
基本、初級はこの二つだけをチェックします。


【中級クラスで行う事】

初級クラスでの『正面立ち(或いは正座)で前から胸を『じわっ〜』と押してもらいバランスチェック。
骨盤を真横から押してもらう』に加えて限定不動態相から限定動態相、つまり足の位置は動かさずに『足首、膝、股関節、骨盤、背骨、肩甲骨まわり、首まわり、頭』と微妙に動かし更に『芯や軸』の感じを鮮明にしてゆきます。

間違えてはいけないのは、ただグニャグニャと体の『柔軟性によって器用に対処』するのではなく、どの程度まで動けるか?これ以上動くと無意味な動きになる、とか自分の動ける範囲を知る事が非常に大事なのです。
自分の動きの範囲、限界を知る事によって、限界が少しずつ『限界』では無くなってきます。

中心と円の関係が身をもって感じられる最初の段階でもあります。後ろからも押してバランスをとってみましょう!
段々難しくなりますが楽しくもなります。


【上級クラスで行う事】

中級クラスで『自らが動かない状態』をキープしたまま動ける範囲、限界をある程度感じられたら、次に足先の向き、位置を少しずつ動かし、『体の向きを動かすレッスン』(無限動態相)に入ります。
中級では『足の位置を動かさない』という条件で、身体のしなりや粘りを限界まで自分で体得してきました。柳に風、のれんに腕押しのように押してきた相手はそう感じたでしょう。

上級では足先の向き、位置を変えても良いという条件になりますが、芯や軸の感覚が消え去って『ただ忙しく、無闇に無意味に動いている』というようになるのでとても難しくなります。
『内部感覚をキープしたまま動く』というのはなかなか容易ではありません。
ですから恐る恐る動くしかありません。初めから『自由に動く』というのは自分の動きの範囲、限界を知らないからで、不自由が分らないと『自由』に至るのは無理です。

まず自分の身の回りを小さく動くのがせいぜいです。そこから少し回りながら歩き始めましょう。ちょうど『能』の様なゆっくりとした歩き方で、円の中から少しずつ範囲を広げてゆきましょう。


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