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24年前の29才のことでした。初めて描いた油絵とデッサンのスケッチブックを持参して中学校時代の美術恩師を訪れた、その帰り道でした。最終バスを降りて歩きだし大曲の登坂まで後50メートル程の所まで来た私は両眼を目一杯に見開いて正面を凝視しました。真っ暗な杉林に大きな輪が浮いているのです。瞬間「重いな、動いているぞ、止まるかな、いや止まらない」と自分に言っていました。と同時に輪は消えたのです。輪は所どころが黒光りしていて微かな速さで時計回りに回っていました。不思議なものを見たなあと云うはちきれそうな思いは今でも脳裏に焼き付いています。それから5年後、昭和55年35才の夏のことです。偶然から池袋の西武美術館で『マンダラ出現と消滅展』という写真展を観ることになって。私は入口の正面にあの輪が畳2畳程の大きさで写真になって貼られているのと出合ったのです。身体中を電気が走った衝撃の出合いでした。説明にはマンダラの象徴とありました。マンダラって一体何なんだろう。その疑問は私に好奇心と勉強への興味をくれたのです。そのうちに疑問は宇宙や人間の深層心理などにも及んでいって、それらの神秘は深く私達人間と繋がっていることが解ってきたのです。そのことは私の絵画する心とも大きく繋がっていました。年々、思いは募っていきました。あの輪を『七宝焼マンダラ図画』として作品としよう!の願望です。何度か下絵も創って考えました。しかし納得ができるものではありませんでした。1996年2月のことです。主人と二人で、ぶらりと出かけたイタリア旅行から帰った私は「今なら焼ける」と確信したのです。それから1年8ヵ月の制作過程を経て1997年10月24日早朝です、24年間の歳月を様々な形で導いてくれた輪は七宝焼作品として新たなる誕生を致すことが出来ました。『七宝焼マンダラ図画』として『不思議な輪』は私の深層に新たなる印象を位置付けました。これからを牽引して行く力として念じてまいりたいと思います。 |
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新水の風景 |