実数解の個数                              戻る

 方程式が具体的に解けて、解が直接的に求められる場合は特に意識しないが、問題を
考える上で、解がある範囲に存在することを知りたい場合が往々にしてあることは、日頃
経験しているところである。

 このような場合に活躍する公式としては、

   中間値の定理 、 ロールの定理 、 平均値の定理

などが知られている。

 これらは何れも「数学V」で学ぶものであるが、日本の高校生のほとんどが、これらを学
ばずして数学教程を終了してしまっている。このことは、非常に残念なことである。

 昨日、日本大学文理学部の数学教室から、「サマースクール」へのお誘いの案内が届い
た。数学科創設50周年ということで、例年と若干異なる催しとなるらしい。

 福田拓生 先生による「中間値の定理とその応用」という演題の講演が予定されていると
のことで是非参加したかったが、生憎もう予定が入ってしまっていて、今年は残念ながら欠
席せざるを得ない。

 このページでは、福田先生の講演に思いを馳せて、上記の種々の公式について、まとめ
ていこうと思う。

中間値の定理

(A) 関数 F(x)は閉区間[ a ,b ]で連続とする。

 このとき、

   F(a) と F(b) の間の任意の数 k に対して、

       F(m)= k

 となる m ( a<m<b )が存在する。



  大学受験では、むしろ次のような表現の方がよく
 使われるようだ。


 (B) 関数 F(x) は、閉区間 [ a ,b ] で連続とし、 F(a)・F(b)<0 とする。

   このとき、  F(m)= 0  となる m ( a<m<b )が存在する。


 上記の定理で、 (A)→(B)は、易しいだろう。

 F(a)・F(b)<0 より、F(a)とF(b)の間に、0 があるので、(B)は(A)より明らかである。

同様に、(B)→(A)は、G(x)=F(x)−m とおけばよい。このとき、G(a)・G(b)<0 より、

(A)は、明らかに成り立つ。

 この中間値の定理の証明は実数論と密接に関係しているため高校の授業では通常なさ
れない。上記のような図で納得させ、説得しているのが実状である。

 ここでは、高校生レベルを意識して、(B)の方の略証を試みることにしよう。

(略証) 一般性を失うことなく、 F(a)<0 、F(b)>0 としてよい。

   いま、A={ x ∈[ a ,b ]|F(x)<0 } という集合を考える。

   明らかに、 A は、[ a ,b ]の部分集合である。

   任意の x ∈A に対して、 x < b が成り立つ。(このとき、集合 A は上に有界という

   そこで、B={ y ∈|任意の x ∈A に対して、 x ≦ y } という集合を考える。
                             (このとき、集合 B を集合 A の上界という

   b ∈B なので、集合 B は空集合ではない。

   そこで、 C=−B とおくと、a ∈A⊂C なので、C も空集合ではなく、

       =B∪C 、 B∩C=φ が成り立ち、さらに、

       任意の c ∈C 、 b ∈B に対して、 c < b

   であるので、集合 B 、C は実数の切断を与える。
               (要は、実数全体がBまたはCのどちらか一方に分かたれるということ!

    実数の連続の公理(ちょっと、これは高校生レベルを越えるかな?)から、

       集合 B の最小値 または 集合 C の最大値

   のどちらか一方だけが存在する。

    いま、集合 C の最大値 m’ が存在するものと仮定する。

   このとき、m’ は集合 B には属さないので、 m’ < z となる z ∈A が存在する。

    また、実数の稠密性(要は、ある数にいくらでも近い数がとれるということ!)より、

   m’ < n < z となる n ∈ が存在する。このとき、明らかに、n は集合 B には属

   さないので、n ∈C である。これは、m’ が集合 C の最大値であることに矛盾する。

    以上から、 集合 B の最小値のみが存在する。この最小値を、m とおく。

              (このような m のことを、集合 A の上限といい、supA と表す。)

     b ∈B なので、 m ≦ b であるが、実は、さらに詳しく、 m < b が成り立つ。

   実際に、 F(x)は連続で、 F(b)>0 より、 x0<b であるような b の近くの値 x0

   で必ず F(x0)>0 となり、 x0 は、集合 A の上界となる。

   このとき、 m の最小性から、 m ≦ x0 で、x0 < b より、 m < b となる。

   さらに、 F(m)=0 が成り立つ。

   実際に、 F(m)<0 と仮定すると、 m ∈A で、 F(x)は連続より、

   m<x0<b であるような m の近くの値 x0 で、 F(x0)<0 となり、 x0 ∈A が

   成り立つ。このことは、集合 A の上限である m よりも大きい集合 A の要素 x0

   存在したことになり、これは矛盾である。

    よって、 F(m)≧0 である。

   ここで、 F(m)>0 と仮定する。この場合もやはり、 F(x)は連続で、 F(m)>0

   より、 x0<m であるような m の近くの値 x0 で必ず F(x0)>0 となり、 x0 は、

   集合 A の上界となる。

   このとき、 x0 ∈B なので、 m ≦ x0 であるが、このことは、x0<m であること

   に矛盾する。

    以上から、 F(m)=0 が成り立つ。 (証終)

(コメント) 一応、証明らしきものを書いてはみたものの、「〜である!」ものを変な論理で
      後押ししているだけのような...そんな雰囲気。図で理解されれば十分と再認
      識しました。

 上記の証明を見ても分かるように、証明そのものが実数の連続性に絡んでいるので、こ
れを一般の高校生に教えることは到底不可能に近いと実感できる。

 もののついでに、中間値の定理(A)に対する、次のような証明もあげておこう。

  (証明) ・・・ カントールの2分法(区分縮小法)を用いた証明

      区間 K0=[ a ,b ] とし、 K=[ a ,b ] を次のように構成する。

    ただし、 a0=a  、b0=b で、 F(a)<k<F(b) とする。

     いま、 m0=(a0+b0)/2 とおき、

         F(m0)≧k ならば、 a1=a0  、 b1=m0

         F(m0)<k ならば、 a1=m0  、 b1=b0

    とおく。いずれにしても、 F(a1)<k<F(b1) が成り立つ。以下、同様。

     このとき、 a0≦a1≦・・・≦a≦・・・≦b≦・・・≦b1≦b0 で、

               b−a=(b−a)/2

    より、数列{a}は単調増加で上に有界、数列{b}は単調減少で下に有界なので、

    ともに収束し、b−a → 0 から、同じ極限値 m をもつ。

        F(a)<k<F(b) より、挟み撃ちの原理から、

     F(m)≦k≦F(m) すなわち、 F(m)=k となる。 (終)

(コメント) こちらの方が高校生向きで、視覚的に分かりやすいかな?


 この定理の応用例としては、次のような問題が基本的であろう。

例 方程式 2−3x=0 は、0 と 1 の間に解を持つことを示せ。

(解)  F(x)=2−3x とおくと、F(x)は、閉区間 [ 0 , 1 ] で連続である。

 また、 F(0)・F(1)=(20−3・0)(21−3・1)=1・(−1)=−1<0

 よって、中間値の定理より、方程式 2−3x=0 は、0 と 1 の間に解を持つ。(終)

 上記の例は陳腐的であるが、次のような例は斬新な応用例であろう。私自身、その考え
方に久々の新鮮さを感じた。

例 人の歩く速さは平均で分速80mと言われる。ただ、歩く環境(道の状況や気分など)で
  多少は前後する。いま、ある人が、400mの道のりを 5分で歩いたとする。このとき、こ
  の人は、この道のりのある80mの区間をきっちり1分で歩いていることを示せ。

(解) 歩き始めてからの距離を x mとし、x m からx+80 m までの道のりを歩くのに要す

   る時間を、F(x) とおく。このとき、F(x) は、閉区間[0,320]で連続である。

    このとき、 F(0)+F(80)+F(160)+F(240)+F(320)=5 が成り立つ。

   これより、 F(0)、F(80)、F(160)、F(240)、F(320)の全てが1より小さいことは

   ない。同様に、全てが1より大きいこともない。

    よって、 ある数 a と b が存在して、 F(a)≦1≦F(b) となる。

   したがって、中間値の定理により、 F(c)=1 となる c が a とb の間に存在する。

   このとき、 c からの80m の区間をキッチリ 1分間で歩いていることになる。(終)


 他に面白い応用例としては、次の問題があげられる。(平成20年11月2日付けで追記)

問 題  楕円に外接する正方形が存在することを示せ。

(解) 適当に平行移動、回転を施して、楕円の方程式は、

       

   としても一般性は失わない。その楕円に2組の平行な接線が垂直に交わっている。

        

  上図の長方形ABCDにおいて、直線ADが x 軸の正の向きとなす角をθとする。

  θの範囲として、 0≦θ≦π/2 としてよい。

   AD=F(θ)、AB=G(θ) は、θの連続関数である。

  そこで、H(θ)=F(θ)−G(θ) とおくと、関数 H(θ) は、閉区間 [ 0 , π/2 ] で連

  続となる。 ここで、

     H(0)=F(0)−G(0)=2b−2a 、H(π/2)=F(π/2)−G(π/2)=2a−2b

  なので、 H(0)・H(π/2)=−4(a−b)2<0 が成り立つ。

   よって、中間値の定理より、 H(m)=0 (a<m<b) となる m が存在する。

  このとき、 F(m)=G(m) で、長方形ABCDは正方形となる。 (終)

(コメント) 円の場合は正方形の存在は自明ですが、楕円の場合も存在するとは面白いで
      すね!

 この中間値の定理は、図を用いて、幾何学的イメージが掴みやすいはずなのに、現役の
理系受験生にはなかなか浸透しづらく、問題解法に縦横無尽に使いこなすようになるまで
は至難の業のようである。

 (追記) 平成20年7月23日付けで、当HPの掲示板「出会いの泉」に当HPがいつもお
      世話になっている zk43さんから中間値の定理についてコメントを頂いた。

        弧状連結な位相空間 X から実数の集合 R への連続写像ならば、Xの任意
       の2点を結ぶ連続曲線を [ 0 ,1 ]でパラメータづければ、[ 0 ,1 ]から Rへ
       の連続関数ができるので、やはり、中間値の定理が成り立ちます。

        弧状連結な位相空間の連続写像による像は、やはり弧状連結なので(相手
       の空間の相対位相をいれれば)、中間値の定理と同じような表現ができるかも
       しれません。弧状連結な位相空間の連続写像で考えるのが、中間値の定理の
       最も一般的な感じはします。

        連続写像とは、つながったものを切り離さない、というのが本質で、それをい
       ろいろな言葉で表現しているだけという感じ。関数では大小関係を持ち出して
       表現しているだけですね。


    中間値の定理は、もっと一般的な形で次のように述べられる。

   一般的な中間値の定理

     連結な位相空間 X から実数の集合 R への連続写像を F とすると、

         a∈X 、 b∈X に対して、 F(a)<k<F(b)

     ならば、 F(m)=k となる m∈X が存在する。


      (略証) 集合 A={ y∈F(X)| y<k } 、B={ y∈F(X)| y>k } とおくと、

           F(a)∈A 、 F(b)∈B なので、 A 、B は、空でない開集合である。

          ここで、もし、k が集合 F(X) の要素でないとすると、

            F(X)=A∪B で A∩B=φ となり、F(X)は2つの共通部分を持た

          ない開集合で被覆される。これは、F(X)が連結であることに矛盾する。

          したがって、 k は集合 F(X) の要素となり、F(m)=k となる m∈X が

          存在する。 (略証終)

      (コメント) 弧状連結ならば連結であるが、逆は成り立たない。「連結」という少し
            ゆるい条件で中間値の定理が成り立つことは驚きですね!

   有名な例題  単位円 S から実数の集合 R への連続関数を F とすると、

                 F(m)=F(−m)

            となる m∈S が存在することを示せ。


   (コメント) 原点対称なある点で、関数の値が一致する場合があるとは面白い性質で
         すね!

    (例題の解答) [ 0 ,1 ]から実数の集合 への連続関数 G を、

           G(x)=F( cosπx , sinπx )−F( −cosπx , −sinπx )

         と定義する。このとき、

          G(0)=F( 1 ,0 )−F( −1 ,0 ) 、G(1)=F( −1 ,0 )−F( 1 ,0 )

         である。 ここで、 G(0)=0 ならば、 m=( 1 ,0 ) とおけばよい。

         G(0)≠0 ならば、 G(0)・G(1)=−(F( 1 ,0 )−F( −1 ,0 ))2<0

         なので、中間値の定理により、 G(x0)=0 となる 0<x0<1 が存在する。

         このとき、 m=( cosπx0 , sinπx0 ) とおけば、F(m)=F(−m)が成

         り立つ。 (終)

 中間値の定理の応用として、次の不動点定理も有名である。古くは、早稲田大学理工学
部の入試問題として出題されたこともあるので、ご存じの方も多いことだろう。

不動点定理

 F(x) は閉区間 [ 0 , 1 ] で連続で、 0 ≦ F(x) ≦ 1 とする。

このとき、 F(m) = m となる m が存在する。

                       (このような m のことを、関数 F(x) の不動点と言う!

(証明)  G(x)=F(x)−x とおくと、G(x)は、閉区間 [ 0 , 1 ] で連続であり、

     G(0)=F(0)≧0  、 G(1)=F(1)−1≦0

    ここで、 G(0)=0 のときは、 m=0 とおけばよい。

          G(1)=0 のときは、 m=1 とおけばよい。

     G(0)>0 、 G(1)<0 のときは、中間値の定理より、

    G(m)=0 すなわち F(m)=m となる m(0<m<1)が存在する。

    よって、何れにしても、F(m)=m となる m(0≦m≦1)が存在する。 (証終)

(コメント) この不動点定理を、天才数学者の岡 潔先生は、当時の奈良女子大1年生に
      対して、次のように説明したという。

       長さ 1m のゴムひもの両端を両手で持って引っ張るとき、ゴムひものある1点
      で、始めの位置から微塵もずれない点が存在する。
       その点が不動点である...。


  上記の問題も、ピンと張ったゴムひもではなくヨレヨレのゴムひもが、原点と( 1 , 1 )に
 括り付けられていると考えれば、岡 潔 先生の言わんとしたことが伝わってきますね!


 実数解の存在を主張する場合に強力と思われた中間値の定理も次のような問題には非
力そうに見える。

例 3次方程式 4x3+3x2−6x+1=0 は、0 と 1 の間に解を持つことを示せ。

 F(x)=4x3+3x2−6x+1 とおくと、 F(0)=1>0 、 F(1)=2>0 なので、簡単に
は中間値の定理を適用させてくれない。

  グラフを描いて、

    F(1/2)=−3/4<0

 であることが察せられるので、中間値の定

 理を閉区間[0,1/2]に適用すれば問題は

 解決するが、あまり美しい解法とは言えない。



 このような場合は、次のロールの定理が有効である。

ロール(Rolle)の定理 ・・・ 1691年 仏の Michel Rolle (1652〜1719) により発表。

 関数 F(x) は、閉区間 [ a ,b ] で連続

で、開区間 ( a ,b ) で微分可能とする。

  このとき、 F(a)=F(b) ならば、

   F’(m)= 0 となる m ( a<m<b )

が存在する。







 この定理を上記の問題に適用してみよう。

(解) F(x)=x4+x3−3x2+x とおくと、 F(0)=F(1)=0 が成り立つ。

   F(x)は、閉区間 [ 0 , 1 ] で連続であり、開区間 ( 0 , 1 ) で微分可能なので、

 ロールの定理より、 F’(m)=0 となる m (0<m<1)が存在する。

 よって、
       4m3+3m2−6m+1=0 となる m (0<m<1)が存在する

 ので、題意は示された。 (終)

(コメント) ロールの定理というと今まで平均値の定理の橋渡し的存在と思っていましたが、
      意外な活用法を知って感動しました。

 読者のために、練習問題を残しておこう。

問 題  4次方程式 5x4−4x+1=0 は、0 と 1 の間に解を持つことを示せ。

(解) F(x)=x5−2x2+x とおくと、 F(0)=F(1)=0 が成り立つ。

   F(x)は、閉区間 [ 0 , 1 ] で連続であり、開区間 ( 0 , 1 ) で微分可能なので、

 ロールの定理より、 F’(m)=0 となる m (0<m<1)が存在する。

 よって、
       5m4−4m+1=0 となる m (0<m<1)が存在する

 ので、題意は示された。 (終)


 このロールの定理を用いると、いろいろ面白いことが分かるらしい。

(1) ロールの定理で、「 F(a)=F(b)=0 」という特殊な場合を想定すると、次のことが成
   り立つことは明らかだろう。 (F(a)=F(b)=0 となる a、b をF(x)の零点という

    F(x)の零点が、a 、b のとき、F’(x)の零点は、a 、b の間にある

    F(x)の零点が、n個あるとき、F’(x)の零点は、少なくとも n−1個ある

  この事実を用いると、解の個数が特定される場合がある。

例 方程式 x2+xcosx−sinx−1=0 は実数解を、ちょうど 2個だけ持つことを示せ。

(解) F(x)=x2+xcosx−sinx−1 とおくと、F(x)は、閉区間 [ −π/2 , π/2 ] で連

   続であり、開区間 ( −π/2 , π/2 ) で微分可能である。

    また、 F(−π/2)=π2/4>0 、 F(0)=−1<0 、F(π/2)=π2/4−2>0

   なので、中間値の定理により、方程式 x2+xcosx−sinx−1=0 は実数解を少な

   くとも2個持つ。

    いま、方程式 x2+xcosx−sinx−1=0 の実数解が3個以上と仮定する。

   このとき、 ロールの定理より、方程式 F’(x)=2x−xsinx=0 は、2個以上の実

   数解を持つ。

   ところが、明らかに、 2x−xsinx=0 即ち、 x(2−sinx)=0 は、x=0 の1個し

   か解を持たない。 これは、矛盾である。

   よって、方程式 x2+xcosx−sinx−1=0 の実数解は、ちょうど 2個である。(終)

(コメント) このようなロールの定理の使い方は、私自身初めての経験で新鮮でした!

      y=1−x2 と y=xcosx−sinx のグラフを描かせると、解の個数は明らかだ
     が、グラフでは味わえない爽快感が感じられました!皆さんも同感かな?

         

(2) ロールの定理というと、やはり、「 F(a)=F(b)=0 」という条件で適用する場合が多
   いような...実感!

    関数 F(x) は、閉区間 [ a ,b ] で連続で、開区間 ( a ,b ) で微分可能と

  する。 このとき、 F(a)=F(b)=0 ならば、

  F(m)= F’(m) となる m ( a<m<b )が存在する。


   直ぐには信じられないような結果ですね!でも、ロールの定理がこの信じられない結
  果にお墨付きを与えるんだよね...。

   例えば、 F(x)=x2−2x とおくと、

     F(x)は、閉区間 [ 0 ,2 ] で連続、開区間 ( 0 ,2 ) で微分可能で、

    F(0)=F(2)=0 が成り立つ。このとき、上記の結果は、

     方程式 F(x)=F’(x) すなわち、 x2−2x=2x−2 が、0<x<2 に解を持つ

    ことを主張するものである。

     実際に、 x2−4x+2=0 の解は、x=2± で、0<2−<2 である。

   これが、いつも成り立つというから驚きだ。

(証明) G(x)=e−x・F(x) とおく。(← このような置き方は、尋常ではないですよね?

    このとき、 関数 G(x) は、閉区間 [ a ,b ] で連続、開区間 ( a ,b ) で微分可能

    で、しかも、 G(a)=G(b)=0 が成り立つ。

     よって、ロールの定理より、 G’(m)=0 となる m ( a<m<b )が存在する。

    G’(x)=−e−x・F(x)+e−x・F’(x)=−e−x{ F(x)−F’(x) } より、

            G’(m)=−e−m{ F(m)−F’(m) }=0

    となる m ( a<m<b )が存在する。 e−m≠0 なので、以上から、

      F(m)−F’(m)=0 すなわち、 F(m)=F’(m) となる m ( a<m<b )が存

    在する。 (証終)

 ここで、先に述べたロールの定理の略証を与えておこう。

(略証) y 軸方向に平行移動させて、「F(a)=F(b)=0」としても一般性は失われない。

 閉区間 [ a ,b ] で恒等的に F(x)=0 ならば、定理は明らかに成り立つ。

 そこで、閉区間 [ a ,b ] で恒等的に F(x)は、0 ではないとしてよい。

 このとき、 F(c)≠0 となる c が存在する。

 適当に(−1)を掛けることによって、F(c)>0 としても一般性は失われない。

 閉区間 [ a ,b ] において、 F(x)の最大値を M とすると、 M=F(m) となる m が存

 在する。このとき、 0<F(c)≦M で、 F(a)=F(b)=0 より、 a < m < b である。

 さらに、F(x)は、開区間 ( a ,b ) で微分可能で、十分小なる h に対して常に、

       F(m+h)−F(m)≦0

 であるので、

     

 かつ

    

 が成り立つ。

  よって、 F’(m)=0 となる。 (略証終)


 ロールの定理が示されれば、平均値の定理を示すことは容易である。

平均値の定理(Mean Value Theorem) ・・・ J.L.Lagrange (1736〜1813)

  関数 F(x) は、閉区間 [ a ,b ] で連続で、開区

 間 ( a ,b )で微分可能とする。

  このとき、
        

 となる m ( a<m<b )が存在する。






(証明) 
      

 とおき、関数 G(x)=F(x)−F(a)−k(x−a) を考えると、関数 G(x)は、

閉区間 [ a ,b ] で連続で、開区間 ( a ,b )で微分可能であり、 G(a)=G(b) となる。

よって、ロールの定理より、G’(m)=0 すなわち、 k=F’(m) となる m ( a<m<b )

が存在する。 (証終)

 この平均値の定理を用いると、次の事実が厳密に証明される。

   関数 F(x) が、閉区間 [ a ,b ] で微分可能で、常に、F’(x)=0 ならば、

  関数 F(x) は、この閉区間 [ a ,b ] で定数である。


(証明) a<x≦b である任意の x に対して、 F(x)=F(a)+F’(m)(x−a) となる m

    ( a<m<x )が存在する。 F’(m)=0 なので、常に、 F(x)=F(a) となる。

    よって、閉区間 [ a ,b ] で常に、 F(x)は定数 となる。 (証終)

 上記の事実は、不定積分の計算や微分方程式の理論の基礎となるものである。

 次の事実も関数の増減判定には欠かせないものである。

   関数 F(x) が、閉区間 [ a ,b ] で微分可能で、常に、F’(x)>0 ならば、

  関数 F(x) は、この閉区間 [ a ,b ] で増加する。


(証明) a≦x1<x2≦b である任意の x1、x2 に対して、

      F(x2)−F(x1)=F’(m)(x2−x1) となる m ( a<m<x )が存在する。

     F’(m)>0 なので、常に、 F(x2)−F(x1)>0 となる。

    よって、閉区間 [ a ,b ] で常に、 F(x)は増加関数である。 (証終)

 平均値の定理は次のような形にも変形される。

 関数 F(x) は、閉区間 [ a ,b ] で連続で、開区間 ( a ,b )で微分可能とする。

  このとき、 F(b)=F(a)+h・F’(a+θh)  (ただし、 h=b−a )

 となる θ ( 0<θ<1 )が存在する。



 次のような問題が、平均値の定理を学習した後に教科書に載っていた。正直に告白する
と、今では何でもないが、高校時代は訳も分からずに計算していたように思う。何かこれま
での数学の計算とはちょっと違うような高尚さを感じて敷居が高く感じられた。

例 関数 y=x2 について、区間 [1,2]に平均値の定理を適用し、m 、θの値を求めよ。

(解) 4−1=2m(2−1) より、 m=3/2

    m=1+θ(2−1) より、 θ=1/2 (終)

例 関数 y=1/x について、区間 [1,2]に平均値の定理を適用し、m 、θの値を求めよ。

(解) 1/2−1=(−1/m2)(2−1) より、 m=

    m=1+θ(2−1) より、 θ=−1 (終)


 この Lagurange の平均値の定理は、Cauchy の平均値の定理に拡張される。

Cauchy の平均値の定理

 関数 F(x)、G(x) は、閉区間 [ a ,b ] で連続で、開区間 ( a ,b )で微分可能

とし、さらに、開区間 ( a ,b )で、 G’(x)≠0 とする。

このとき、
        

となる m ( a<m<b )が存在する。


(コメント) 分母と分子で、共通の m が取れることを主張するものでスゴイですね!

(証明) 開区間 ( a ,b )で、 G’(x)≠0 なので、 G(a)≠G(b) である。そこで、

            

  とおいて、 H(x)=F(x)−F(a)−k(G(x)−G(a)) とすると、関数 H(x)は、

閉区間 [ a ,b ] で連続で、開区間 ( a ,b )で微分可能であり、 H(a)=H(b) となる。

よって、ロールの定理より、H’(m)=0 すなわち、 F’(m)−kG’(m)=0 となる m

( a<m<b )が存在する。 (証終)


 明らかに、平均値の定理は、Cauchy の平均値の定理において、G(x)=x の場合であ
る。

 平均値の定理をさらに拡張すれば、Taylor の定理へと進展するが、このページのテーマ
「実数解の個数」からますます遠くなってしまうので、Taylor の定理に関する話題は別なペ
ージに委ねて、本題に戻ることにしよう。

問 題 方程式 2x−x2−1=0 の実数解の個数を求めよ。


   グラフ描画ソフトを活用すれば、

     y=2x

    と

     y=x2+1

  の交わりの様子から、実数解の個数

  は、3個であると推察されるが、このよ

  うな解法は、このページの趣旨に反す

  ることである。















(解) 関数 F(x)=2x−x2−1 とおくと、F(x)は連続で微分可能な関数である。

   x<0 において、 2x<1 、 x2+1>1 なので、 F(x)=0 となる実数解は存在

  しない。

   また、  x=0 のとき、 F(0)=0 となるので、x=0 は実数解である。

        x=1 のとき、 F(1)=0 となるので、x=1 は実数解である。

   0<x<1 において、 F(x)=0 となる実数解 c が存在すると仮定する。

   このとき、ロールの定理より、 F’(x)=0 となる m1、m2 (m1<m2 )が存在する。

   さらに、ロールの定理より、 F”(m)=0 となる m (m1<m<m2 )が存在する。

   ところが、 F’(x)=2xlog2−2x 、 F”(x)=2x(log2)2−2 より、

   0<m<1 において、 F”(m)=2(log2)2−2<2((log2)2−1)<0 なので、

   これは矛盾である。

    よって、0<x<1 において、 F(x)=0 となる実数解は存在しない。

   また、 1<x<2 において、

       F”(x)=2x(log2)2−2<4(log2)2−2=(log4)2−2<0

   なので、 F’(x) は単調に減少し、 F’(1)=2log2−2=2(log2−1)<0

   より、 1<x<2 において、 F’(x)<0 となり、F(x) は単調に減少する。

      F(1)=0 なので、 1<x<2 において、 F(x)<0 となる。

   よって、 1<x<2 において、 F(x)=0 となる実数解は存在しない。

    ここで、 F(2)=4−4−1=−1<0 、 F(5)=32−25−1=6>0 なので、

   2<x<5 において、 F(x)=0 となる実数解が少なくとも1個存在する。

    いま、2<x<5 において、 F(x)=0 となる実数解が2個以上存在するものとし、

   そのうちの2個を c1、c2 ( c1<c2 )とする。

   このとき、1<x<5 において、ロールの定理より、

         F’(x)=0 となる m1、m2 (1<m1<c1<m2<c2 )が存在する。

   しかるに、  F’(x)=0 は、 0<x<1 と 1<x に1個ずつしか解を持たないので、

   これは矛盾である。

   よって、 2<x<5 において、 F(x)=0 となる実数解が1個存在する。

   x>5 において、

      F”(x)=2x(log2)2−2>32(log2)2−2=2(4(log4)2−1)>0

   より、 F’(x) は単調に増加し、 F’(5)=32log2−10=16log4−10>0

   なので、 x>5 において、 F(x)>0 となる。

    よって、x>5 において、 F(x)=0 となる実数解は存在しない。

   以上から、求める方程式の実数解の個数は、3個である。 (終)

(コメント) かなりシビアに評価しないといけないので、ちょっとシンドイですね!グラフの方
      が楽だ〜!!でも、上記の解答、もっと整理されないのかな?

問 題 実数係数の n 次の多項式 F(x)=a0+a1n-1+・・・+an-1x+a が、相異な

    る n+1 個の零点を持てば、0≦k≦n なる全ての k に対して、 a=0 となるこ

    とを示せ。


(解) 自然数 n に関する数学的帰納法で示す。

  n=1 のとき、 a0・α+a1=0 、 a0・β+a1=0 (但し、 α≠β) より、

           a0・(α−β)=0

      α≠β なので、 a0=0  これより、 a1=0

    よって、 命題は、 n=1 のとき成り立つ。

 n=k( k は任意の自然数)のとき、命題が成り立つものと仮定する。

  n=k+1 のときを考える。 すなわち、実数係数の k+1 次の多項式

      F(x)=a0k+1+a1+・・・+ax+ak+1

  が、相異なる k+2 個の零点を持つときを考える。このとき、ロールの定理より、

  実数係数の k 次の多項式

      F(x)=(k+1)a0+ka1k-1+・・・+a

  が、相異なる k+1 個の零点を持つ。帰納法の仮定から、

     (k+1)a0=0 、 ka1=0 、 ・・・ 、 a=0

  このとき、 a0=0 、 a1=0 、 ・・・ 、 a=0 で、さらに、 ak+1=0 となる。

 よって、n=k+1 のときも命題は成り立つ。

 以上から、数学的帰納法により、全ての自然数 n について、命題は成り立つ。 (終)


(コメント) これは、「数学U」で学ぶ「恒等式」の原理ですね!これまでがロールの定理の
      範疇になるとは驚きです。




   以下、工事中