手計算が面白い                   戻る

 平方根の計算ができる電卓が、ほぼタダ同然で手に入る世の中にあって、いろいろな数
学的値が実感できない人が増えつつある。

  の値が把握されていないものだから、底辺、垂辺の長さが、1 と 2 の直角三角形を
書くと、斜辺の長さは、何も考えずに、 と自信満々に答える。相当に、2:1: の比
をもつ三角形の呪縛にはまっているという感じである。

  は、2 より小さい数なので、この3辺の組合せでは、決して斜辺の長さとはなり得ない。
小学・中学・高校において、数の値を把握する訓練の必要性を痛感する。

 例えば、中学3年で学習する「分母の有理化」は、数の値を把握するための計算なのであ
り、何も「分母に無理数があると美しくないから」という理由で有理化するわけではないので
ある。

 ここら辺の認識が現在の中学・高校生にはないように感じられる。だから、分母に無理数
を残したままでよいというと、一様に生徒は戸惑いを覚えるようだ。いままで、機械的に分母
の有理化を行ってきたツケだろう。

 みなさんは、次の問にすぐ答えることができるだろうか?

問  ≒1.732 であることを用いて、次の数はおおよそいくら位か?

 (1)             (2)   

                               (答) (1) 0.577  (2) 2.366

 手計算で平方根、立方根を計算する方法も知られているので、もし興味をもたれたら是
非、挑戦して欲しいと思う。

 このページでは、いろいろな値を手計算で求める方法についてまとめてみたい。

 例  の値を小数第1位まで正しく求めよ。

   (解) 42<23<52 で、4< <5 より、  =4+α (0<α<1) とおけ

      る。両辺を平方して式を整理すると、 α2+8α−7=0  という2次方程式が得

      られる。このとき、10α (αの10倍を考えることにより、αの小数第1位を求める!)を X

      とおく。 α=X/10 を、さきほどの2次方程式に代入して式を整理すると、

グラフによる解法      X2+80X−700=0

 F(X)=X2+80X−700 とおくと、

     F(7)=−91<0、F(8)=4>0

 したがって、左図より、10α=X=7.・・・ となるので、

  α=0.7・・・ であることが分かる。
 

                  以上から、  ≒ 4.7・・・ となる。

 この方法を順次続ければ、平方根の値により近い小数が得られる。

 (因みに、電卓を用いれば、 ≒ 4.79583・・・ である。)

 例  の値を小数第1位まで正しく求めよ。

   この値は、関数電卓を用いれば、 =0.630929746・・・ である。関数電卓が

  なくても、小数第1位ぐらいまでは手計算で、いつも求まるようにしておきたいものだ。

   (解) 26<34 より、2<30.666・・・ だから、 <0.666・・・

      また、35<28 より、30.625<2 だから、0.625<

      したがって、0.625< <0.666・・・ となり、 ≒0.6・・・ であるこ

     とが分かる。

  この手計算で、 の小数第2位を決定することは難しい。

 220=1048576、313 =1594323 で、220<313 より、2<30.65 だから、

    0.625< <0.65 を求めるのが精一杯である。

 例  の値を小数第1位まで正しく求めよ。

   (解) 52<33、37<55 より、1.4< <1.5 だから、 ≒1.4・・・

 例  のおおよその値を求めよ。

   (解) 23=8≒10 だから、3 ≒ 1   よって、 ≒ 0.3・・・

       23<32<10 だから、3 <2 <1

      よって、0.45・・・< <0.5 の範囲の数であることが分かる。

 例 220 は何桁の数で、その首位の数は何か?

   ただし、 ≒0.3010 とする。


   (解)  ≒ 0.3010  だから、20 ≒6.02

      よって、106<220<107 となり、7桁の数であることが分かる。

      また、0<0.02<0.3010 より、6<6.02<6+

      したがって、106<220<2・106 だから、220 の首位の数は、1 である。

      (因みに、220 =1048576 である。)

 例 (1/2)20 は小数第何位に初めて0でない数字が現れるか?また、その数字は

  何か? ただし、 ≒0.3010 、 ≒0.4771 とする。


   (解) −20 ≒ −6.02 なので、10-7<(1/2)20<10-6

      よって、小数第7位に初めて0でない数字が現れる。

      また、−6.02=−7+0.98 で、2×0.4771<0.98<1 だから、

      −7+2× <−6.02 <−6 すなわち、9・10-7<(1/2)20<10-6
      したがって、求める数は、9 である。

      (因みに、(1/2)20 =0.00000095367・・・ である。)

 例 (0.99)10 の値を小数第2位まで正しく求めよ。

   (解) 2項定理 (a+b)=a+nan-1b+n(n-1)/2an-22+・・・+b を用いて、

      (0.99)10=(1−0.01)10

            =1−10・0.01+45・0.0001−120・0.000001+・・・

             ≒0.90・・・   (第3項の45・0.0001以下急速に小さくなる!)

 例  の値を小数第3位まで正しく求めよ。

   ただし、 ≒0.3010 、 ≒0.4771 とする。


   この問題は、東北大学 理系 後期(2008)の入試問題の一部である。

   (解) 4=log102401 であるのに対して、その近くの値として

      log102400=log1024×100

             =log103+3log102+2

             =0.4771+3×0.3010+2

             =3.3801

      であることに注目する。

      ここで、 log102401−log102400=log10(1+1/2400)

       ところで、 x≧0 のとき、 log(1+x)≦x が成り立つ。

      実際に、 F(x) = x−log(1+x) とおくと、

         F’(x) = 1−1/(1+x) = x/(1+x) ≧0

      であるので、 F(x) は単調に増加する。 また、 F(0) = 0 であるので、

       x≧0 のとき、 F(x) ≧ 0 となり、 log(1+x) ≦ x となる。

      このことから、 log102401−log102400

               =log10(1+1/2400)

               <log(1+1/2400)≦1/2400=0.0004166・・・

      より、 log102401<log102400+0.0004166・・・=3.3805166・・・

      すなわち、 3.3801<4<3.38052 より、

               0.845025<<0.84513

      なので、 の値を小数第3位まで正しく求めれば、 0.845 となる。

(追記) 平成20年7月30日付け

 当HPの掲示板「出会いの泉」にHN「まったりーな」さんが関数電卓について書き込みを
された。

 関数電卓が、Windows に標準で付いているということを伺って、いろいろ遊んでみた。

手持ちのカシオの関数電卓を久しぶりに引っ張り出して使ってみたら、液晶部分が黒ずんでいてひど
くガッカリした!私のお気に入りだったのに...。


 普通の電卓も関数電卓もともに32桁の表示で、かなり高性能である。これだと、もう関数
電卓を別途購入する必要は全くないですね!

 常用対数は通常4桁くらいしか覚えておらず、その先がどうなっているか興味があったの
で計算させてみた。

  log102 ≒ 0.3010 2999 5663 9811 9521 3738 8947 2449 ・・・

  log103 ≒ 0.4771 2125 4719 6624 3729 5027 9032 5512 ・・・

 掲示板で、「まったりーな」さんは、次の問題を提起された。

   3の1000乗を常用対数表を使って、近似値を求めたい

 数学Uで学ぶ手法では、次のように解かれる。

 log101000=1000×log10

通常は、log103 ≒ 0.4771 より、 log101000 ≒ 477.1 となるので、

  log10 a =0.1 となる数 a をとれば、a はだいたい 1.26〜1.58 の間の数で、

     31000 ≒ a × 10477

と書けることになる。

 このことから、31000 は、478桁の整数で、首位の数は、1 で、末位の数も 1 となる。

ここら辺が、常用対数表で求められる限界である。

 Windows に標準でついている関数電卓に出会うまでは、上記の解答で満足していた
が、「まったりーな」さんに教えていただいた関数電卓を使うとさらに詳しく調べられる。

  log103 ≒ 0.4771 2125 4719 6624 3729 5027 9032 5512 ・・・

なので、

 log101000=1000×log10

        =477.1212 5471 9662 4372 9502 7903 2551 2 ・・・

 よって、 log10 a =0.1212 5471 9662 4372 9502 7903 2551 2 ・・・

となる a の値を詳しく求めれば、31000 に関する情報も詳しくなる。

 関数電卓を用いると、

  a ≒ 1.3220 7081 9480 8066 3689 0455 2597 664 ・・・

と簡単に求められる。(「Inv」と「log」を活用すればよい!)

 このことから、怖ろしく大きい数 31000 のだいたいの様子が分かる。

 1000 ≒ 1322 0708 1948 0806 6368 9045 5259 7664 ・・・・ ・・・1

 これは、ちょっと感動ものですね...!

 こんな面倒なことをせず関数電卓を使えば、

 1000 ≒ 1322 0708 1948 0806 6368 9045 5259 7521 ・・・・ ・・・1

と出る。

 先頭から30番目以降の数に違いがあるので、ここら辺から誤差が生じているのだろう。

ちょっと、気になりますね...?

(コメント) 関数電卓は、今後私とお友達になれそうです。関数電卓のことを教えていただ
      いた「まったりーな」さんに感謝いたします。