数独の数理                             戻る

 平成19年5月11日、当HPの掲示板「出会いの泉」に、ゆうさんという方から書き込み
があった。

  私は、現在数独(ナンプレ)について研究しています。9×9が基本なのですが、まず、
 導入として4×4の数独について考えています。4×4の数独は、最低どれだけの数字
 が入っていればパズルとして成立するのかがまだ証明できません。何かよい方法は、
 ありませんか?


 この問いかけに対して、当HPがいつもお世話になっている、らすかるさんが明解に回答
された。(5月11日付け)

○ 4×4 の数独のパターンは全部で、288通り

 (らすかるさんの解答) 1行目と2行目、3行目と4行目、1列目と2列目、3列目と4列目
               は、それぞれ交換可能。
                よって、1の位置を例えば、
                                  1□□□
                                  □□1□
                                  □1□□
                                  □□□1

               と固定した場合の解の個数を、24=16倍すれば求められる。

                次に、「2」と「3」と「4」は入れ替え可能なので、
                                  1 2 □□
                                  3 4 1 □
                                  □1□□
                                  □□□1
               と固定した場合の解の個数を、3!=6倍すれば
                                  1□□□
                                  □□1□
                                  □1□□
                                  □□□1
               の解の個数が求められる。
                                  1 2 □□
                                  3 4 1 □
                                  □1 □□
                                  □□□1
               の解は、
                      1234   1243   1234
                      3412   3412   3412
                      2143   2134   4123
                      4321   4321   2341
               の3通り。ここで、
                             1243
                             3412
                             □134
                             □321
               を満たす場合は上記のように1通りしかないことに注意。

                以上から、求める場合の数は、

                     3×3!×24=3×6×16=288(通り)

(コメント) らすかるさんの解法は、とても斬新でエレガントですね! 以下に、高校生流の
      解法を考えてみました。

 左上の2×2のマス目には、1,2,3,4 の数字を自由に並べていいので、その順列の
数は、4!=24通り。そのうちの1通り、例えば、
                               1 2 □□
                               3 4 □□
                               □□□□
                               □□□□
について、右上の2×2のマス目で、数字の 1 が入る場合は、下記のアまたはイの2通り。
                               1 2 □□
                               3 4 アイ
                               □□□□
                               □□□□
いま、アに、数字の 1 が入るとすると、イには、数字の 2 しか入らない。
                               1 2 □□
                               3 4 1 2
                               □□□□
                               □□□□
このとき、右上の2×2のマス目でア、イ には数字の 3、4 が入り、その場合の数は2通り。
例えば、アには数字の 3、イ には数字の 4 が入る場合:
                               1 2 3 4
                               3 4 1 2
                               □□□□
                               □□□□
 この場合について、左下、右下の2×2のマス目において、数字の 1 の入り方は、
                         1 2 3 4     1 2 3 4
                         3 4 1 2     3 4 1 2
                         □1 □□     □□□ 1
                         □□□ 1     □1 □□
の2つの場合があるが、残りの数字の入れ方を考えると、

    1 2 3 4
    3 4 1 2
    □1 □□
    □□□ 1
  からは、   1 2 3 4     1 2 3 4
  3 4 1 2     3 4 1 2
  2 1 4 3     4 1 2 3
  4 3 2 1     2 3 4 1
    1 2 3 4
    3 4 1 2
    □□□ 1
    □1 □□
  からは、   1 2 3 4     1 2 3 4
  3 4 1 2     3 4 1 2
  2 3 4 1     4 1 2 3
  4 1 2 3     2 3 4 1

同様にして、アには数字の 4、イ には数字の 3 が入る場合:
                               1 2 4 3
                               3 4 1 2
                               □□□□
                               □□□□
 この場合について、左下、右下の2×2のマス目において、数字の 1 の入り方は、
                         1 2 4 3     1 2 4 3
                         3 4 1 2     3 4 1 2
                         □1 □□     □□□ 1
                         □□□ 1     □1 □□
の2つの場合があるが、残りの数字の入れ方を考えると、

    1 2 4 3
    3 4 1 2
    □1 □□
    □□□ 1
  からは、   1 2 4 3
  3 4 1 2
  2 1 3 4
  4 3 2 1
    1 2 4 3
    3 4 1 2
    □□□ 1
    □1 □□
  からは、   1 2 4 3
  3 4 1 2
  4 3 2 1
  2 1 3 4

 以上から、求める場合の数は、 4!×2!×(4+2)=288(通り) となる。


○ 13個の数字があれば、必ず解が一つに定まる

 (らすかるさんの解答)  例えば、12個では、
                              12 34
                              34 12
                              2□4□
                              4□2□
                のような場合に、解が一つに定まらない。

○ 解が一つに決まるパターンで数字の最小個数は、4個

 (らすかるさんの解答)  例えば、
                       1□□□
                       □□2□
                       3□□□
                       □□4□
                という例は、解が一つしかない。
                 また、数字3つでは解が一つしかないパターンが存在しないこ
                とは、プログラムによる全数調査で調べられる。

 らすかるさんによれば、数字3つの場合、解のパターンの最小個数は3個だそうだ。

 当HPがいつもお世話になっている未菜実さんからも情報が寄せられた。(5月11日付け)

  数学セミナー 2006年5月号「Sudokuがイギリスで大ブレイク」(西山 豊)に次のよ
 うなことが載っている。

   4×4では、288個のパターンだが、9×9だと、9!×722×27×27704267971
  即ち、約 6.671×1021個になる。
     (B.フェルゲンハウエルとF.ジャービスによる(2005年))

   唯一解の存在は、非対称で17個のヒント数字、対称で18個と過去の発表から想定さ
  れているが、きちんと数学的に証明されたわけではないとのことである。


 また、未菜実さんのHP「数理パズル入門」でも、数独の問題が載せられている。何やら難
しそうな予感...。

 未菜実さんによれば、数独の歴史については、Wikipedia の「数独」が詳しいそうだ。

(追記) 平成19年7月10日付け

 数独は、時間つぶしに一つずつ数字を埋めていくものだと思っていたが、Excel のVBAや
関数を駆使されて解を求める手順の自動化を図った方がおられる。

 神奈川県の林 勇一郎さんが、「数独全自動」というプログラムを公開された。

 (上記をクリックして適当なフォルダに保存(29.9KB)し、解凍(119KB)してご利用下さい。

 Excel ファイルを開いて、セル K1 : S9 に問題であらかじめ与えられている数字を入力
し、入力が終わったら、「数独」のボタンをクリック。直ちに解の探索が始まります。

 数独に関する書籍は数多いですが、手元にある本で、難問と言われる問題を実行させて
みたら、わずか2秒で解が求まりました。

 試しに未菜実さんのHP「数理パズル入門」にのっている数独の問題(2007.4.14)を
やらせてみたら、何と40秒もかかりました!

 未菜実さんの問題は、「超」がつくくらいの難問ですね!

 このファイルを使うと、パズルの醍醐味が味わえなくなりそうですが、逆に、新しい問題を
作るときに応用できそうで使い道は無限大ですね...。このような貴重なファイルを公開さ
れた林さんに感謝いたします。

 なお、「数独」という名称は、パズル制作会社「ニコリ」の登録商標になっているので、一般
には、「ナンバープレイス(ナンプレ)」と呼んだ方がいいようだ。

 ナンプレの解法のテクニックは、解いていくうちに自然と身に付くと思うが、次の2つが基本
的なスタンスとなろう。

 (1)数字の配列を見て、入るべき数字を書き込む

 (2)マス目に入るであろう数字の候補をあげ、数字の配列から、候補を絞り込む

 いま、たくさんのナンプレの書籍や新聞のパズル欄が充実しているので、暇を見つけて挑
戦されてはどうでしょうか。


(追記) 平成24年2月18日付け

 慶應義塾大学 薬学部(2012)の入試問題に、上記で考察された「4×4 の数独」の問
題が出題された。

 数独が脚光を浴びた時代に中学・高校時代を送った受験生にとっては馴染みのある問題
と思われるが、「場合の数」を求めることは未経験と思われ、当HP読者の受験生にとっては
経験済みで取り組みやすかったのではないかと思われる。

 予備校の問題レベルでは、「難」に分類されているが、それほど高級な技を使うこともない
ので、難易レベルでは「易」としてもおかしくはない。

慶應義塾大学 薬学部(2012)

 右図のように、4行4列の計16個のマス目をつくり、さらに太線で

それぞれ2行2列からなる4つの区画に分ける。それぞれのマス目

に1から4までの数字を1つずつ書き込む。

 ただし、以下の3つの条件を全て満たすものとする。
  

  (イ) 各行には1、2、3、4が1回ずつあらわれる。

  (ロ) 各列には1、2、3、4が1回ずつあらわれる。

  (ハ) 各区画には1、2、3、4が1回ずつあらわれる。

 このとき、数字の書き込み方は全部で何通りあるか。

(解) 1行目に、1、2、3、4を並べる方法の数は、4!=24通り

   そのうちの1通り、例えば、「1、2、3、4」と並んでいるものとする。このとき、2行目の

  並べ方は、次の4通り。

 (1) 「3、4、1、2」  (2) 「3、4、2、1」  (3) 「4、3、1、2」  (1) 「4、3、2、1」

  (1) 「3、4、1、2」 の場合、3行目、4行目の並べ方は、

      「2、1、4、3」 、「2、3、4、1」 、「4、1、2、3」 、「4、3、2、1」
      「4、3、2、1」 、「4、1、2、3」 、「2、3、4、1」 、「2、1、4、3」

  (2) 「3、4、2、1」 の場合、3行目、4行目の並べ方は、

      「2、1、4、3」 、「4、3、1、2」
      「4、3、1、2」 、「2、1、4、3」

  (3) 「4、3、1、2」 の場合、3行目、4行目の並べ方は、

      「2、1、4、3」 、「3、4、2、1」
      「3、4、2、1」 、「2、1、4、3」

  (4) 「4、3、2、1」 の場合、3行目、4行目の並べ方は、

      「2、1、4、3」 、「2、4、3、1」 、「3、1、4、2」 、「3、4、1、2」
      「3、4、1、2」 、「3、1、4、2」 、「2、4、1、3」 、「2、1、4、3」

 したがって、求める場合の数は、4!×(4+2+2+4)=24×12=288(通り)  (終)

(コメント) 慶應義塾大学薬学部は、元の共立薬科大学。東京理科大学薬学部が郊外に
      移転したせいか、都心の薬学部として人気・レベルとも格段にあがっていますね!