重複組合せ                                 戻る

 相異なる n 個のものから重複を許して r 個とる組合せの数は、

     n+r−1 (通り)

で与えられる。これは、順列組合せの基本公式だろう。

 当HPの掲示板「出会いの泉」に、平成22年4月15日付けで、HN「H.I.」さんが、「長年
の悩みに決着を」と題して次のような書き込みをされた。

 組合せ数学の話ですが、詳しい方がいましたらご教授ください。高校で順列・組合せを学
んで以来、謎の設問があります。

 重複順列や重複組合せは使用する種別毎の個数に制限がありません。ならば、個数に
制限がある場合はどうなるのか?

 具体的に言うと、

  n 種のものから r 個取り出す組合せ(並べ方)の総数を求めよ。

 ただし、同種のもの同士に区別はなく、それぞれ a1、a2、a3、・・・、a 個ずつ存在

 し、 n=a1+a2+a3+・・・+a≧r とする。


 ごく簡単なものについては計算出来ますが、より一般的なものについての包括的な式や
定理はどういったものになるのでしょうか?


 この問いかけに対して、4月15日付けで、らすかるさんは、

 おそらく、「ごく簡単なものについては計算は出来ますが、より一般的なものについての包
括的な式や定理は存在しない」と思いますと述べられている。

 私もらすかるさんに同感で、解法の指針は与えられても、具体的な公式を得ることは出来
ないだろうな〜と直観的に思いました。

 4月16日付けで、GAIさんが次の書籍を紹介されている。

    日評数学選書「数え上げ組合せ論入門」
   (成嶋 弘著 日本評論社  ISBN4-535-60138-0)

 いろいろな数え上げに関する考察をコーシー・フロベニウスの定理により統一的視点から
記述されているとのことである。

 私は、次の書籍がこの問題については大いに参考になるものと確信する。

  G.ポリア、R.E.タージャン、D.R.ウッズ 著  今宮淳美 訳
    組合せ論入門  (近代科学社)


 4月16日付けで、at さんが

  求める場合の数は、

    

 の展開式における x の係数に等しい

と述べられているが、この母関数利用の方法は、上記の本の 11頁〜15頁に詳しく記述
されている。

 at さんの計算によれば、例えば、

 n=500 、r=1000 、aj=j ( j=1、2、・・・、n ) のときの求める場合の数は、

=67437688485159846865006105864543188233416431144570419716970023167492
754668340141452921577497235988038714364199582084267957349987726052909
174078840391375692844915973708233511193723261021381047652042172309628
558600375293549516060052492993528323385553789663008670297550191557409
356154541417380100551204881129712233947783683031299391260471601457521
58683103936526198611180521259061206710617857809451727609003289269893.

になるとのこと。


 当HPの掲示板「出会いの泉」に、平成22年4月29日付けで、HN「和哉ーk」さんが次の
ような書き込みをされた。

 先日の授業で「n回サイコロ投げたとき、出た目の数の和がn+5になる確率を求めよ。」
という問題は、通常の解答以外に重複組み合わせでも解けると先生が言われたのですが、
分かる人教えてくれませんか?


 この問いかけに対して、4月30日付けで、らすかるさんは、

 全部が 1 のとき合計が n なので、あと 5 をどこかに足せば n+5 になります。よって、n
回のうち重複を許して5個選べば場合の数が出るので、求める確率は 5/6 となります。


と明解に答えられた。この問題では、「+5」が大きな意味を持っていて、らすかるさんの解
答で、1に5を足しても6となり、さいころの目の数を超えないという点がミソだろう。

 そうすると、さいころの目の数を超える可能性のある「目の和がn+6となる場合の数は?」
という問いかけが気になってくる。

 これについても、4月30日付けで、らすかるさんは、明解に答えられた。らすかるさんに感
謝します。

 a≦5 のとき、和が n+a となるのは、 通り

 a=6 のとき、和が n+6 となるのは、7以上の目を許せば、 6 通り

        このうち、7の目が出来てしまうものは、n 通り

         よって、和が n+6 となるのは、 6−n 通り

 a=7 のとき、和が n+7 となるのは、7以上の目を許せば、 7 通り

        このうち、7以上の目が出来てしまう箇所は、n 通りで、そのうちの1通りに対

        して、8の目または7と2の目が出来る場合の数は、1 通り

         よって、和が n+7 となるのは、 7−n・1 通り

        (上記の、n・1=n2 通りの計算は次のように考えてもよい。
          8の目が出来てしまうものは、n 通り
          7の目と2の目が出来てしまうのは、n・(n−1) 通り
         よって、7以上の目が出来てしまうのは、 n+n・(n−1)=n2 通り)

  a=7における考え方を振り返ると、a=6の場合は、6−n・0 通りとも考えられる。

 同様にして、

 和が、n+8 となるのは、 8−n・2 通り

 和が、n+9 となるのは、 9−n・3 通り

 和が、n+10 となるのは、 10−n・4 通り

 和が、n+11 となるのは、 11−n・5 通り

 和が、n+12 となる場合、上記と同様に考えると、 12−n・6 通りである。

 しかし、n・6 通りの中には、2箇所で7になる場合も含まれているので、この場合は除

 外しなければならない。2箇所で7になる場合の数は、20 通りなので、

 求める場合の数は、 12−n・620 通り

  上記の考え方を振り返ると、 121620 通りとも考えられる。

 同様にして、

 和が、n+13 となるのは、 131721 通り

 和が、n+14 となるのは、 141822 通り

 和が、n+15 となるのは、 151923 通り

 和が、n+16 となるのは、 1611024 通り

 和が、n+17 となるのは、 1711125 通り

 和が、n+18 となるのは、 181122630 通り

 和が、n+19 となるのは、 191132731 通り

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 以上から、一般に、和が、n+a となる場合の数は、

       

となる。

(コメント) 今まで知らない公式で、感動しました!重複組合せの考え方が巧妙に使われ
      ていますね。

 この話題について、GAI さんからご教示頂きました。(平成22年5月2日付け)

 n 個のサイコロを投げるとき、目の和が N となる場合の数は、多項式

    (x+x2+x3+x4+x5+x6

を展開したときの、x の係数を調べればいいと聞いたことがあります。

適当なソフト(MathematicaやPARI/GP)で展開してやれば比較的簡単に求まります。

(コメント) この解法は、4月16日付けで、at さんが紹介した多項式の特別な場合になり
      ますね!



   以下、工事中