正三角形の個数                           戻る

 目で見えるものを数えることは、少しの忍耐を許容すれば易しい。目で見えないものを数
えるには、目で見える場合から規則性を発見して、その性質を利用して数える場合が多い。

 このページでは、いくつかの例を通して、そのような場合の対処の仕方を整理しておこうと
思う。

 下図のように、1辺 n の正方形の縦、横が n 等分され、平行線が引かれている。
  この図の中に正方形は大小合わせていくつあるか?

            

 n=4 の場合について、その数え方の実際を見てみよう。

  面積 1 のもの ・・・・・ 16個   これは、 42 個と考えてもよい。

  面積 2 のもの ・・・・・  9個   これは、 32 個と考えてもよい。

  面積 3 のもの ・・・・・  4個   これは、 22 個と考えてもよい。

  面積 4 のもの ・・・・・  1個   これは、 12 個と考えてもよい。

 よって、求める正方形の個数は、 16+9+4+1=30 (個)

 このことから、一般の n について、求める正方形の個数は、

   n2 + (n−1)2 + (n−2)2 + ・・・ + 22 + 12 = n(n+1)(2n+1)/6 (個)

であると言える。

 下図のように、1辺 n の正三角形の各辺が n 等分され、平行線が引かれている。
  この図の中に正三角形は大小合わせていくつあるか?

       

 n=4 の場合について、その数え方の実際を見てみよう。

ここで、1辺 1 の正三角形の面積を、S とおく。

  面積   S のもの ・・・・・ 16個

  面積  4S のもの ・・・・・  7個

  面積  9S のもの ・・・・・  3個

  面積 16S のもの ・・・・・  1個

 よって、求める正三角形の個数は、 16+7+3+1=27 (個)

 この例の場合、正方形の場合と違って、その一般化は少し難しそうであるが、元の正三角
形と同じ向きのもの逆向きのものに区分けして考えると、何かしらの規則性が見えてくる。

  面積   S のもの ・・・・・ 16個( → 10 = (1+2+3+4)+6 )

  面積  4S のもの ・・・・・  7個( →   = (1+2+3)+1 )

  面積  9S のもの ・・・・・  3個( →   = (1+2)+0 )

  面積 16S のもの ・・・・・  1個( →   = ()+0 )

 元の正三角形と同じ向きの正三角形の個数には明白な規則性がある。それに対して、逆
向きの正三角形にはどのような規則性があるのだろうか?

 n=4 の場合について、正三角形の向きが逆向きという性格上、その面積は、4S以下で
あることは明らかである。上記の計算でも、面積  9S 、16S の場合は、その個数は 0 個
となっている。

 n=4 の場合、元の正三角形と逆向きの正三角形の個数は、

  面積   S のもの ・・・・・ 6個( → 1+2+=6 )

  面積  4S のもの ・・・・・  

 よって、逆向きの正三角形の個数は、 6+1=7 (個)

 さらに、n=5 の場合
        

 元の正三角形と逆向きの正三角形の個数は、

  面積   S のもの ・・・・・ 10個( → 1+2+3+=10 )

  面積  4S のもの ・・・・・  3個( → 1+=3 )

 よって、逆向きの正三角形の個数は、 10+3=13 (個)

同様にして、n=6 の場合、元の正三角形と逆向きの正三角形の個数は、

  面積   S のもの ・・・・・ 15個( → 1+2+3+4+=15 )

  面積  4S のもの ・・・・・  6個( → 1+2+=6 )

  面積  9S のもの ・・・・・  

 よって、逆向きの正三角形の個数は、 15+6+1=22 (個)

 このことから、一般の n (n≧2)について、元の正三角形と逆向きの正三角形の個数は、

A(n)=1+2+・・・+n=n(n+1)/2 とおくと、

 n が偶数(n=2m mは自然数)のとき、

   A(1)+A(3)+A(5)+・・・+A(2m−1)

 =

 n が奇数(n=2m+1 mは自然数)のとき、

   A(2)+A(4)+A(6)+・・・+A(2m)

 =

であると言える。

 以上から、一般の n (n≧2)について、求める正三角形の個数は、

       

であることに注意して、

 n が偶数のとき、
            
   n(n+1)(n+2)/6+n(n+2)(2n−1)/24=n(n+2)(2n+1)/8

                             =(2n3+5n2+2n)/8

 n が奇数のとき、

   n(n+1)(n+2)/6+(n−1)(n+1)(2n+3)/24=(n+1)(2n2+3n−1)/8

                                =(2n3+5n2+2n−1)/8

したがって、1辺 n の正三角形において、正三角形は大小合わせて、

          個

あると言える。

 下図のように、1辺 n の正三角形の各辺が n 等分され、平行線が引かれている。
  この平行線の交点、および平行線と各辺との交点ならびに頂点からなる図を考える。
  この図の中に正三角形は大小合わせていくつあるか?

       

 この例は、一見すると前の例と同じではないかと思う方がいられるかもしれない。
正直に告白すると、実は、私も当初誤解していた。この例では、点のみが考察の対象で線
分は無関係である。要は、3点を結んで正三角形が何個作れるかという問題である。

 この問題は、当HPがいつもお世話になっている未菜実さんより、掲示板「出会いの泉」に
提起されたものである。(平成17年4月27日付け)

 この問題に対して、やはり当HPがいつもお世話になっているHN「らすかる」さんが明解に
解決された。(平成17年4月28日付け)

 ここでは、らすかるさんの研究の成果を備忘録として記録に留めることにする。

 n=4 の場合について、その数え方の実際を見てみよう。

ここで、1辺 1 の正三角形の面積を、S とおく。面積に注目して、

  面積   S のもの ・・・・・ 16個

  面積  4S のもの ・・・・・  7個

  面積  9S のもの ・・・・・  3個

  面積 16S のもの ・・・・・  1個

であるが、ここで注意しなければならないことは、

    

のように、

  面積  3S のもの ・・・・・  6個

  面積  7S のもの ・・・・・  2個

も考慮しなければいけないというところである。

したがって、求める正三角形の個数は、 16+7+3+1+6+2=35 (個)

 はたして、この計算にどのような規則性が隠されているのであろうか?

この問題に対して、らすかるさんは、素晴らしいアイデアを考案された。

 すなわち、元の正三角形と向きの異なる正三角形は必ず元の正三角形と同じ向きの正
三角形に内接しているという事実に着目し、元の正三角形と同じ向きの正三角形において、
内接する正三角形(自分自身は当然内接していると考える)を数えきる

という手法である。

 この手法によれば、次のようにして、正三角形の個数が求められる。

n=4のとき、最小の正三角形の1辺を1として、1辺が4の正三角形に内接する正
三角形は、
    

    

  自分自身と面積7の正三角形2個と面積4の正三角形1個 の計4個
  ( → この数字は、正三角形の一辺の長さと一致することに注目!すなわち、
     その個数は内接する正三角形の頂点の場合の数に一致する。     )

1辺が4の正三角形は1個なので、この場合正三角形の個数は、4×1=4(個)

 同様にして、1辺が3の正三角形に内接する正三角形は、自分自身と面積3の正
三角形2個 の計3個で、1辺が3の正三角形で元の正三角形と同じ向きの正三角
形は3個なので、この場合正三角形の個数は、3×3=9(個)

 1辺が2の正三角形に内接する正三角形は、自分自身と面積1の正三角形1個の
計2個で、1辺が2の正三角形で元の正三角形と同じ向きの正三角形は6個なので、
この場合正三角形の個数は、2×6=12(個)

 1辺が1の正三角形に内接する正三角形は、自分自身の1個で、1辺が1の正三
角形で元の正三角形と同じ向きの正三角形は10個なので、この場合正三角形の個
数は、1×10=10(個)

 よって、正三角形の総数は、4×1+3×3+2×6+1×10=35(個)

となる。このことを一般化すると、

  n×1+(n−1)×(1+2)+・・・+1×(1+2+・・・+n)

 =Σ(n+1−k)×k(k+1)/2

 =(1/2)((n+1)Σk(k+1)−Σk2(k+1))

 =n(n+1)(n+2)(n+3)/24

 =n+34/4!

 =n+34

 以上から、求める正三角形の個数は、

             (個)

であると言える。

(コメント) 線分による正三角形より、点による正三角形の個数の方が公式として美しいの
      は感動的でした!この感動を与えてくれたらすかるさん、そして問題の出題者の
      未菜実さんに感謝いたします。