完全数                              戻る

 ある数の約数(但し、自分自身は除く)の総和がある数自身に等しいとき、その数のこと
を、完全数という。

 完全数で一番有名な数は、 である。

実際に、6 の約数は、1、2、3 なので、1+2+3=6 が成り立っている。

 6 という数は、神(1)・男(2)・女(3)を含む「世界」を表現しているので、完全数と呼ばれ
たらしい。

 完全数は、6 以外に、28、496、...などが知られている。


 ytkさんからのコメントです。(平成27年3月15日付け)

 全然関係ないですが、ISO(国際標準化機構)の規格の一つに「性別コード」(ISO 5218)と
いうものがあって、

0 = not known(不明)、1 = male(男性)、2 = female(女性)、9 = not applicable(該当なし)

という国際基準。「該当なし」を入れているあたり、性的少数者にも配慮できていて好ましい
のかなと。ところで、婚約数は現在発見されている限りではすべて奇数と偶数なのですが、
どちらが男女でどちらが女性というのは決まっているのだろうか?


  (追記) Webサイト「数の不思議世界」、平成25年9月19日付けの飯高 茂先生の書
      き込みに興味を持った。サイトの読者からの情報とのことです。

    約数の和を σ と書くとき、σ(a)=2a が完全数の定義ですが、σ(a)=2a−1 を
   概完全数といい、これは2のべきだけだろうという予想があるそうです。

    また、σ(a)=2a+1 を擬完全数といい、これの存在は知られていないそうです。

   例 a=2 の約数は、 1、2、22、23、・・・、2 なので、

    σ(a)=1+2+22+23+・・・+2=2n+1−1=2・2−1=2a−1

    よって、a=2 は、概完全数であると言える。


 さて、完全数を求める面白い方法があることを最近知ったので、ここで、まとめておきたい。

 1ばかり並べた2進数を、メルセンヌ数という。

 11、111、1111、11111、111111、1111111、... 

 これらを、十進数に直せば、次のようである。

     11=1・2+1==22−1
    111=1・22+1・2+1==23−1
   1111=1・23+1・22+1・2+1=15=24−1
  11111=1・24+1・23+1・22+1・2+1=31=25−1
 111111=1・25+1・24+1・23+1・22+1・2+1=63=26−1
1111111=1・26+1・25+1・24+1・23+1・22+1・2+1=127=27−1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 メルセンヌ数は、一般に、n=2n−1 の形で知られている。

 見て分かるように、メルセンヌ数には素数であるものと、そうでないものが混在している。

 n が合成数のとき、明らかに、M は素数になりえない。M が素数となるためには、n
が素数であることが必要条件である。

特に、メルセンヌ数が素数となる場合、それは、メルセンヌ素数といわれる。(メルセンヌ
素数を、単に、メルセンヌ数という場合もある。)

 メルセンヌ素数は、まだそれほど数多く(31個位?)は知られていない。

 その数が素数かどうかを判定することは、一般に大変であるが、Lucasは、次の非常に
能率的なLucasの定理(ルカステスト)を発見し、その労力は大幅に緩和された。

Lucasの定理(1876年)

 数列{a}を、a1=4、an+1=a2−2 により定義する。
    4,14,194,37634,1416317954,・・・
このとき、M (n は3以上の素数)が素数であるための必要十分条件は、
n−1 がM で割り切れることである。


例 a2÷M3=14÷7=2 で割り切れる。よって、M3 はメルセンヌ素数である。

  a4÷M5=37634÷31=1214 で割り切れる。

   よって、M5 はメルセンヌ素数である。

 上の例では、実際に、a2、M3 などの値を求めて、割り算を実行したが、その方法は、あ
まり実戦的ではない。次のように計算するのが普通らしい。

 M5=31 に注意して、a1=4
               a2=16−2=14
               a3=142−2=196−2=194≡8 (mod 31)
               a4≡64−2=62≡0 (mod 31)

 よって、a4 が、M5 で割り切れるので、Lucasの定理より、M5 はメルセンヌ素数である。

 メルセンヌ素数を用いると、完全数は簡単に作られる。

定理(Euclid)   をメルセンヌ素数とすれば、M(M+1)/2 は完全数である。

(証明) M=2n−1 より、

  M(M+1)/2=(2n−1)・2n/2=(2n−1)・2n−1 である。

この約数の総和は、2n−1 が素数であることに注意して、

  (1+2+22+・・・+2n−1)(1+2n−1)=(2n−1)・2

  ここで、 S=1+2+・・・・・・+2n-1 とおくと、2S=  2+22+・・・+2n-1+2 より、

 S=2−1 である。(詳しくは、「約数の個数と和」を参照)

この和から、自分自身を差し引けば、

   (2n−1)・2−(2n−1)・2n−1=(2n−1)・2n−1・(2−1)=(2n−1)・2n−1

となって、自分自身と一致する。

したがって、M(M+1)/2 は、完全数である。(証終)

(注)この事実は、既にユークリッド原論で示されていることらしい。ギリシャ時代に完全数
  は 6、28、496、8128 の4個が知られていたようだ。

例 冒頭であげた完全数は、次のようにして求められる。
  M2=3 より、3・(3+1)/2=6
  M3=7 より、7・(7+1)/2=28
  M5=31 より、31・(31+1)/2=496

 したがって、496の次の完全数も容易に求められる。

    M7=127 より、127・(127+1)/2=8128

 Euler によれば、偶数の完全数は必ずこの方法で求められるようだ。

 ところで、奇数の完全数が存在するかどうかは、まだ分かっていないようだ。

(参考文献:小島寛之 著 数学の遺伝子(日本実業出版社)
        和田秀男 著 数の世界 整数論への道(岩波書店)
        M.ラインズ 著 片山孝次 訳 数 その意外な表情(岩波書店))

(追記) 広島工業大学の大川研究室から情報をいただいた。

     2002年6月9日現在、39個のメルセンヌ素数が発見されている。従って、完全数
    も39個あることになる。

      最大のメルセンヌ素数は、現在、
                           13466917−1
    で、4,053,496桁の数である。

      これらは、スーパーパソコンを用いて計算したのではなく、世界中の20万台以上
    のパソコンが参加して発見されたとのことである。「すごい!」の一語である。


(追々記) 2003年12月3日、過去最大の素数が発見された(検証により、確認)。

                           20996011−1

       632万430桁の数で、40番目のメルセンヌ数だという。

      ミシガン州立大学の大学院生マイケル・シェイファー(Michael Shafer)さんが
      中心となって、世界中の200万台を越えるパソコンを結んで、2年がかりの計算
      で発見されたとのことである。


(追々記) 2004年5月15日、過去最大の素数が発見された(検証により、確認)。

                           24036583−1

       723万5733桁の数で、41番目のメルセンヌ数だという。


(追々記) 2005年2月27日、過去最大の素数が発見された(検証により、確認)。

                           25964951−1

       781万6230桁の数で、42番目のメルセンヌ数だという。


(追々記) 2005年12月15日、過去最大の素数が発見された(検証により、確認)。

                           30402457−1

       915万2052桁の数で、43番目のメルセンヌ数なのかな?


(追々記) 2006年9月4日、過去最大の素数が発見された(検証により、確認)。

                           32582657−1

       980万8358桁の数で、44番目のメルセンヌ数なのかな?


(追々記) 2008年8月23日、過去最大の素数が発見された(検証により、確認)。

                           43112609−1

       1297万8189桁の数で、47番目のメルセンヌ数なのかな?


(追々記) 2008年9月6日、過去最大の素数が発見された(検証により、確認)。

                           37156667−1

       1118万5272桁の数で、45番目のメルセンヌ数なのかな?


(追々記) 2009年4月12日、過去最大の素数が発見された(検証により、確認)。

                           42643801−1

       1283万7064桁の数で、46番目のメルセンヌ数なのかな?


(追々記) 2013年1月25日、過去最大の素数が発見された(検証により、確認)。

                           57885161−1

       1742万5170桁の数だという。48番目のメルセンヌ数なのかな?

      米国・セントラルミズーリ大学の研究者が見つけたと、世界各地のボランティアの
      コンピュータをつないで素数探しをするプロジェクト、GIMPSが発表した。
                               (2013年2月7日付け朝日新聞夕刊)


(追々記) 2016年1月21日、過去最大の素数が発見された(検証により、確認)。

                           74207281−1
                   (3003764180・・・・・・・1086436351)

       2233万8618桁の数だという。49番目のメルセンヌ数なのかな?

     A4判の紙にびっしり印刷しても約1万枚必要とのことで、その膨大な量に圧倒される。

      米国・セントラルミズーリ大学は、過去最大の素数をクーパー教授が見つけたと、
     1月21日、発表した。クーパー教授は、世界各地のボランティアのコンピュータをつ
     ないで素数探しをするプロジェクト「GIMPS」のメンバー。

      2015年9月17日にコンピュータは新たな素数を見つけていたが、発見に気付い
     たのは、2016年1月7日であったという。(2016年1月24日付け朝日新聞夕刊)


(追々々記) 平成19年12月20日付け

 メルセンヌ数 M の n の部分を一覧にすると、下記のようになる。
                                (参考:「メルセンヌ素数について」)

1 2 3 4 5
2 3 5 7 13
 
6 7 8 9 10
17 19 31 61 89
 
11 12 13 14 15
107 127 521 607 1279
 
16 17 18 19 20
2203 2281 3217 4253 4423
 
21 22 23 24 25
9689 9941 11213 19937 21701
 
26 27 28 29 30
23209 44497 86243 110503 132049
 
31 32 33 34 35
216091 756839 859433 1257787 1398269
 
36 37 38 39 40
2976221 3021377 6972593 13466917 20996011
 
41 42 43
24036583 25964951 30402457 32582657 37156667
42643801 43112609 57885161 74207281

 ?のものは、まだ何番目かが確定していないらしい。(発見者は上記HPを参照

 41番目のメルセンヌ数は、2004年に発見された。723万5783桁と聞いても、あまり
ピンとこないが、1桁当たり4mmの文字の幅(今、この文章を書いている文字の幅!)と
して、1直線にすべて書き並べると、その長さは、

    7235783×4÷10÷100÷1000=28.943132 (km)

から、およそ 29 km ほどにもなる。

 この距離は、東京都中央区日本橋から第一京浜国道に沿って、ちょうど横浜市神奈川
区までにほぼ等しい。(大体の長さの感覚が掴めたかな?)

(コメント) 1km3分の人が走っても、1時間27分もかかる(!)し、普通に歩いて(分速
      80m)も6時間くらいかかる距離ですね。非常に長い数の並びということがイメ
      ージできます。

(追記) 平成21年5月9日付け

 ゴールデンウィーク中、あまり晴天に恵まれなかったが、今日は久しぶりの好天が望め
そうである。当HPがいつもお世話になっているHN「zk43」さんから、次のような事実を
ご教示いただいた。

   6以外の完全数は、1から始まる連続する奇数の立方和で表せる

 例えば、

  28=13+33(=1+27) 、496=13+33+53+73(=1+27+125+343)

  8128=13+33+53+73+93+113+133+153
     (=1+27+125+343+729+1331+2197+3375)

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 (う〜む、なるほど!)

 zk43さんによれば、

  13+33+53+・・・+(2n−1)3

 

において、  とすると、右辺が 2p-1(2−1) となり、これは、メルセンヌ数

=2−1 に対して、M(M+1)/2=2p−1(2−1) が完全数であることから

 6以外の偶数の完全数は、必ず、1から始まる連続する奇数の立方和で表せる

ことが示された。

(コメント) 奇数の完全数の存在は、まだ不明だが、奇数の完全数についてはどうなんで
      しょうかね?

  8128 の次の完全数は、M13=213−1=8191 (1456年 発見者不明)を用いて、

       8191×8192÷2=33550336

である。

 理論的には明白だが、具体的に確かめてみよう。

 33550336=212・8191 なので、約数は全部で、(12+1)(1+1)=26(個)

あり、その約数は、

 1、2、4、8、16、32、64、128、256、512、1024、2048、4096、

 8191、16382、32764、65528、131056、262112、524224、1048448、

 2096896、4193792、8387584、16775168、33550336

で、その総和は、 67100672 で、 67100672÷2=33550336 より、確かに

33550336 は完全数である。

 このとき、zk43さんの解法の指針に従えば、n=26=64 なので、

  33550336=13+33+53+・・・+1273

と書けることが分かる。

(コメント) とても面白い性質ですね!zk43さんに感謝します。

 また、S(H)さんからの情報によれば、偶数の完全数には次の性質もあるそうだ。

  偶数の完全数は、三角数である

 証明は易しい。

 偶数の完全数は、素数 p を用いて、2p−1(2−1) と表せる(Euler)ので、

    2p−1(2−1)=2(2−1)/2=1+2+3+・・・+(2−1)

より明らかだろう。

 さらに、

  偶数の完全数の末尾は、必ず、6 または 8 である

という事実も興味深い。

 これは、2より大きい素数が、4n+1型か、4n+3型の何れかであることから簡単に示
される。

 実際に、 p=4n+1 (n は自然数) のとき、

  2p−1(2−1)=16(2・16−1)

  ここで、 16=(10+6)≡6≡6 (mod 10) なので、

  2p−1(2−1)=16(2・16−1)≡6(2・6−1)≡6 (mod 10)

 同様にして、 p=4n+3 (n は自然数) のとき、

  2p−1(2−1)=4・16(8・16−1)

  ここで、 16=(10+6)≡6≡6 (mod 10) なので、

  2p−1(2−1)=4・16(8・16−1)≡4・6(8・6−1)≡4・7≡8 (mod 10)

である。 p=2 のときの完全数は6なので、もちろん命題は成り立っている!

(コメント) S(H)さんの情報検索はスゴイですね!いつも感謝しています。

 奇数の完全数の存在は、まだ不明らしいが、奇数の完全数に関して、zk43さんより情報
をいただいた。(平成21年5月13日付け)

 素因数の種類が2種類の奇数は完全数ではない

(証明) N=p・q (p、q は奇素数で、p<q、m、n は自然数)とする。

    このとき、Nの正の約数の総和 S は、

      S=(1+p+p2+・・・+p)(1+q+q2+・・・+q

    そこで、

   S/N=(1/p+1/pm-1+・・・+1/p+1)(1/q+1/qn-1+・・・+1/q+1)

      <(1+1/p+1/p2+・・・+1/p+・・・)(1+1/q+1/q2+・・・+1/q+・・・)

      ≦(1+1/3+1/32+・・・+1/3+・・・)(1+1/5+1/52+・・・+1/5+・・・)

  よって、

   S/N<{1/(1−1/3)}・{1/(1−1/5)}=15/8<2

  もし、Nが完全数ならば、 S=2N でなければならないので、このことから、

   素因数の種類が2種類の奇数は完全数にはなり得ない

 ことが示された。  (証終)


(コメント) zk43さん、ありがとうございます。奇数の完全数って、本当に存在するのでしょ
      うか?


 当HPの掲示板「出会いの泉」に、当HPがいつもお世話になっているHN「GAI」さんが、平
成25年1月27日付けで、次のような書き込みをされた。

 「2n−1が素数なら、(2n−1)・2n-1は完全数である」というユークリッド時代から知られて
いたことから、2n−1がいつ素数になるかが問われ、nが合成数なら必ず因数分解されてし
まうので、nは素数pについて調べられていった。

 メルセンヌは1649年の手紙の中で、

 p=2、3、5、7、13、17、19、31、67、127、257 のとき、2n−1が素数メルセンヌ素数

であると証明抜きで発表したとある。(もちろん高性能のコンピュータは存在しない。)

 現在、これらが素数になれるものがコンピュータの道具も使って、

 p=2、3、5、7、13、17、19、31、61、89、107、127、521、607、…、13466917

 (→ 参照:「A000043」)

と現在まで39個見つかっているという。従って、メルセンヌは、p=61を見過ごし、67、257を
誤って判断したことになる。

 そこで、メルセンヌが間違った p=67について、267−1の因数分解は?に興味が湧いた。

 原理的には、「floor(sqrt(2^67-1))=12148001999」より、1〜12148001999 までに現れるす
べての素数でことごとく割っていけば目的が達成できるが、この中の素数は余りにも多すぎ
る。(547932122個もある。)

 そこで、コンピュータがない時代にメルセンヌが判断を間違えないようにするためには、こ
の因数分解をどの様に行えばよいかのアイデアを教えて下さい。


 当HPがいつもお世話になっているHN「空舟」さんからのコメントです。
                                      (平成25年1月27日付け)

 Webサイト「フェルマー素数について」によると、1880年、ランドリーは(82才という高齢にも
かかわらず
)、264+1 の素因数分解が

  F6=274177×67280421310721

となることを示しました。でもどうやって見つけたのかは書かれていませんでした。こちらを
考察してみました。

 264+1≡0 (mod p) とおくと、URLにも有るように、p=128N+1型です。

 p=128N+1、q=128M+1、pq=264+1 とおくと、M=(257−N)/(128N+1)

M=(257−N)/(128N+1)が割り切れる必要条件を調べればNを絞れるかもしれないと思っ
たのですが、なかなか考察が進めないです。[実際の答えは、N=4284、M=525628291490]

 同様に、267−1=(67N+1)(67M+1) とおくと、式 M=(A−N)/(67N+1) を得ます。
(ここで A=2・(266−1)/67=2202596307308603178)

 ここで、M、Nは明らかに偶数なので、M=2m、N=2n、A=2a とおいても良いですね。

 m=(a−n)/(134n+1) 、a=(266−1)/67=1101298153654301589

 [実際の答えは、 n=1445580、 m=5685360129]


 GAI さんからのコメントです。(平成25年1月27日付け)

 上記のアイデア(フェルマーの小定理の活用?)から探すべき素数は、p=134k+1型
に限って調べればよい。(だいぶ絞れることにはなるが・・・)

 そこで、PARIという計算ソフトでこっそり調査してみました。

? for(k=1,1450000,if(isprime(134*k+1)==1,if(component(Mod(2^67-1,134*k+1),2)==0,print(k,";",134*k+1))))

で実行したら、「1445580 、193707721」の結果がヒットしました。これから、

 267−1=193707721×761838257287

と分解でき、合成数であることが確認できました。しかし、これを当時手計算で達成できるも
のだろうか?不思議はさらに深まりました。


(追記) GAI さんが、メルセンヌ数の歴史を調べられた。(平成27年3月14日付け)

 pを奇素数とするとき、M(p)=2−1 (メルセンヌ数)が素数になるのか?まあ、

p=3 --> M(3)=2^3-1=7             :prime
p=5 --> M(5)=2^5-1=31            :prime
p=7 --> M(7)=2^7-1=127           :prime
p=11 --> M(11)=2^11-1=2047         ?(実は23*89に分解可能)
p=13 --> M(13)=2^13-1=8189         ?
p=17 --> M(17)=2^17-1=131071       ?
p=19 --> M(19)=2^19-1=524287       ?
  ・・・・・・
p=67 --> M(67)=2^67-1=147573952589676412927
  ・・・・・・
p=127 --> M(127)=2^127-1=170141183460469231731687303715884105727
  ・・・・・・
p=257 --> M(257)=2^257-1
        =231584178474632390847141970017375815706539969331281128078915168015826259279871

 これに対し、メルセンヌは、1644年に、

  p=2、3、5、7、13、19、31、67、127、257 だけが素数になる

と予想した。
(この予想は誰もこんな大きな数では確認出来ないだろうと高をくくったある意味ハッタリ)
<後日p=67は間違いで、また、61、89、107 が抜け落ちていることが判明する。>

 しかし、この予想に果敢にも挑戦した人が現れ、1876年エドアール・リュカが19年の歳月
をかけて、M(127)が素数であることを確認したという。

 その方法は、pが、p≡3 (mod 4) である素数のとき、

  S(0)=3、S(n)=S(n-1)2-2  (n=1、2、3、・・・)

と定義するとき、S(p-2)がM(p)で割り切れれば、M(p)は素数であるというものである。

 実際、p=7、11 で確認してみると、

S(0)=3 、S(1)=S(0)^2-2=3^2-2=7 、S(2)=S(1)^2-2=7^2-2=47 、S(3)=S(2)^2-2=47^2-2=2207
S(4)=S(3)^2-2=2207^2-2=4870847 、S(5)=S(4)^2-2=4870847^2-2=23725150497407
S(6)=23725150497407^2-2=562882766124611619513723647
S(7)=562882766124611619513723647^2-2=316837008400094222150776738483768236006420971486980607
以下
S(8)=1003856898919213766887542399928262567048796276831819015150993986
                                    13465618884806971304035121947368905594088447

S(9)=1007728673507700566098200806106507306807447530046601244462938848757476965211565176350
   00261283676793017447903659202787756017660002174559979308093950457876685360362550516268
   2177708433023235042368022152858871807


 これらの数に対し、

  S(5)/M(7)=23725150497407/127=186812208641(ピタリ割り切れる)

 しかし、S(9)/M(11)の計算は余りが1034となり割り切らない。つまり、M(7)=127は素数で、
M(11)=2047は合成数であると主張する。

 この原則に則って、リュカは19年という歳月をかけて、M(127)の素数性を示した。
(手計算で素数を確認された最大の記録であることは未だに破られていない。)

 この判定を用いると、実は、M(67)も合成数であることが判るという。しかし、どのような分
解になるのかはリュカの方法では出てこない。

 これに対し、1903年コロンビア大学数学教授フランク・ネルソン・コールが夕食後の一時
を3年計算し続けて、M(67)=193707721*761838257287 を見つけたという。

 数学者の素質として本当に粘り強い気質、倦まず弛まず歩き続ける忍耐力が必要な条件
であることをしみじみ教えてくれます。素数で片端から割っていくという方法からリュカのある
意味単純作業の繰り返しによる素数判定という新たな道が開けたことの意味は大きい。しか
し、それでも莫大な数字に膨れていくことは難点でもある。

 これに対し、1930年デリック・ヘンリー・レーマーがリュカの方法に画期的な改良を加え、
M(257)が合成数であることを証明する。(この経緯は次回に...)


 GAI さんからの続報です。(平成27年3月15日付け)

 さて、リュカによる素数判定テストを受けて、デリック・ヘンリー・レーマーは(この人の父は
20世紀の初めには10017000までの素数表を作成したという。)、子供心に父の背中を見て
育ったんでしょう、彼が25歳の時リュカの素数判定を劇的に効率化させる方法を編み出した。

 それが、数列S(n)を、 S(1)=4、S(n+1)=S(n)-2 (mod M(p)) :M(p)=2^p-1 (p:prime)

で定義しておけば、 S(p-1)≡0 (mod M(p)) ⇔ M(p)は素数

 ここに、modの世界で処理するところに画期的な進歩をもたらす。

(確かめ) M(7)=2^7-1=127 は素数、M(11)=2^11-1=2047は合成数、M(13)=2^13-1=8191は
     素数を見てみる。

S(1)=4                    (mod 127)
S(2)=S(1)^2-2=4^2-2=14            (mod 127)
S(3)=S(2)^2-2=14^2-2=194≡67         (mod 127)
S(4)=S(3)^2-2=67^2-2=4487≡42         (mod 127)
S(5)=S(4)^2-2=42^2-2=1762≡111        (mod 127)
S(6)=S(5)^2-2=111^2-2=12319≡0         (mod 127)
 ・・・ 従って、M(7)は素数

S(1)=4                    (mod 2047)
S(2)=S(1)^2-2=4^2-2=14            (mod 2047)
S(3)=S(2)^2-2=14^2-2=194             (mod 2047)
S(4)=S(3)^2-2=194^2-2=37634≡788       (mod 2047)
S(5)=S(4)^2-2=788^2-2=620942≡701      (mod 2047)
S(6)=S(5)^2-2=701^2-2=491399≡119      (mod 2047)
S(7)=S(6)^2-2=119^2-2=14159≡1877      (mod 2047)
S(8)=S(7)^2-2=1877^2-2=3523127≡240    (mod 2047)
S(9)=S(8)^2-2=240^2-2=57598≡282       (mod 2047)
S(10)=S(9)^2-2=282^2-2=79522≡1736     (mod 2047)


 もし、S(10)≡0 (mod 2047)であったなら、M(11)は素数であったのに、ここではそうではない
のだから、M(11)=2047(=23*89)は合成数

S(1)=4                    (mod 8191)
S(2)=S(1)^2-2=4^2-2=14            (mod 8191)
S(3)=S(2)^2-2=14^2-2=194             (mod 8191)
S(4)=S(3)^2-2=194^2-2=37634≡4870      (mod 8191)
S(5)=S(4)^2-2=4870^2-2=23716898≡3953  (mod 8191)
S(6)=S(5)^2-2=3953^2-2=15626207≡5970  (mod 8191)
S(7)=S(6)^2-2=5970^2-2=35640898≡1857  (mod 8191)
S(8)=S(7)^2-2=1857^2-2=3448447≡36     (mod 8191)
S(9)=S(8)^2-2=36^2-2=1294              (mod 8191)
S(10)=S(9)^2-2=1294^2-2=1674434≡3470  (mod 8191)
S(11)=S(10)^2-2=3470^2-2=12040898≡128 (mod 8191)
S(12)=S(11)-2=128^2-2=16382≡0         (mod 8191)
 ・・・ 従って、M(13)は素数

 狐に抓まれる様に感じるが、確かに合っている。リュカの判定法が数が膨大なものに膨れ
上がって行くのに対し、レーマーの方法はmod計算内の数値で事済む。

 ふと、どのような経緯でこの法則を発見したものか?という疑問が湧く。
(ネットではこの判定法の証明とやらが書かれてあるが、これはあくまで論理的に後証明した
ものと思われる。)

 子供の頃から父親が熱心に取り組んでいる姿をみて、小さい子供ながら素数には人一倍
強い関心を持ち、自らもお手伝いの意味も含んで、素数を用いたたくさんの計算を経験して
いて、その中から素数に対する感覚が研ぎ澄まされていき、既にリュカによる漸化式的判定
方法をまねて作業する中で、ある日突然上記の法則に気づいてしまった、という私の勝手な
空想が広がっていくのでした。

 もうこの世にはいないヘンリー・レーマーにインタヴューするわけにはいかず、真相は闇の
中ですが、論理的に攻めたというより経験則から確信に至る経緯を通して、このテストはこ
の世に生まれ出たと思います。
(こんな法則が潜んでいたことをよくも発見したものだと感心します。)

 したがって、それまで誰も辿り着けなかった
M(257)=2^257-1=231584178474632390847141970017375815706539969331281128078915168015826259279871
なる想像を絶する数に対しても、
S(256)≠0 (mod 231584178474632390847141970017375815706539969331281128078915168015826259279871)
の確認よりM(257)は合成数である(即ちメルセンヌの予想は外れた。)と結論できた。

 実際、

231584178474632390847141970017375815706539969331281128078915168015826259279871
=535006138814359*1155685395246619182673033*374550598501810936581776630096313181393

 これが、1930年というからメルセンヌの予想(1644年)から286年後のことである。リュカの
発想とガウスのmod的世界観が混ざり合い、それが火花を発してレーマーテストが生まれ出
たと思える。