・ 連綿と続く 1                   S.H氏

 「トリビアの泉」(フジテレビ系)は私の好きな番組の一つだった。無駄知識とはいいつつ
も、自分の知らないことを知らされる番組で、思わず「へぇ〜」と唸ってしまうところに、人気
の秘密があるのだろう。特番でもいいので是非復活を期待したいものだ。

 先日、数学に関係するトリビアが放映された。

   111111111×111111111=12345678987654321

このことは、巷間の話題にもなり、私自身にも感想を求められた。

 「数学を生業としている者にとって、これは常識で、何も驚くほど感心することではないです
ね!」

などと言ったら反感を買ってしまいそうなので、「面白い現象ですね!」に留めた。

 この数字の「1」が続く数は、上記のような性質のほか、次のような面白い性質をあわせ持
つ数である。


11 ・・・ 素数 (← 1以外の数で、1と自分自身以外約数を持たない数)
111 ・・・ 3×37 と素因数分解され、合成数
1111 ・・・ 11×101 と素因数分解され、合成数
11111 ・・・ 41×271 と素因数分解され、合成数
111111 ・・・ 3×7×11×13×37 と素因数分解され、合成数
1111111 ・・・ 239×4649 と素因数分解され、合成数
11111111 ・・・ 11×73×101×137 と素因数分解され、合成数
111111111 ・・・ 3×3×37×333667 と素因数分解され、合成数(→こちらを参照)
1111111111 ・・・ 11×41×271×9091 と素因数分解され、合成数
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
111111111111111111 ・・・ 3×3×7×11×13×19×52579×333667 と
                      素因数分解され、合成数
1111111111111111111 ・・・ 素数
  (1が19個)

 1が続くと、何となく素数っぽいが、実は、そんなことは全然なくて、素数である方が不思議
なのだ!

 特に、1が偶数個並んだ数(11は除く)は必ず合成数である。

実際に、各位の数を交互に足したり引いたりしていくと、その計算結果は、0 となり、よって、
11の倍数となる。(→参考:「倍数の判定」) したがって、合成数となる。

 このことから、数字の「1」が続く数は、半分以上が合成数となる。

 1が奇数個並ぶ場合は吟味が必要である。

 下記の本によれば、1から始めて、1が 1000個続く数までのうち、素数となるものは、

    2個 、19個 、23個 、317個

の4通りしかないそうである。(これって、トリビアじゃないですよね!?)


(参考文献:今野紀雄 著 数の不思議 (ナツメ社))


 読者の方に練習問題を一つ残しておこう。

問 題  111・・・11(1が91個並んだ数)は合成数であることを示せ。

(解) 91=7×13 なので、

  111・・・11(1が91個並んだ数)

=1+10+102+・・・+106+107+108+・・・+1084+・・・+1090

=(1+10+・・・+106)+107(1+10+・・・+106)+・・・+1084(1+10+・・・+106

=(1+10+・・・+106)(1+107+・・・+1084

と2数の積の形に分解されるので、合成数である。 (終)


(追記) 1が続く数といったら、次のような計算結果も面白い。

          62−52=11

        562−452=1111

      5562−4452=111111

 どうして、このような現象が起こるのであろうか?

  5562−4452=(556+445)(556−445)=1001×111=111111

 すなわち、足して 1001で、引いて 111 という数なら必ず上記のような性質を持つ。
そのような数は残念ながら、3桁の数では、556 と 445 の組合せしか存在しない。

 したがって、ある意味で、上記の性質は、556 と 445 という2つの数の固有の性質とい
える。


(追記) このページでは「連綿と続く1」と題して、「11・・・・1」という数の性質の面白さを取
    り上げているが、また新しい話題を得ることができたので紹介したい。

 数の「11」はとても健気で律儀である。4桁の左右対称な数には大抵「11」が、その身を
心配するかのように潜んでいる。

  たとえば、  1111=11×101

           1331=11×11×11=11×121

           1441=11×131

           1661=11×151

           2112=11×3×2611×192

           2222=11×2×101=11×202 (← 1111=11×101)

           2662=11×11×11×2=11×242 (← 1331=11×121)

           2772=11×22×32×7=11×252

           2882=11×2×131=11×262 (← 1441=11×131)

           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


(追記) 次のような計算を、「暗算で求めてね!」といわれたら、どう考えればいいだろうか?

           (12345679×9)×(12345679×9)

 この計算は、このページが話題としていることを熟知していれば簡単であろう。

 (計算) 12345679×9=12345679×(10−1)
                 =123456790−12345679
                 =111111111

     よって、 与式=111111111×111111111
              =12345678987654321

 これって、まさに冒頭の「トリビアの泉」ですね!?


(参考文献:伊藤 宏 著  数学トレーニング  (彰国社))


(追記) 平成18年4月7日、「たけしの誰でもピカソ」(テレビ東京 金曜 22:00〜22:54)で、
    この「連綿と続く1」の数のことが話題になった。

     1×9+2=  11
    12×9+3= 111
   123×9+4=1111

 番組中では上記の原理は説明されなかったが、次の式変形から、その原理は明らかだろう。

    12345−1234=11111 
                (← 各位の数が連続する数から一位の数を除いたものを引く)
    12340−1234+5=11111 (← 引かれる数の一位の数を別扱いする)
    1234×10−1234+5=11111 (← 以下の計算で、2数を因数分解する)
    1234×(10−1)+5=11111
    1234×9+5=11111

 このような発想は、(追々々記)における、12345679×9 の計算を逆に考えたもので
ある。
     123456790−12345679=111111111
        12345679×(10−1)=111111111
             12345679×9=111111111

 上記の性質の一般的な場合を、投稿一覧「123456789」において、FNさんが証明され
ました。


(追記) 平成25年8月25日付け

 「連綿と続く1」に関わる性質として、次の事実も興味深い。

 10と互いに素な全ての自然数は、11・・・1のような倍数を必ず持つ

例 3×37=111 、7×15873=111111 、9×12345679=111111111 、

 11×101=1111 、13×8547=111111 、 ・・・

(証明) 10と互いに素な自然数をNとすると、9Nも10と互いに素な自然数となる。

   このとき、フェルマーの定理により、 10φ(9N)−1≡0 (mod 9N)

  よって、 999・・・99=9N×M より、 111・・・11=N×M

  したがって、Nの倍数の中に、111・・・11のような倍数が必ず存在する。  (証終)


(コメント) 7×15873=111111 の例からも分かるように、(証明)では、倍数の存在を
      保証しているが、そこから求められる等式は決して効率的なものではない。

 実際に、N=7 の場合、 φ(9N)=(32−3)(7−1)=36 なので、

         99999・・・99=63M より、 11111・・・11=7M
        (↑9が36個続く数)       (↑1が36個続く数)

となるが、7×15873=111111 の場合の1が6個続く場合に比べると見劣りがする。

 効率的な求め方は存在するのだろうか?

 読者の方に練習問題を残しておこう。

練習 17×(     )=11111・・・11 が成り立つとき、空所(     )を補充せよ。


(追記) 平成25年9月13日付け

 「連綿と続く1」の話題が大学入試問題にも出現しました!驚きです...。

東京大学 前期理系(2013)

 次の命題Pを証明したい。

命題P 次の条件(a)、(b)をともに満たす自然数(1以上の整数)Aが存在する。

(a) Aは連続する3つの自然数の積である。

(b) Aを10進法で表したとき、1が連続して99回以上現れるところがある。

 以下の問いに答えよ。

(1) yを自然数とする。このとき、不等式

    x3+3yx2<(x+y−1)(x+y)(x+y+1)<x3+(3y+1)x2

  が成り立つような正の実数 x の範囲を求めよ。

(2) 命題Pを証明せよ。


 (1)の不等式がどのような発想で見いだされるのか、大いに興味がある。また、その使い
方にも...。本番で、このような問題に出会ったら、部分点をねらう要素も見つからず捨て
問かな?


  以下、工事中!


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