・ ある3つの角の和                S.H氏

 次の問題を考える。

   

  ただし、α、β、γ は、鋭角とする。

 この問題は、通常、次のように計算される。

 条件から明らかに、α=45°で、また、加法定理を用いれば、

   

なので、0°<β+γ<180°から、β+γ=45°であることが分かる。

 したがって、  α+β+γ=90° が求める値である。


 (追記) 平成23年11月24日付け・・・よおすけさんからのコメントです。

   上記の問題で、tanα=1、tanβ=1/2、tanγ=1/3(角は全て鋭角)においては、解答から、
  tan(β+γ)=tan(90゜-α) が成り立つことが分かる。

  つまり、2つの角の和の正接の値は残りの角の正接の値の逆数に等しい。(追記終)


 しかし、この問題を、これだけで済ませてしまっては、実はもったいない。

次のような別解を目の当たりにすると、上の機械的な計算が空しく思えてくる。

        

上図から明らかに、α+β+γ=90°であることが分かる。素晴らしい解答だ。

(参考文献:ナギビン 著 山崎 昇・宮本敏雄 訳 数学玉手箱 (東京図書))


(追記) 平成28年5月4日付け

 上図で、α=45°は自明なので、β+γ=45°を示すのが肝要である。

 これについては、次のような鮮やかな別解が知られている。

    

 上図において、△ACD∽△ABE であるので、β+γ=45°は明らかだろう。

 また、次のような別解も知られている。

    

 図をじっと睨んでいると、β+γ=45°であることが見えてくるだろう。


 この問題に関連して、ぽっぽさんが次の問題を提起された。(平成23年1月9日付け)

問題  tanαn=1/n とするとき、 は収束するか。

 興味があったので考えてみた。

 第 n 部分和 S について、明らかに、 S>n・αn である。

   

 上記グラフより、

     n・αn → 1 (n→∞) であるので、 n→∞ のとき、 S≧1

すなわち、 n→∞ のとき、 S が0に収束することはない。

 よって、 は発散する。

 この収束・発散について、FNさんも次のように証明された。(平成23年1月9日付け)

(証明) 条件より、 0<αn≦π/4 である。

    このとき、 tanαn<(4/π)αn<2αn

     ( F(x)=tanx−2x とおくと、 F’(x)=sec2x−2
       cosx≧1/ なので、 sec2x≦2 より、 F’(x)≦0
      よって、F(x)は単調減少関数で、F(0)=0 より、
       0<x≦π/4 のとき、 F(x)=tanx−2x<0 すなわち、 tanx<2x )

    したがって、 Σ(1/n)=Σtanαn<2Σαn  (ここで、Σは、1から n までの和)

    このとき、 n → ∞ とすると、左辺 → ∞ なので、Σαn → ∞ となり、発散する。
                                                  (証終)

(コメント) なるほど、 「不等式 tanx<2x 」を用いた方が証明として美しいですね!
      FNさんに感謝します。


(追記) 平成23年1月9日付け

 よおすけさんによれば、次の問題も図形を使ってできるかも...とのこと。

 α、βが鋭角で、sinα=7/(5) 、sinβ=4/5 のとき、α+β を求めよ。


 まず、計算してみよう。

 cosα=1/(5) 、cosβ=3/5 なので、加法定理より、

 cos(α+β)=cosαcosβ−sinαsinβ

         ={1/(5)}・3/5−{7/(5)}・4/5=−1/

 0<α+β<π なので、 α+β=3π/4 である。



   この問題を図形を使って解く場合、左図のような図形

  を考えればいいだろう。

   左図より、明らかに

     π−(α+β)=π/4

   すなわち、

     α+β=3π/4 である。








 らすかるさんの解答です。(平成23年1月9日付け)

 O( 0,0 )、 A( 25,25 )、B( −3,4 )、C( −3,0 ) とすると、

∠ABOと∠BCOは直角となり、 sin∠AOB=AB/AO=35/(25)=7/(5)

 sin∠BOC=BC/BO=4/5  である。よって、 ∠AOB+∠BOC=135°

    

(コメント) らすかるさんに感謝します。


 よおすけさんから、続報をいただきました。(平成23年8月28日付け)

 α、βが鋭角で、sinα=7/(5) 、sinβ=4/5 のとき、α+β を求めよ。

という問題で、複素数や行列の回転移動を利用してもできるかもしれないとのことです。


 よおすけさんから、続報をいただきました。(平成23年11月18日付け)

 複素数や行列の回転移動を利用した解法です。

 α、βが鋭角で、sinα=7/(5√2)、sinβ=4/5のとき、cosα=1/(5√2)、cosβ=3/5である。

 このとき、複素数 z1=cosα+i・sinα、z2=cosβ+i・sinβに対して、

   z1・z2=cos(α+β)+i・sin(α+β)

 左辺は、1を原点のまわりにα回転(z1)し、さらに点z1を原点のまわりにβ回転(z2)した
ものに等しく、すなわち、1を原点のまわりに α+β だけ回転したものに等しい。

 上式より、実際に、値を代入して計算すれば、

 cos(α+β)+i・sin(α+β)=(cosα+i・sinα)(cosβ+i・sinβ)

                    =(1+7i)(3+4i)/(25√2)

                    =(−1+i )/√2

 比較して、 cos(α+β) = -1/√2 、 sin(α+β) = 1/√2

α、βは鋭角なので、0<α+β<πより、これを満たす角(偏角)は、3π/4


 FNさんからのコメントです。(平成23年11月18日付け)

 上記の問題を tan で書けば、

   「α、βが鋭角で、tanα=7、tanβ=4/3 のとき、α+βを求めよ。」

 加法定理より、 tan(α+β)=(7+4/3)/(1-7*4/3)=-1 なので、α+β=3π/4

 一般に、「α、βが鋭角で、tanα=a、tanβ=b のとき、α+βを求めよ。」で、これが高校
数学の問題として成立するような有理数 a、b を求めることを考えます。

 b=1/a というつまらないケースは除外します。このとき、tan(α+β)は、1か-1である。

(証明は?)


 FNさんからの続報です。(平成23年11月21日付け)

 これを証明するより、もっと強めて、次の形にして証明できないかと考えてみました。

 a を有理数とする。tan(aπ) が、0、1、-1以外の有理数になることはない。

 a=1/180 のときが、京都大学の入試で出題されました。

  (参考) 京都大学 後期理系(2006年度) 入試問題: tan1°は有理数か。

      背理法で、tan1°を有理数 p/q(p、qは互いに素な整数)と仮定しても上手くい
     かない。

      tan x°が有理数と仮定すると、正接の加法定理より、tan(x+1)°も有理数と
     なるので、数学的帰納法により、すべての自然数 n に対して、tan n°は有理数
     となる。しかるに、これは矛盾である。
      実際に、n=60 のとき、tan60°=は無理数である。


 それと同様にできるかと思いましたが、無理なようです。a=1/180 のとき、即ち、tan1°が
無理数であることは、a=1/3 (or 1/6) 即ち、tan60°(or tan30°)が無理数であることに帰着
させて証明するのが普通のようです。だから、まず、次を証明する必要があります。

 p が奇素数であるとき、tan(π/p) は無理数である。

tan(π/p) は、tan(2π/p) または tan(π/2p) にかえてもかまいません。


 空舟さんからのコメントです。(平成23年11月24日付け)

 Googleで検索してみると、正接の n 倍角の公式を知ることができました。tan x=t に対して、
nx=π/2 になるような奇素数 n の存在を仮定して矛盾を示そうと思いました。

 そのとき、正接の n 倍角の公式( t の式)の分母が0となります。正接の n 倍角の公式の分
母は偶数次のみからなる n-1次式で、Σ(-1)2k-2k と書かれるそうです。

  Σ(-1)2k-2k=0

が有理数解をもつとすると、定数項が1、最高次の係数が n ですから、

  t=±1 あるいは t=±1/n

しか候補になりません。ところが、最高次の次に次数が高い項は、最高次よりも次数が2つ
低いわけですから、t=±1/n は解になりえないことが分かってしまいます。

(具体的に、例えば、正接の5倍角の式の分母は、5t4-10t2+1 という式になります。t=1/5
を代入すると、最高次の項の分母が125になるけれど、次の項の分母は、高々25にしかな
らないので式の値は0になりえないです。)

 従って、nx=π/2 となるような x について、tan x が±1以外の有理数となることはないと
示されたと思います。


 FNさんからのコメントです。(平成23年11月24日付け)

 証明できてるようですね。正接の n 倍角の公式を証明すれば完全なようです。このペー
ジの一番下に余接の n 項の加法定理があります。そこで考えた問題では、余接だったの
ですが、正接の方が普通なので、正接の n 項の加法定理も考えました。きちんと証明する
ことはしませんでしたが成立しそうだという印象は持ちました。今はほとんど忘れていますが
...。

 n 倍角の公式は、n 項の加法定理の特殊な場合だから、多分証明できるでしょう。分子
も書いておけば、数学的帰納法でできるのでしょう。

 Σ(-1)2k-2k について、n が素数のとき、この式の既約性は言えそうだから、
tan(π/2p)が無理数であるだけでなく、p-1次の代数的数であることも言えそうですね。


 さて、「α、βが鋭角で、tanα=a、tanβ=b のとき、α+βを求めよ。」という問題について、

tan(α+β)=-1 のケースを考えます。

  tan(α+β)=(1-ab)/(a+b)=-1 より、 1-ab=-a-b なので、b=(a+1)/(a-1)

 正の有理数 a を任意に与えれば、有理数 b が1つ決まります。

 a を自然数(ただし、a≠1)にすると、次のような ( a ,b ) があります。

 ( a ,b )=( 2 ,3 )、( 3 ,2 )、( 4 ,5/3 )、( 5 ,3/2 )、( 6 ,7/5 )、( 7 ,4/3 )、・・・・

 このうち、( 7 ,4/3 )が上の問題になります。


 FNさんが、冒頭の問題(3つの角)を拡張して、4つの角でも同様の関係が成り立たない
か考察されました。(平成23年1月10日付け)

 a、b、c、d は自然数で、a<b<c<d で、α,β,γ,δは鋭角であるとする。

  tanα=1/a 、tanβ=1/b 、tanγ=1/c 、tanδ=1/d ならば、

   α+β+γ+δ=90°

 これが、成り立つような自然数 a、b、c、d の組を求めよ。


 例えば、 (a,b,c,d)=(1,2,5,8) は、条件を満たすので解はあります。解は多分
有限個です。

 すべての解を求めてください。それと、(a,b,c,d)=(1,2,5,8) のときに成り立つこ
との図形的な証明を考えてください。


 FNさんの問いかけに対して、ぽっぽさんが取り組まれた。(平成23年1月10日付け)

 tanα=1 、tanβ=1/2 、tanγ=1/5 、tanδ=1/8 に対して、

 A(0,0)、B(16,−2)、C(15,3)を結び、∠BAC=θとすると、 θ=γ+δ で、

  tanθ=tan(β+γ)=(tanβ+tanγ)/(1−tanβtanγ)=1/3 である。

        

 したがって、冒頭の問題の結果により、 α+β+γ+δ=α+β+θ=90°である。

 また、他の解は、 (a,b,c,d)=(1,2,4,13) 、(1,3,3,7) 、(2,2,3,3)


 さて、「tanα=1/a となるようなαを、S(a)で表す」ことにする。(ぽっぽさんによる)

 ぽっぽさんが求められた解は、次のように考えられて見いだされた。

 基本公式: S(1)+S(2)+S(3)=90°

(a,b,c,d) (a≦b≦c≦d) において、

(P1) S(a)+S(b)=S(1) のとき、 (a,b)=(2,3) しかない。

  実際に、 tan{S(a)+S(b)}={tanS(a)+tanS(b)}/{1−tanS(a)tanS(b)}=1 より、

     tanS(a)tanS(b)+tanS(a)+tanS(b)−1=0

     1/ab+1/a+1/b−1=0

     ab−a−b−1=0 より、 (a−1)(b−1)=2

     a−1≦b−1 より、 a−1=1 、b−1=2 すなわち、 a=2 、b=3

  したがって、 S(2)+S(2)+S(3)+S(3)=90°より、

     (a,b,c,d)=(2,2,3,3)

(P2) S(a)+S(b)=S(2) のとき、 (a,b)=(3,7) しかない。

  実際に、 tan{S(a)+S(b)}={tanS(a)+tanS(b)}/{1−tanS(a)tanS(b)}=1/2 より、

     tanS(a)tanS(b)+2tanS(a)+2tanS(b)−1=0

     1/ab+2/a+2/b−1=0

     ab−2a−2b−1=0 より、 (a−2)(b−2)=5

     a−2≦b−2 より、 a−2=1 、b−2=5 すなわち、 a=3 、b=7

  したがって、 S(1)+S(3)+S(3)+S(7)=90°より、

     (a,b,c,d)=(1,3,3,7)

(P3) S(a)+S(b)=S(3) のとき、 (a,b)=(4,13)、(5,8) しかない。

  実際に、 tan{S(a)+S(b)}={tanS(a)+tanS(b)}/{1−tanS(a)tanS(b)}=1/3 より、

     tanS(a)tanS(b)+3tanS(a)+3tanS(b)−1=0

     1/ab+3/a+3/b−1=0

     ab−3a−3b−1=0 より、 (a−3)(b−3)=10

     a−3≦b−3 より、 a−3=1 、b−3=10 または、a−3=2 、b−3=5

      すなわち、 a=4 、b=13 または、 a=5 、b=8

 したがって、S(1)+S(2)+S(4)+S(13)=90°または、S(1)+S(2)+S(5)+S(8)=90°

 より、 (a,b,c,d)=(1,2,4,13) 、(1,2,5,8)

 以上から、(a,b,c,d)=(2,2,3,3)、(1,3,3,7)、(1,2,4,13)、(1,2,5,8)


 また、ぽっぽさんは、5つの場合も考えられた。(平成23年1月10日付け)

解は、

 [1,2,4,14,183] 、[1,2,4,15,98] 、[1,2,4,18,47] 、[1,2,4,23,30] 、[1,2,5,9,73]

 [1,2,5,13,21] 、[1,2,6,8,31] 、[1,2,7,8,18] 、[1,3,3,8,57] 、[1,3,3,9,32] 、[1,3,3,12,17]

 [1,3,4,7,13] 、[1,3,5,7,8] 、[2,2,3,4,13] 、[2,2,3,5,8] 、[2,3,3,3,7]

の16個だと思います。


 ぽっぽさんの解に対して、FNさんの考察です。(平成23年1月11日付け)

 3個のときの唯一の解 (1,2,3) のうちの1つの数字を k として、S(a)+S(b)=S(k)
を満たす a、b を k と置きかえることによって、

    (2,2,3,3)、(1,3,3,7)、(1,2,4,13) 、(1,2,5,8)

が得られる。

 この4個のうちの1つを取り出し、そのうちの1つの数字を k として、S(a)+S(b)=S(k)
を満たす a、b を k と置きかえることによって、ぽっぽさんの得られた16個が得られる。

 しかし、この形では得られない(1,3,4,5,47)、(1,2,6,7,68)等も解になります。


 FNさんは、さらに、(a,b,c,d)=(1,2,5,8) のときに成り立つことの図形的な証明
として、次の図をあげられた。

     

(コメント) ∠OAB、∠OBCが直角になるとは驚きです。大変美しい図に感動しました!


 次の問題に対して、出題者のFNさんによる解答です。(平成23年1月12日付け)
文言等一部修正させていただきました。ご了承ください。

 a、b、c、d は自然数で、a<b<c<d で、α,β,γ,δは鋭角であるとする。

  tanα=1/a 、tanβ=1/b 、tanγ=1/c 、tanδ=1/d ならば、

   α+β+γ+δ=90°

 これが、成り立つような自然数 a、b、c、d の組を求めよ。


 上記の問題について、(a,b,c,d)=(1,2,5,8)、(1,2,4,13)が解であることは
比較的容易にわかりますが、それ以外にないことは、それほど簡単ではないと思います。

(解) tan(α+β)=(1/a+1/b)/(1−1/(ab))=(a+b)/(ab−1)

 同様にして、 tan(γ+δ)=(c+d)/(cd−1)

 また、 α+β+γ+δ=90°より、 tan(α+β)tan(γ+δ)=1

 従って、 (a+b)/(ab−1)・(c+d)/(cd−1)=1

 分母を払って、 ac+ad+bc+bd=abcd−ab−cd+1 より、

    P=abcd−(ab+ac+ad+bc+bd+cd)+1=0

 まず、a=1 であることを示すために、「 a≧2 のとき、 P>0 」であることを示す。

 a≧2 なので、 b≧3 となり、 abcd≧6cd

 このとき、 P≧6cd−(ab+ac+ad+bc+bd+cd)+1

         =(cd−ab)+(cd−ac)+(cd−ad)

                       +(cd−bc)+(cd−bd)+(cd−cd)+1>0

 以上から、 P=0 なので、 a=1 でなければならない。

 次に、b=2 であることを示すために、b≧3 のとき、P>0 であることを示す。

 まず、a=1より、P=bcd−(b+c+d+bc+bd+cd)+1

 また、b≧3 より、 c≧4 、d≧5 なので、 b/3≧1 、c/4≧1 、d/5≧1

 このとき、 bcd/3≧cd 、bcd/4≧bd 、bcd/5≧bc より、

     bcd/3+bcd/4+bcd/5≧bc+bd+cd

 すなわち、 (1/3+1/4+1/5)bcd≧bc+bd+cd

 同様にして、 b/3≧1 、c/4≧1 、d/5≧1 より、

    bc/12≧1 、 bd/15≧1 、 cd/20≧1

 なので、 bcd/12≧d 、 bcd/15≧c 、 bcd/20≧b より

     bcd/12+bcd/15+bcd/20≧b+c+d

 すなわち、 (1/12+1/15+1/20)bcd≧b+c+d

 ところで、 (1/3+1/4+1/5)+(1/12+1/15+1/20)

       =47/60+12/60=59/60<1

 なので、 P=bcd−(b+c+d+bc+bd+cd)+1

        >59/60bcd−(b+c+d+bc+bd+cd)+1

        >(1/3+1/4+1/5)bcd−(bc+bd+cd)

          +(1/12+1/15+1/20)bcd−(b+c+d)+1>0

 以上から、 P=0 なので、 b=2 でなければならない。

 a=1、b=2 より、 P=2cd−(2+c+d+2c+2d+cd)+1=cd−3c−3d−1=0

 このとき、 (c−3)(d−3)=10 で、2<c<d より、 −1<c−3<d−3 なので、

  (c−3,d−3)=(1,10)、(2,5)

 よって、 (c,d)=(4,13)、(5,8)

  以上から、 (a,b,c,d)=(1,2,5,8)、(1,2,4,13)  (終)


 基本的には、このような手順しかないのではないでしょうか。a≧2とすれば、矛盾が出る
から、a=1。a=1で、b≧3 とすれば、矛盾が出るから、b=2。式変形の仕方に違う方法
がありうるとは思いますが、基本方針はあまりいろいろないように思います。

 次に、a≦b≦c≦d の場合も証明しておきます。ただ新規にやるのは面倒なので、上記
の結果及び証明を活用します。

(解) 「a≧2 のとき、P>0」を証明するのに使っているのは、ab≧6 だけだから、a≧3

  のとき、及び、a=2、b≧3 のときは成り立つ。

 よって、a=2、b=2 のときを調べればよい。

  このとき、P=4cd−(4+2c+2d+2c+2d+cd)+1

         =3cd−4c−4d−3=0

 より、 cd−(4/3)c−(4/3)d−1=0 なので、

  (c−4/3)(d−4/3)=1+16/9=25/9  すなわち、 (3c−4)(3d−4)=25

 これから、 3c−4=1、3d−4=25 または、 3c−4=5、3d−4=5

  よって、 c=5/3、d=29/3 (不適) または、 c=3、d=3 (適)

 したがって、 (c,d)=(3,3)

 あとは、a=1 のときだけを考えればよい。b=2 のときは、(c,d)=(4,13)、(5,8)

 と解けている。

 b≧4 のときは、前の「a=1、b≧3 のとき、P>0」の証明の中の「1/5+1/4+1/3」

 を「1/4+1/4+1/4」に、「1/20+1/15+1/12」を「1/161/16+1/16」に変えて同

 様にすれば、 3/4+3/16=15/16 だから成り立つ。

 従って、残るのは、 a=1、b=3 だけである。

 このとき、 P=3cd−(3+c+d+3c+3d+cd)+1=2cd−4c−4d−2=0 より、

    cd−2c−2d−1=0

 よって、(c−2)(d−2)=5 より、 c−2=1、d−2=5 なので、(c,d)=(3,7)

 以上から、

  (a,b,c,d)=(1,2,4,13)、(1,2,5,8)、(1,3,3,7)、(2,2,3,3)  (終)

(コメント) 十分納得できる証明ですね!FNさんに感謝します。


 さらに、FNさんは、角が2、3、4、5個のときに面白い関係を見出された。
                                      (平成23年1月12日付け)

 角が2個のとき、 α+β=90° から、 α=90°−β

   よって、 tanα=tan(90°−β)=1/tanβ

 このとき、 1/a=b より、 ab−1=0

  これは、「1」を0次の対称式とすれば、

        (2次の基本対称式)−(0次の基本対称式) の形である。

 角が3個のとき、 α+β+γ=90° から、 α+β=90°−γ

   よって、 tan(α+β)=tan(90°−γ)=1/tanγ

 このとき、 (1/a+1/b)/{1−1/(ab)}=c より、 1/a+1/b=c{1−1/(ab)}

  両辺を ab 倍して、 a+b=c(ab−1) すなわち、 abc−(a+b+c)=0

  これは、 (3次の基本対称式)−(1次の基本対称式) の形である。

 角が4個のとき、 α+β+γ+δ=90° から、 α+β+γ=90°−δ

   よって、 tan(α+β+γ)=tan(90°−δ)=1/tanδ

 このとき、 {tan(α+β)+tanγ}/{1−tan(α+β)tanγ}=d より、

     (a+b)/(ab−1)+1/c=d{1−(a+b)/{c(ab−1)}

  両辺を c(ab−1) 倍して、 c(a+b)+ab−1=d{c(ab−1)−(a+b)}

  よって、 ac+bc+ab−1=abcd−cd−ad−bd より、

       abcd−(ab+ac+ad+bc+bd+cd)+1=0

  これは、

  (4次の基本対称式)−(2次の基本対称式)+(0次の基本対称式) の形である。

 角が5個のとき、 α+β+γ+δ+ε=90° から、 α+β+γ+δ=90°−ε

   よって、 tan(α+β+γ+δ)=tan(90°−ε)=1/tanε

 このとき、 {tan(α+β+γ)+tanδ}/{1−tan(α+β+γ)tanδ}=e より、

 {c(a+b)+ab−1}/{c(ab−1)−(a+b)}+1/d
                  =e[{1−{c(a+b)+ab−1}/{cd(ab−1)−d(a+b)}]

  両辺を d{c(ab−1)−(a+b)} 倍して、

    d{c(a+b)+ab−1}+c(ab−1)−(a+b)
                  =e[{cd(ab−1)−d(a+b)}−{c(a+b)+ab−1}]

 よって、 acd+bcd+abd−d+abc−c−a−b
                  =abcde−cde−ade−bde−ace−bce−abe+e より、

  abcde−(abc+abd+abe+acd+ace+ade+bcd+bce+bde+cde)
                                      +(a+b+c+d+e)=0

  これは、

  (5次の基本対称式)−(3次の基本対称式)+(1次の基本対称式) の形である。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ここで、文字の個数が n のときの k 次の基本対称式を、S(k) と書くことにする。

(0)=1 として、上記の結果は、

   S2(2)−S2(0)=0

   S3(3)−S3(1)=0

   S4(4)−S4(2)+S4(0)=0

   S5(5)−S5(3)+S5(1)=0

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 果たして、一般に、この関係は成り立つのでしょうか。

 この疑問に対して、FNさんの考察が続きます。(平成23年1月15日付け)

cot(α+β)=1/tan(α+β)

       =(1−tanαtanβ)/(tanα+tanβ)

       =(cotαcotβ−1)/(cotα+cotβ)={S2(2)−S2(0)}/S2(1)

cot(α+β+γ)

={cot(α+β)cotγ−1}/{cot(α+β)+cotγ}

={cotαcotβcotγ−(cotα+cotβ+cotγ)}/(cotαcotβ+cotβcotγ+cotγcotα)

={S3(3)−S3(1)}/S3(2)

が成り立つ。

 一般に、cot の加法定理より、

cot(α1+α2+・・・+α)

={S(n)−S(n−2)+S(n−4)+・・・}/{S(n−1)−S(n−3)+S(n−5)+・・・}

が成り立ち、特に、 α1+α2+・・・+α=90°のとき、

     cot(α1+α2+・・・+α)=0

なので、 S(n)−S(n−2)+S(n−4)+・・・=0 が成り立つ。



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