魔方陣の話題 
世界で魔方陣に魅せられた人がいる。その人とは、アルプレヒト・デューラー(1471〜1528)。
ニュールンベルグ生まれの彼は、ドイツに絵画科学を持ち込み、1514年制作の銅版画「メラン
コリア」の中に、右図のような魔方陣を描いている。魔方陣の最下段の中央の2つの数をつな
げれば、ちょうど制作年となるような茶目っ気さも残している。
| 日本でも、東京・小金井市の緑センターの中の階段の壁に、画 家の安野光雅氏制作の魔方陣が描かれている。 魔方陣と一口にいっても、多種多様な魔方陣が存在する。歴史 上、魔方陣が初めて出現するのは、中国の前漢時代(B.C.1世 紀頃)であるらしい。右図の魔方陣は既に13世紀の中国の数学書 に出ているようなので、彼は何処かでそれを知ったらしい。 ここでは基本的な魔方陣の紹介とその作り方を紹介したいと思う。 |
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3×3魔方陣
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縦・横・斜めの3つの数の和が、それ ぞれ15であるように、1〜9 の数字を 配置する方法は、本質的には、1種類 しかない。 その作り方は、17世紀フランスの バチエーにより考案された。 右図のように4つの升目をはみ出さ せ、順次数字を記入し、はみ出し部 分を内部へ移動させればよい。 この作り方は、一般の人を魅了する ようだ。(参考) |
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この魔方陣の覚え歌として、次のようなものが知られている。
憎しと思うな 七五三 六一坊主にハチが刺す
294 753 61 8
奇数×奇数のタイプの魔方陣は、この方法により、必ず求められる。
これに対して、偶数×偶数のタイプの魔方陣の一般的解法を記述することは、すこぶる難しい。
4×4魔方陣
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縦・横・斜めの4つの数の和が、それぞれ34であるように、 1〜16 の数字を配置する方法は、全部で、880種類ある。 |
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| 作り方の一つの例として、次のマニ ュエル・モスコブロスの方法が知られ ている。 右図のように16個の升目を2色に 色分けする。左上の升目から順次横 に数字を記入するわけであるが、水 色の所は書き込んで、黄色の所は保 留する。右下まで書き終わったら、今 度は逆に、右下から横に順次数字を 記入するが、その際、青色は保留して、 黄色で書き込む。そのようにして全て を書き込んだ魔方陣が右図である。 4×4魔方陣の特徴として、4つの数の 和が34となるブロックは、7箇所ある。 是非探してみて下さい。 |
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また、4進法を利用して求める方法も知られている。
4進法で、0〜15 は次のように表される。
| 十進法 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
| 4進法 | 00 | 01 | 02 | 03 | 10 | 11 | 12 | 13 | 20 | 21 | 22 | 23 | 30 | 31 | 32 | 33 |
4進法では各位の数字は、0〜3 なので、縦または横に唯一つあるように 0〜3 を配置
した魔方陣を2つ作る。それを合体させて、4進法の魔方陣を作る。
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+ | ![]() |
= | ![]() |
これを十進数に直せば、
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左の各数に1を加えて、 求める魔方陣を得る。(右図) |
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また、魔方陣に関して、次のような面白い問題が知られている。
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左図の魔方陣において、A と B の値を 求めよ。 (解)右図において、Aに、しらみつぶしに 2、3、4、6、7、8、11、12、13、14、 16 を代入して、a、b、c に矛盾がな いものを探すと、 A=4、a=14、b=16、c=7 の場合のみ適する。同様にして、Bに、 しらみつぶしに、 2、3、6、8、11、12、13 を代入して、適する場合を求めると、 B=11、d=2、e=8 のみ。 したがって、A=4、B=11 である。 |
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| 同様に、次の問題は如何だろうか。 | ||
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(解) 右図おいて、魔方陣の性質から a+A=14 である。よって、b=16 また、A+c=12 である。 魔方陣の性質から、 A+c+b+B=34 が成り立つので B=6 であることが分かる。 次に、Aを決定したいのだが、少し難 しい。4進法展開を利用して求めてみ よう。 |
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与えられた魔方陣で、各升目の数から1引いた数を4進法に直して書いてみると、

この魔方陣は、その特徴から、次の2つの魔方陣の合成で作られたものである。

即ち、
このことから、求めるAの値は、20(4進法)を十進数に直して、1を加えれば、A=9 である。
(正直に告白すると、求めるAの値が唯一つであると自信を持って言えない。もしかしたら、もっ
とあるかもしれない。(Aの可能性としては、1、3、5、9、11の場合しかないが...。)この点も
含めて、4進数展開による方法でない解法をご存知の方がいらっしゃいましたら、塾長宛メール
をお願いします。)
(追加) 上記の解の不確実さを是正するために再考したら、やはり、解は1通りではなかった。
Aの値として、1、3、5、11 の各場合について検証した結果、A=3、5、11 の場合は
魔方陣そのものが存在しない。さらに、A=1 のとき、次のような魔方陣が存在する。

したがって、問題の答は、A=1 または 9 、B=6 となる。
(参考文献:ホームページ「飛行船すうがく」
船山良三 著 身近な数学の歴史(東洋図書))
(追記) 奇数×奇数のタイプの魔方陣について、上記の方法で普通求められるが、その求め
方の変形バージョンがいくつかあるようだ。
(例) 升目のはみだしのかわりに、あるルールに従って、数字を埋めていく方法
この方法は、はみだしを使わない分、ルールを知らないものにとっては、「マジック!」と
叫ぶくらい美しい解き方かも知れない。

数字記入のルール
1. 斜め左下がりに、1から順番に数字を記入
2. 枠外にはみ出した場合の対処
・ 下側の場合は、その列の第1行(最上段)に記入
・ 左側の場合は、その行の第5列(右端)に記入
・ 対角線の場合は、第1列(左端)の第2行に記入
3. 数字が重なった場合の対処
「く」の字に曲がって、右下隣に記入し、その結果はみ出す場
合は、上の 2. のルールに従う。
このルールをマスターするために、是非上の魔方陣を目で追ってみてください。
英語の先生に魔方陣の作り方を伺ったら、次のようにやるのが一番分かりやすいと仰っていた。
数字の記入方向が斜め右上がりということを除けば、基本的なル
ールは上の場合と大体同じである。(右左、上下 の読替えは必要)
ただ決定的に違うのは、「数字が重なった場合の対処」の方法であ
る。左図をみると、数字が重なったら、重なる前の数字の下に記入
している。さらに、対角線上にはみ出した場合も同様に処理している。
3×3 の魔方陣を眺めてみると、実はこの方法で作られているこ
とが分かった。
以上いずれにしても、重要なことは、数字の「1」の位置である。25通り全てについて検証した
結果、魔方陣が出来るのは、1つのルールにつき、1つの場合しかないことが確認された。
3×3 の魔方陣は、基本的に1種類しかないが、5×5 の魔方陣は、上の例からも分かるよう
に最低2種類はあるようである。いったい本当に違うものは何通りあるのか、今後の検討が待た
れる。何か情報をお持ちの方、塾長宛メールでお知らせください。
(参考文献:岡野公二郎 著 図形パズル Bアラカルト(共立出版))
(再追記) 整数論とデューラーの作品双方に興味を持ち、冒頭に掲げたデューラーの魔方陣を
研究した方がいることを最近知った。
アメリカはウィスコンシン州マディソン出身のマーク・コリンズという方である。
彼は、各升目の数字から1引いた数字を2進数に置き換えて、面白い性質を発見している。
左の魔方陣の各数字を2進数に置き換えると、下図を得る。

この2進数表示されたものを、じっと眺めていると、いろいろな特徴に気づかれることとと思う。
より意識化しやすいように、色をつけて眺めてみよう。
まず、黄色の対角線上の数は、同じ色同士互いに0と1の入
れ替えになっている。さらに、この対角線に関して対称な位置
にある数は同じ色同士互いに数字の順番が逆になっている。
黄色でない対角線に関しても、同様な現象が見い出せる。即ち、
黄色でない対角線上の数は、同じ色同士互いに数字の順番が
逆になっている。この対角線に関して対称な位置にある数は、
互いに0と1を入れ替えた数字の順番を逆にしている。
左の魔方陣にはもっといろいろな性質が潜んでいるのだろう。
マーク・コリンズはさらに、次のようなことにも気づいている。
左図のように、偶数は偶数同士、奇数は奇数同士で色分け
すると、輪が絡まっている図を想像することができる。
このように、単なる一つの魔方陣とはいえ、いろいろ神秘的な
性質がたくさんあることに驚かされる。
(参考文献:クリフォード・A・ピックオーバー 著 上野元美 訳
ワンダーズ オブ ナンバーズ(数の不思議) (主婦の友社))
(追記) 最近、近所の図書館で、おそろしく迫力ある本に出会った。
大森清美 著 新編 魔 方 陣 (冨山房)
この本では、世の中に存在する、ありとあらゆる魔方陣の話題が、ギュウギュウに詰め込ま
れている感じで、読む者を、「これでもか、これでもか」と圧倒する。特に、圧巻なのは、
4×4魔方陣 全880種の紹介 : p.56 〜 p.96
4×4魔方陣から新しい4×4魔方陣を作る方法 : p.96 〜 p.109
魔方陣作成のプログラム集(BASIC、C など) : p.209 〜
p.271
である。また、5×5魔方陣は、2億7530万5224種類あることも示されている。
著者は、栃木県の県立高校の先生で、その博学ぶりには、頭が下がる思いである。
(再追記) ホームページにて、自らの「魔方陣の研究」についての成果を公開している方が
いらっしゃることを、最近知った。
論文集:『魔方陣の研究』 摂田 寛二
これは、数理パズル入門の未菜実さんに教わりました!(感謝)
(再々追記) 数理パズル入門の未菜実さんから、またまた情報をいただきました。(感謝!)
魔方陣についての情報をもう一つ追加しておきます。以前、東北大鈴木睦元教授の魔方陣
のホームページがあったのですが、退官とともに閉鎖されてしまいました。
英語版のページが残っています。
→ http://mathforum.com/te/exchange/hosted/suzuki/MagicSquare.html
実際に訪問してみたところ、いろいろなタイプの魔方陣が紹介されていて、一気には読みき
れませんでした。少し時間が出来たところで、じっくり腰を落ち着けて読んでみたいと思います。
でも、英語版のページも閉鎖ということにはならないですよね?!(2003.8.20記)
(再々々追記) 平成18年8月14日付け
今、夏休みを利用して、「Flash」を勉強している。「塾長日記」では、インストールのトラブル
があって、インストールに失敗したという話をしたが、マシン(いつもHPの更新に使っている)
を変えて再度インストールに挑戦したら、何とか無事にできたみたい。(これは何故?)
まだ勉強を始めて間もないので技術的に未熟だと思われるが、作品を一つ作ってみた。
(この作品を完成させるのに、だいたい半日を要した!ちょっと暇かな?)
魔方陣を完成させるもので、数字を正しい場所に貼り付ければよいのだが、位置が正し
くないとはじかれてしまう。位置が正しいと、その場所に数字が吸着される。
この作品で、ぜひ遊んでやってください。感想は、こちらへ。改良の参考にしたいと思いま
す。
セキュリティ保護のため、コンピュータにアクセスできるアクティブ コンテンツが表示されないように、
Internet Explorer で制限していると、HTML版、Flash版ともに見られません。ブロックされている
コンテンツを許可してください。(すみません、自己の責任でお願いします。)
Flash版 → 魔方陣 Flash で遊ぼう!
HTML版 → 魔方陣 Flash で遊ぼう!
(コメント) 正しい場所に入ることは入るのだが、何か美しく入っていないですね!2つのイ
ンスタンスの座標の合わせ方が今一歩です。でも、だいたいFlashの基礎の基礎
が、作品を作ってみて、何となく分かったような気がします。
31日間のみの無料体験版なので、頑張って他の作品にも挑戦したいと思います。
目標は、このHPのコンテンツのインタラクティブ化です!できるかな?
ところで、31日間の無料体験期間が過ぎたら、作品も動かなくなるなんてことは
ないですよね?