ヘロン数とピタゴラス数
直角三角形の三辺が全て整数となるものを、ピタゴラス数という。(詳しくは、こちらを参照)
また、そのような三角形は、ピタゴラス三角形と呼ばれる。
任意の自然数 α>β に対して、ピタゴラス数は、次の3つの数の組で与えられる。
α2+β2 、 α2−β2 、 2αβ
このピタゴラス数を用いて、ヘロン数といわれるものが作られることを最近知った。
三角形の三辺とその面積が全て整数となるものを、ヘロン数といい、そのような三角形は、
ヘロン三角形と呼ばれる。
任意の自然数 α≧β>γ に対して、次の4つの数の組:
a=(α2+γ2)β、b=(β2+γ2)α、c=(αβ−γ2)(α+β)、
S=αβγ(αβ−γ2)(α+β)
は、ヘロン数となる。このヘロン数は、ピタゴラス数を用いて、次のように考えることで容易に
得られる。

(注意) ヘロン数に関して、広島工業大学の大川研究室より、以下のことをご教示頂きま
した。
上記のヘロン数の構成では、ピタゴラス三角形を2つ考えて合成した。したがって、
少なくとも一つの底辺に対する高さが整数となる。しかし、一般のヘロン三角形では、
いつもそうなるとは限らない。どの辺を底辺としても、それに対する高さが整数となら
ない場合がある。例えば、a=5、b=29、c=30、S=72 の場合である。
ところで、この三角形は、5倍すると、ピタゴラス三角形を2つ組み合わせた三角形
になる。

一般に、ヘロン三角形は、何倍かすると、ピタゴラス三角形の組み合わせとなる。
(追記) 三角形の三辺とその面積が全て整数となるものを、ヘロン数といったが、その
中で、三辺の長さの和(三角形の周の長さ)が面積と等しくなる場合がある。
ピタゴラス数からは、 (5 , 12 , 13)、(6 , 8 , 10)
実際に、三角形の三辺の長さが、(5 , 12 , 13)のとき、
周の長さは、5+12+13=30
面積は、 5×12÷2=30
で、確かに成り立つ。 (6 , 8 , 10)も同様である。
ヘロン数からは、 (7 , 15 , 20)、(6 , 25 , 29)、(9
, 10 , 17)
実際に、三角形の三辺の長さが、(7 , 15 , 20)のとき、
周の長さは、7+15+20=42
面積はヘロンの公式を用いて、
S2=21×14×6×1=422 より、 S=42
で、確かに成り立つ。 他も同様である。
(コメント) 作問の時に、この事実を知っていると便利ですね!
(追々記) 任意の自然数 α>β に対して、X=α2−β2 、Y=2αβ とおくと、
X2+Y2=(α2−β2)2+(2αβ)2=(α2+β2)2
が成り立つ。
この性質を利用すると、次のような問題にも即答できるだろう。
問題
が自然数となるような x 、 y を求めよ。
答は、明らかに、x=α2−β2、y=2αβ (α、βは自然数)である。
この問題を少しだけ一般化した次の問題も同様である。
問題
が自然数となるような x 、 y 、z を求めよ。
答は、x=α2+β2−γ2、y=2αγ、z=2βγ (α、β、γは自然数)である。
実際に、
x2+y2+z2=(α2+β2−γ2)2+(2αγ)2+(2βγ)2
=α4+β4+γ4+2α2β2−2β2γ2−2γ2α2+4γ2α2+4β2γ2
=α4+β4+γ4+2α2β2+2β2γ2+2γ2α2
=(α2+β2+γ2)2
から明らかだろう。

左図のような直方体で、辺と対角線の長さをともに整
数にしたい場合、上記公式は有効である。
(左図では、α=2、β=γ=1 としている。)
(参考文献:深川英俊、ダン・ソコロフスキー 著
日本の数学 何題解けますか?(上) (森北出版))
(追々々記) 平成19年3月31日付け
上記の問題で考えた
各辺の長さ、対角線の長さがともに自然数である直方体を見いだす
ことは、いろいろな問題設定で活用出来るだろう。
この話題をもう少し掘り下げることにする。
を、T とおいて、方程式 x2+y2+z2=T2 を考える。
上記で、自然数 α、β、γに対して、
x=α2+β2−γ2 、 y=2αγ 、 z=2βγ 、 T=α2+β2+γ2
が方程式を満たすことを確認した。 したがって、解は無数にある。
この解の様子から、次の性質の成り立つことが分かる。
(1) 3数 x 、 y 、 z のうち、少なくとも2つは偶数である。
実際に、 自然数の平方数を、4で割った余りは、0 または 1 であることから
| |
| x2 |
1 |
1 |
1 |
0 |
| y2 |
1 |
1 |
0 |
0 |
| z2 |
1 |
0 |
0 |
0 |
| x2+y2+z2 |
3 |
2 |
1 |
0 |
|
となり、 x2+y2+z2=T2 が適するのは、3数 x 、 y 、 z のうち、少なくとも2つが偶数で
ある場合のみである。(上記の表は、mod 4 で考え、x2≧y2≧z2 (mod 4)とする。)
(2) 4数 x 、 y 、 z 、 T のうち、少なくとも1つは 3 の倍数である。
実際に、3数 x 、 y 、 z が何れも3の倍数でないとすると、それらの平方数は何れも 3
で割った余りは 1 だから、 x2+y2+z2=T2 は、3 の倍数となる。
よって、 T は、3 の倍数となる。
(3) 2つの0以上の整数 m 、 n に対して、
x=2m+1 、 y=2n 、 z=2m2+2n2+2m 、 T=2m2+2n2+2m+1
または、
x=2m 、 y=2n+1 、 z=2m2+2n2+2n 、 T=2m2+2n2+2n+1
も方程式を満たす。
このことは、計算により簡単に確かめられる。
(4) (1)から、 2つの自然数 m 、 n に対して、
x=2m 、 y=2n のとき、 z=m2+n2−1 、 T=m2+n2+1
も方程式を満たす。
このことは、計算により簡単に確かめられる。
(コメント) この(4)の形が一番スッキリした表現になっているかな?
上記の(3)、(4)から、 直方体の2辺を任意に与えても(ただし、ともに奇数は除く)、必
ず、方程式 x2+y2+z2=T2 を満たす自然数解が存在することが分かる。
問題作成に重宝するように、いくつかの具体例をあげておこう。
| |
| x |
1 |
1 |
2 |
2 |
4 |
6 |
| y |
2 |
4 |
3 |
6 |
4 |
6 |
| z |
2 |
8 |
6 |
9 |
7 |
7 |
| T |
3 |
9 |
7 |
11 |
9 |
11 |
|
上記の表からも察せられるように、次の事実が成り立つことは誠に残念である。
(5) 直方体の対角線の長さが自然数で、3辺の長さが連続する3整数となるものは
存在しない。
実際に、そのような解が存在するとすると、(1)から、真ん中の数は奇数で、3つの数は、
2m 、 2m+1 、 2m+2 (mは自然数)
と書ける。 このとき、
T2=(2m)2+(2m+1)2+(2m+2)2=6m2+12m+5
で、T2 を、3で割った余りは、2 となる。
ところが、自然数の平方数を、3で割った余りは、0 または 1 なので、これは矛盾。
したがって、条件を満たす直方体は存在しない。
(参考文献:シェルピンスキー 著 銀林 浩 訳 ピタゴラスの三角形 (東京図書))