隣り合う分数 
整数の世界では、2 と 3 は「隣り合っている」、3 と 5 は「隣り合っていない」だろうとい
うことは直感的に理解できる。
整数論で、「連続する3整数の積は、6 の倍数である」という定理があるが、これは正確
には「隣り合う3つの整数の積は、6 の倍数である。」とすべきだろう。
ところが、分数の世界に数の範囲を拡げた場合、「隣り合う」という感覚が不明確になる。
例えば、
分数の 1/3 と 1/2 は、果たして隣り合っているのだろうか?
分数の 1/3 と 2/3 は、どうなんだろうか?
......... 疑問は尽きない。
この問題に対して、次のような考え方があることを最近知った。
定義 2つの分数 a/b 、c/d (a,b,c,d は整数で、b,d>0)に対して、
ad−bc=±1
が成り立つとき、2つの分数 a/b 、c/d は隣り合うという。
b=d=1 すなわち 2つの数が、ともに整数の場合は、我々の今までの直感的理解と
一致する。
この定義を用いると、1/3 と 1/2 は、隣り合っていると言えるが、1/3 と 2/3 は、隣り
合っているとは言えないことになる。
1/2 と 2/3 については、1/3<1/2<2/3 なので、「あ〜そうかな〜」という感じなのだ
が、1/3<9/20<1/2 である 9/20 が 1/3 とは隣り合っていないことを思うと、とても
不思議な感覚だといえる。
下図に、分数を並べてみた。

分数全体が、加算集合を示すには上図で十分であるが、「隣り合う」という感覚を説明す
るには不十分である。
| 定義によれば、2つの列ベクトル | |
によって生成される平行四辺形の面積 |
| が 1 であるときに、2つの分数は「隣り合う」ことになる。 | ||
このことを言い換えれば、面積 1 の正方形に一次変換を施して、面積が不変な場合、そ
の1次変換を表す行列の列ベクトルは、隣り合う分数を生成することになる。
(もちろん、行列の成分は全て整数とする。)
隣り合う分数には、次のような面白い性質もあるらしい。
性質(1) 2つの分数 a/b 、c/d (a,b,c,d は整数で、b,d>0)が隣り合う分数
であるとき、2つの分数は既約分数でなければならない。
(証明) 分数 a/b が既約分数でないと仮定すると、最大公約数 (a,b)は1とは異
なる。
条件より、ad−bc=±1 で、左辺が (a,b) で割り切れることになり、矛盾。
よって、分数 a/b は既約分数。分数 c/d についても同様である。
性質(2) 2つの分数 a/b 、c/d (a,b,c,d は整数で、b,d>0)が隣り合う分数
であるとき、分数 (a+c)/(b+d) は、これらの間にあって、両方に隣り合う
分数となる。
(証明) 2つの分数 a/b 、c/d は隣り合う分数であるので、ad−bc=±1
(a+c)/(b+d) と a/b について、(a+c)b−(b+d)a=bc−ad=±1
なので、分数 (a+c)/(b+d) と a/b は隣り合う分数である。
同様にして、
(a+c)/(b+d) と c/d について、(a+c)d−(b+d)c=ad−bc=±1
なので、分数 (a+c)/(b+d) と c/d は隣り合う分数である。
また、
((a+c)/(b+d)−a/b)((a+c)/(b+d)−c/d)=−1/b2(b+d)2<0
より、(a+c)/(b+d) は、2つの分数 a/b 、c/d
の間にある。
この性質(2)から、1/3 と 1/2 は、隣り合う分数なので、
1/3<3/8<2/5<3/7<1/2
と次々に隣り合う分数ができるかにみえるが、それは、隣り合う三者間の関係であって、
離れた数同士は、やはり隣り合わないもの
上の場合だと、1/3 と 3/7,3/8 と 3/7,・・・
も出てくる。なんか収拾がつかない感じだ。
この「隣り合う分数」という概念から、どのような数学が展開されるのか、とても興味がある。
(参考文献:I.M.ゲルファント A.シュン 著 富永 星 赤尾和男 訳
ゲルファント先生の学校に行かずにわかる数学 3 代数(岩波書店))
(追記) 平成19年5月19日付け
平成19年5月8日付けで、当HPの掲示板「出会いの泉」に、HN「数学はとことん難しい」
さんから書き込みがあった。
テレビ番組をみていると、どうも「予告→本編」の連鎖を客観的な文体で宣伝コードを要
所要所に埋め込んでいるとみられ、これらを探求していくと、一年間を12区画に分割でき、
「6 5/6 5 4/5 4 3/4 3 2/3 2 1/2 1 0/1 0」(0は6にまた6は0に置き換え、数列
の輪で考える)のテーマで数列を構成している雰囲気である。特に分数の並びが妙なので
インターネット検索をすると「ファレイ数列」「既約分数」「スターン=ブロコット木」を割り出
したが、これ以上の資料は見当たらない。これらの数列は何を意味しているのだろうか。
「隣り合う分数」というページは平成15年6月頃アップしたもので、常々「隣り合う分数」や、
分数の合理的な番号の付け方をどうするかなど頭の片隅にあった。掲示板の書き込みを
見てほぼ4年ぶりの見直しをしようと思い立った。
ところで、数学セミナー(日本評論社) 2005年2月号〜4月号で、京都大学教授であら
れた岩井齊良さんが「分数の世界」と題して連載されている。また、数学セミナー 2007年
3月号で、浅井哲也さんが「エレガントな解答をもとむ」で隣り合う分数を話題にされている。
時は正に「隣り合う分数」で熟したかのようである。
いま、このページを読み返していて、
性質(2) 2つの分数 a/b 、c/d (a,b,c,d は整数で、b,d>0)が隣り合う分数
であるとき、分数 (a+c)/(b+d) は、これらの間にあって、両方に隣り合う
分数となる。
から作られたであろう問題
a,b,c,d が正の数で、 a/b < c/d ならば、
a/b < (a+c)/(b+d) <c/d
が成り立つことを証明せよ。
が脳裏をかすめる。この問題は古くは福岡教育大学で出題されたものだが、教科傍用の
問題集で解いた覚えがある方がほとんどだろう。
私自身、この問題を高校1年の不等式の証明の時間に解いた覚えがあるが、この問題
が「隣り合う分数」の話題に関係しているとは、その当時、微塵も思わなかった!
自然数 n 以下の分母を持つ 0 以上 1 以下の既約分数を大きさの順に小さい方から並
べた数列を、ファレイ(Farey)数列という。ファレイ数列を、Fn と表すことにする。
例 数列 F1 は、 0/1 , 1/1 (数 0 を分数 0/1 で表す。)
例 数列 F2 は、 0/1 , 1/2 , 1/1
例 数列 F3 は、 0/1 , 1/3 , 1/2 , 2/3 , 1/1
上記例の数列において新しい項が、前段の2つの分数 a/b , c/d から、
(a+c)/(b+d)
という形の中間分数により与えられている点が面白い。換言すれば、隣り合う分数の話題
に関係するということだ。
ファレイ数列 Fn が、いくつの項からなる数列かという問いに対して、次の事実が知られ
ている。ファレイ数列の特徴から明らかだろう。
オイラーの関数 φ(n) に対して、ファレイ数列 Fn の項数は、
1+φ(1)+φ(2)+・・・+φ(n)
により与えられる。
但し、φ(n)=(1 から n までの自然数のうち n と互いに素なものの個数)
例 φ(1)=1 、φ(2)=1 、 φ(3)=2 、φ(4)=2 、・・・ なので、
ファレイ数列F1 の項数は、 1+φ(1)=2
ファレイ数列F2 の項数は、 1+φ(1)+φ(2)=3
ファレイ数列F3 の項数は、 1+φ(1)+φ(2)+φ(3)=5
以下、同様にして、
ファレイ数列F4 の項数は、7
ファレイ数列F5 の項数は、11
ファレイ数列F6 の項数は、13
ファレイ数列F7 の項数は、19
ファレイ数列F8 の項数は、23
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
である。
一般に、ファレイ数列Fn の項数は、大体 3n2/π2 位であることが知られている。
n=1 のとき、 3n2/π2=3/π2≒0.3 (実際の項数は、2)
n=2 のとき、 3n2/π2=12/π2≒1.2 (実際の項数は、3)
n=3 のとき、 3n2/π2=27/π2≒2.7 (実際の項数は、5)
n=4 のとき、 3n2/π2=48/π2≒4.9 (実際の項数は、7)
n=5 のとき、 3n2/π2=75/π2≒7.6 (実際の項数は、11)
n=6 のとき、 3n2/π2=108/π2≒10.9 (実際の項数は、13)
n=7 のとき、 3n2/π2=147/π2≒14.9 (実際の項数は、19)
n=8 のとき、 3n2/π2=192/π2≒19.5 (実際の項数は、23)
(小さい n については、全然遠いかな...f(^_^;) )
上記で、数 0 を分数 0/1 で表したように、正の無限大(+∞)を分数 1/0
で表すことに
する。このとき、2つの既約分数 a/b , c/d から、新しい既約分数 (a+c)/(b+d)
が順次生成される。
| 0/1 | 1/0 | |||||||||||||||
| 1/1 | ||||||||||||||||
| 1/2 | 2/1 | |||||||||||||||
| 1/3 | 2/3 | 3/2 | 3/1 | |||||||||||||
| 1/4 | 2/5 | 3/5 | 3/4 | 4/3 | 5/3 | 5/2 | 4/1 |
上記表の構成方法から、出現する分数は全て相異なる。
上記表を、スターン=ブロコット(Stern-Brocot)の木構造という。
0/1 から 1/1 までに注目すると、ファレイ数列の各項が大きさの順に出現している。
上記表の太字の数列が、ファレイ数列 F4 で、項数は、7 である。
上記の表から、次の性質が成り立つことが推察される。
2つの既約分数 a/b , c/d があるファレイ数列の隣り合う2項であるとき、
中間分数 (a+c)/(b+d) はファレイ数列の Fb+d の項となる
例 分数 1/2 と 2/3 は、ファレイ数列 F3 の隣り合う2項であるが、その中間分数
3/5 は、ファレイ数列 F5 の項になっている。
(追々記) 平成19年5月30日付け
上記では、全く機械的にファレイ数列の各項を計算したが、幾何学的に次のような意味
合いがあることを最近知ることができた。
当HPの「平成15年度前期 東京大学 理科系」の問題でお世話になった東京大学の坪
井先生がファレイ数列を幾何的に説明されている。(日本数学会市民講演会2006)
下図は、2つの円 C1:x2+(y−1/2)2=(1/2)2 C2:(x−1)2+(y−1/2)2=(1/2)2
と x 軸に対して順次外接する円を描いたものである。

このとき、円 D の中心のx 座標は、1/2 で、円 E1 の中心の x 座標は、1/3 、円 E2 の
中心の x 座標は、1/3 となることに驚かされる。
これは、正にファレイ数列のF3 なのだ!
実際に、手計算でこのことを確認してみよう。
円 D の中心の x 座標が、1/2 であることは明らかだろう。円 D の半径を
R とすると、
三平方の定理より、 (1/2−R)2+(1/2)2=(1/2+R)2 が成り立つ。
これより、 R=1/8 である。
また、円 E1 の半径を r 、中心 E1 の x 座標を a とすると、三平方の定理より、
(1/2−r)2+a2=(1/2+r)2 、 (1/2−a)2+(1/8−r)2=(1/8+r)2
が成り立つ。これより、
a2=2r 、 a2−a+1/4=r/2
第2式より、 4a2−4a+1=2r なので、 4a2−4a+1=a2
すなわち、 3a2−4a+1=0
よって、 (3a−1)(a−1)=0 より、 a=1/3 、1
a=1 は不適なので、 a=1/3
同様にして、中心 E2 の x 座標が 2/3 であることも示される。
また、円 C1 と円 E1 および x 軸に接する円の中心の x 座標を b 、半径を s とすると、
上記と同様の計算から、
b2=2s 、 b2−(2/3)b+1/9=2s/9
が得られ、これを解いて、 b=1/4 、 s=1/32 となる。
(コメント) b=1/4 もファレイ数列のF4 の項である。順次、原点に近づいて行くにした
がって、自然数 n の逆数 1/n が円の中心の x 座標を与えている点、さらに
半径が 1/(2n2) のような雰囲気である点がとても面白い。
上図の円のことを、フォードの円(Ford circle)と言うらしい。
このことを一般的に証明してみよう。
円 En の中心の x 座標が、1/n
で、半径が 1/(2n2) であるとき、
円 En+1 の中心の x 座標と半径は
それぞれ
、 ![]()
で与えられることを示す。
三平方の定理より、
(1/2−r)2+a2=(1/2+r)2 、 (1/n−a)2+(1/(2n2)−r)2=(1/(2n2)+r)2
が成り立つ。これより、
a2=2r 、 a2−(2/n)a+1/n2=2r/n2
第2式より、 n2a2−2na+1=2r なので、 n2a2−2na+1=a2
すなわち、 (n2−1)a2−2na+1=0
よって、 ((n+1)a−1)((n−1)a−1)=0 より、 a=1/(n+1) 、1/(n−1)
a=1/(n−1) は不適なので、 a=1/(n+1)
このとき、半径は、 1/(2(n+1)2) となる。
(コメント) 証明を眺めていると、今更ながらに美しい結果ですね!坪井先生に感謝します。
さて、話を元に戻そう。上記で述べたように、下表のように中間分数が種々得られた。
| 0/1 | 1/0 | |||||||||||||||
| 1/1 | ||||||||||||||||
| 1/2 | 2/1 | |||||||||||||||
| 1/3 | 2/3 | 3/2 | 3/1 | |||||||||||||
| 1/4 | 2/5 | 3/5 | 3/4 | 4/3 | 5/3 | 5/2 | 4/1 |
この中間分数に新しい概念が次のように付加される。
2つの分数 a/b < c/d に対して、正の数 p 、 q を用いて作られる分数
(pa+qc)/(pb+qd)
は、不等式 a/b < (pa+qc)/(pb+qd) < c/d を満たす。
実際に、 (pa+qc)/(pb+qd)−a/b={(pa+qc)b−(pb+qd)a}/(pb+qd)b
=q(bc−ad)/(pb+qd)b>0
なので、 a/b < (pa+qc)/(pb+qd) が成り立つ。
(pa+qc)/(pb+qd) < c/d も同様に成り立つ。
このとき、分数 (pa+qc)/(pb+qd) のことを、
2つの分数 a/b < c/d に対する重み p : q の中間分数という。
例 上記の表において、
分数 1/1 は、2つの分数 0/1 、 1/0 に対して、重み 1 : 1
の中間分数である。
分数 1/2 は、2つの分数 0/1 、 1/0 に対して、重み 2 : 1
の中間分数である。
分数 1/2 は、2つの分数 0/1 、 1/1 に対して、重み 1 : 1
の中間分数である。
分数 1/3 は、2つの分数 0/1 、 1/0 に対して、重み 3 : 1
の中間分数である。
分数 1/3 は、2つの分数 0/1 、 1/1 に対して、重み 2 : 1
の中間分数である。
分数 1/3 は、2つの分数 0/1 、 1/2 に対して、重み 1 : 1
の中間分数である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この計算から、
分数 1/2 は、2つの分数 0/1 、 1/1 の間にある
分数 1/3 は、2つの分数 0/1 、 1/2 の間にある
ことが分かる。
同様にして、
分数 2/3 は、2つの分数 0/1 、 1/0 に対して、重み 3 : 2
の中間分数である。
分数 2/3 は、2つの分数 0/1 、 1/1 に対して、重み 1 : 2
の中間分数である。
分数 2/3 は、2つの分数 1/2 、 1/1 に対して、重み 1 : 1
の中間分数である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この計算から、
分数 2/3 は、2つの分数 0/1 、 1/1 の間にある
分数 2/3 は、2つの分数 1/2 、 1/1 の間にある
ことが分かる。
また、重みの変化に着目すると次のように変化している。
たとえば、
分数 1/3 の場合は、 3 : 1 → 2 : 1 → 1 : 1
分数 2/3 の場合は、 3 : 2 → 1 : 2 → 1 : 1
このことを一般化すると、重みが等しくなるまでは、
大 : 小 ( 小 : 大 ) → 大−小 : 小 ( 小 : 大−小 )
と変化しているようだ。
以上をまとめて、分数 2/3 の動向を絵にしてみた。

このように重み p : q の値如何によって、上から下に水がしたたり落ちるように、分数の
落ち着き先(重みが 1 : 1 になるまで)が定まっていくことは、とても面白い現象だ。
練習問題A 重みの変化に着目して、分数 3/5 は、どのように変化するか?
(答) 5 : 3 → 2 : 3 → 2 : 1 → 1 :
1
練習問題B 左側大→右側大→左側大→重み 1 : 1 と重みが変化するとき出発点の
分数を求めよ。
(答) 1 : 1 → 2 : 1 → 2 : 3 → 5 :
3 より、求める分数は、3/5
練習問題A、B からも分かるように、分数 3/5 と 重みの変化は 1 : 1
に対応している
と言える。
そこで、重みが左側大のときは数字の「0」を、右側大のときは数字の「1」を対応づける
ものとすると、
分数 3/5 には、 数の並び 010 が対応する
例 分数 3/4 に対応する数の並びを求めよ。
4 : 3 → 1 : 3 → 1 : 2 → 1 : 1 なので、 011 が対応する。
ところで、分数 3/4 について、
3=4×0+3
4=3×1+1
3=1×3
から、分数 3/4 の連分数表示は、[ 0 ; 1 , 3 ] となる。
重みの変化の計算では順次大きい数から小さい数を引いているが、これは割り算をして
「余り」に換算していることに等しい。
最後は、余り「0」の一歩手前で計算が終了するので、実質は、
3=4×0+3
4=3×1+1
3=1×2+1
という計算に等しい。
そこで、第1行には、数の「1」を対応させ、これが「0」回、
第2行には、数の「0」を対応させ、これが「1」回、
第3行には、数の「1」を対応させ、これが「2」回、
と翻訳すれば、 011 という数の並びが出現する。
例 分数 3/5 についても同様な計算で、数の並びを見いだせ。
3=5×0+3
5=3×1+2
3=2×1+1
2=1×1+1
以上から、求める数の並びは、 010 となる。
分数 3/5 の連分数表示が、[ 0 ; 1 , 1 , 2 ] であることを考えると、
分数 Q/P の連分数表示が、[ a ; b , c ,・・・, d ] であるとき、
分数 Q/P に対応する数の並びは、
1 を a 個 、 0 を b 個 、 1 を c 個 、 ・・・ 、 1 または 0 を
d−1 個並べたもの
となることが分かる。
前にあげた表
| 0/1 | 1/0 | |||||||||||||||
| 1/1 | ||||||||||||||||
| 1/2 | 2/1 | |||||||||||||||
| 1/3 | 2/3 | 3/2 | 3/1 | |||||||||||||
| 1/4 | 2/5 | 3/5 | 3/4 | 4/3 | 5/3 | 5/2 | 4/1 |
において、 0/1 、 1/1 、 1/0 以外の分数について、数の並びに置き換えてみると、
| 0/1 | 1/0 | |||||||||||||||
| 1/1 | ||||||||||||||||
| 0 | 1 | |||||||||||||||
| 00 | 01 | 10 | 11 | |||||||||||||
| 000 | 001 | 010 | 011 | 100 | 101 | 110 | 111 |
隣り合う分数 1/2 と 2/3 の中間分数として、分数 3/5 が作られたわけだが、分
数 3/5 の数の並びが 010 で、分数 1/2 、2/3 の数の並びがそれぞれ 0 と 01
であることを考えると、分数の落ち着き先が、 010 → 0 と 01 を端点にもつ範囲に
なるものと推察される。
すなわち、「010」は「01」の左側で、かつ、「010」は「0」の右側に位置する。
数学セミナー 2007年3月号で、浅井哲也さんは、「エレガントな解答をもとむ」に、次の
ような問題を出題された。
分母が100以下のすべての既約分数が大きさの順に並んでいる。分数 17/66
の両隣りの分数を求めよ。
これまでに学んだ理論をこの問題に適用してみよう。
まず、
17=66×0+17
66=17×3+15
17=15×1+2
15=2×7+1
2=1×1+1
以上から、分数 17/66 に対応する数の並びは、 000100000001 となる。
したがって、両隣りの分数に対応する数の並びは、
00010000000 0001000000
となるはずである。
これらの連分数表示は、それぞれ [ 0 ; 3 , 1 , 8 ] 、[ 0 ;
3 , 1 , 7 ] なので
分数に直せば、それぞれ、 9/35 、 8/31 となる。
このとき、2つの分数 9/35 、 8/31 は、 9×31−8×35=−1 より隣り合う分数で、
分数 17/66 は、それらの中間分数である。
さらに、2つの分数 9/35 、 17/66 の中間分数を考えると、 26/101 となり、これは、
分母が100以下という条件に反するから不適である。
同様に、2つの分数 17/66 と 8/31 の中間分数 25/97 を考えると、分数
8/31 よ
り分数 25/97 の方が、より分数 17/66 に近い。
以上から、
分母が100以下のすべての既約分数を大きさの順に並べたとき、
分数 17/66 の両隣りの分数は、9/35 と 25/97 である
ことが示された。
上記の問題について、当HPがいつもお世話になっているHN「攻略法」さんからレポートを
頂いた。(平成22年12月7日付け)
y/x、17/66 (ただし、 y/x<17/66) が隣り合う分数から、 17x−66y=1 となる。
不定方程式 17x−66y=1 を解くと、一般解は、
x=35+66t 、 y=9+17t (t は整数)
17/66の片方の親は、F66では、 0<x<66 だから、 t=0 の 9/35 となる。
もう1つは、ファレイ数列の中間分数の生成方法から、
分子=9+c=17 、 分母=35+d=66 より、 8/31 である。
よって、 9/35、17/66、8/31 である。
また、F100
とすると、17/66、25/97、8/31 と中間分数ができる。
(コメント) 3年半ぶりにこのページを見て、まだまだ書き足りないところがあるような...予
感!攻略法さんに感謝します。
攻略法さんからの補足です。(平成22年12月8日付け)
不定方程式 17x−66y=1 ( y/x<17/66 で隣り合う分数)の一般解
x=35+66t 、 y=9+17t (t は整数)
は、t=0、1、2、3、・・・ とすると、 9/35、・・・、17/66 の中間分数を生成する。
| t | 0 | 1 | 2 | 3 | ・・・ | ∞ |
| y | 9 | 9+17 | 9+17×2 | 9+17×3 | ・・・ | 17 |
| x | 35 | 35+66 | 35+66×2 | 35+66×3 | ・・・ | 66 |
同様に、17/66<y/x は隣り合う分数から、 −17x+66y=1 となる。一般解は、
x=31+66t 、 y=8+17t (t は整数)
で、t=0、1、2、3、・・・ とすると、 17/66、・・・、8/31 の中間分数を生成する。
| t | 0 | 1 | 2 | 3 | ・・・ | ∞ |
| y | 8 | 8+17 | 8+17×2 | 8+17×3 | ・・・ | 17 |
| x | 31 | 31+66 | 31+66×2 | 31+66×3 | ・・・ | 66 |
当HP読者のK.S.さんから、ファレイ数列に関する話題をメールで頂いた。
(平成23年10月7日付け)
ファレイ数列において、
数列 F1 : 0/1,1/1 より、分子の和=1、分母の和=2 である。
数列 F2 : 0/1,1/2,1/1 より、分子の和=2、分母の和=4 である。
数列 F3 : 0/1,1/3,1/2,2/3,1/1 より、分子の和=5、分母の和=10 である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このことから、次の命題が成り立つことが予想される。
命 題 ファレイ数列において、(分子の和)/(分母の和)=1/2 が成り立つ。
自然数 n に関する数学的帰納法で証明できる。
(証明) n=1 のとき、明らかに成り立つ。
n=k(k≧1)のとき、命題が成り立つと仮定する。すなわち、
数列 Fk において、(分子の和)/(分母の和)=1/2
n=k+1 とする。分母が、kまでのファレイ数列の分母の和=A、分子の和=Bとすると、
帰納法の仮定より、B/A=1/2 なので、 A=2B
一方、k+1を分母に持つ既約分数は、オイラーの関数から、Φ(k+1)個あり、分母の和
は、(k+1)Φ(k+1)となる。
一般に、n/m が既約であれば、(m−n)/m も既約であるので、分母が k+1 のときの
既約な分数の分子の和は、等差数列の和の求め方と同様の方法(ガウスの方法)を用いて、
Φ(k+1)(1+k)/2 ( ← 項数×(初項+末項)/2 )
となる。このとき、分母=k+1 のときのファレイ数列の分母の和=C、分子の和=D とす
ると、D/C=1/2 より、C=2D となる。
よって、n=k+1 のときのファレイ数列について、
分母の和/分子の和=(B+D)/(A+C)=(B+D)/(2B+2D)=1/2
以上により、すべての自然数 n について、命題が成り立つ。 (証終)
(コメント) ファレイ数列の美しい性質ですね!K.S.さんに感謝します。