当選確実の数理                   戻る

 34名の塾生達に、次のような問題を問うた。

  生徒数30人のクラスで委員2名を決める投票(一人1票で棄権はなし)を行った。

 開票作業の途中で、11票を獲得したA君は、「やった〜!これで委員になれる!」

 と一人喜んだ。このA君の判断は正しいと思うか。理由をつけて答えよ。


 模範解答として、次のようなものを想定した。

 A君の得票を X 票として、残り 30−X 票をA君以外の2人が分け合うとき、第2位にな

る人の最大得票数は、(30−X)/2 以下となる。A君が当選確実となるためには、この値

を超えなければならない。

 よって、X>(30−X)/2 を解いて、 X>10 。

 X=11なので、A君が当選確実と判断するのは正しい。

 塾生たちのうち、論理のしっかりした正解者は13名
           まだ過半数の15票を超えていないから正しくないとした者が6名
           他の15名は論理が不明確ながらも、A君の判断を支持した。

 問題を提案した立場からすると、「まだ過半数を超えていないから」とする答えが多いの
ではないかと予想したが、塾生たちは、しっかりした論理で、物事の本質を喝破していた。
頭の下がる思いである。

 因みに、正解とした塾生たちの論理は次のようであった。

    残り19票では、A君の得票数以上の人は2人以上現れない。
    もし現れたら、11×2=22 で19票を超えてしまう。
    よって、A君は当選確実であるとしてよい。


(追記) 平成20年8月25日付け

 上記のような論理を問う問題が、2006年度入試 東洋大学 で出題された。

 100人の集まりがあり、この中から5名の代表者を選ぶ。100人が1名ずつ名前を
書いて投票するとき、当選が確実となる最低票数は何票か?


(解) 当選が確実となる最低票数を X とする。残り 100−X 票を、5人が分け合うとき、

   第5位になる人の最大得票数は、(100−X)/5 以下となる。

    このとき、題意より、 X>(100−X)/5 でなければならない。

   これを解いて、 X>16.6・・・ 。

    よって、当選確実な最低票数は、 17票である。 (終)

(別解) 特定の6人に票が均等に分かれたときを考える。

     票数は、 17 、17 、17 、17 、16 、16

    よって、15票以下では、必ず当選できるとは言い切れない。16票も同様である。

    17票とれば、他の票がどう動いても17票以上の人は最大で4人で、確実に当選

    できる。 実際に、残り 100−17=83票では、17×5=85 となり、17票以上

    の人は5人以上現れない。

     よって、当選確実な最低票数は、 17票である。 (終)

(コメント) 定員+1 で考えるところがポイントですね!

(追記) 平成22年1月9日付け

 9日付朝刊に、貴乃花親方の話題が掲載されていた。これまでの慣例で行われてきた理

事選に、二所ノ関一門を離脱して立候補するのだという。二所ノ関一門の理事定員は3名

で、貴乃花親方が立候補すると候補者が4人となるためらしい。親方や力士、行司代表を

含め有権者は109人。その投票で理事10名を選ぶとき、当選確実な票は10票前後とい

う。

 このような数学的な話題を朝刊で発見して、実際に計算してみたくなった。

(解) 当選が確実となる最低票数を X とする。残り 109−X 票を、10人が分け合うとき、

   第10位になる人の最大得票数は、(109−X)/10 以下となる。

    このとき、題意より、 X>(109−X)/10 でなければならない。

   これより、 11X>109 なので、 X>9.9

    よって、当選確実な最低票数は、 10票である。 (終)

(コメント) 計算すると、当選確実な票数は「10票」と出るのに、新聞では、「10票前後」と
      あいまいに表現しているところが面白いですね!