正5角形の作図と折り紙 
1796年3月30日の朝、19歳のガウス青年は、目覚めた瞬間に、正17角形の作図
(定木とコンパスのみを用いる)を思いついたという。
正3角形、正4角形、正5角形、正15角形やその辺の数を次々に2倍してできる正6角
形、正8角形、正10角形.....などの作図は、古くユークリッドの時代には分かってい
た。ユークリッド以来、一般に初等幾何では、作図できる正多角形は、それ以上ないだろ
うと長く信じられていた。
その中でのこの発見は、非常に驚くべきものがある。詳しい内容について、ここで触れ
るには、あまりに話が高度すぎるので、本の紹介に留めたい。
(でも、ちょっと興味がある人は、こちらを参照)
正17角形の作図の可能性の証明については...
高木貞治 著 近世数学史談(共立全書)
実際の正17角形の作図については...
高木貞治 著 初等整数論講義 第2版(共立出版) P.111〜P.112
2001年は、ガウスの「整数論」が刊行されて丁度200年という節目の年である。ガウ
スの特集が数学セミナー 2002−1月号(日本評論社)で組まれている。
このページでは、ガウスには遠く及ばないが、正5角形の作図について、まとめてみた
いと思う。
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正5角形作図のポイントは、 △ACD∽△DFCに気が付くことである。 正5角形の一辺の長さを2とすると、 AF=FD=CD=2 である。 そこで、FCをXとすると、比例式 2+X : 2 = 2 : X が成り立つ。 これを解くと、X= 従って、AC= かる。 以上の考察から、正5角形の作図は、 |
因みに、正17角形の作図のためには、
をはじめとしたいろいろな数の平方根の
作図に帰着されることが知られている。
正5角形の作図法は下記の通りである。
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左図のように、CDの中点Hから垂直二等分線を引 き、GH=2 となるように、Gをとる。 このとき、 CG= CGのG方向の延長線上にGK=1となるようにKを とると、 CK= である。この長さを、コンパスを用いてAに移す。 この正5角形の頂点Aが決まれば、A、Cを用いて Bが決まり、A、Dを用いてEが決まる。 以上で、正5角形の作図は完成である。 |
今から10年程前(平成3年頃)に、私自身折り紙に強い興味を持った時期があった。
定木とコンパスだけでは、角の3等分は不可能であるが、折り紙を用いるとそれは可
能であることを知った。折り紙の持つ神秘さ、自由性に心ひかれた思い出がある。
上記のように、正5角形は、紙面に定木とコンパスを用いて書くことができるが、実は、
折り紙で正5角形を作るという試みも非常に興味深い。
この試みについては、堀井洋子 著 「折り紙と数学」 (明治図書) P.43〜P.44
に詳しく述べられている。
上記の計算より、正5角形の一辺の長さを2とすると、対角線の長さは、1+
である。
従って、逆に対角線の長さを 2 とすると、一辺の長さは、−1+
となる。折り紙で正5
角形を折る場合、この長さをいかに実現するかがポイントとなる。
@ 折り紙の一辺UV(UV=2)の中点MとTを結ぶ線で折り、折り目をつける。MUが
TMに重なるように折り、さらに、TKがTMに重なるように折る。このとき、TH=TP
となるようにTU上にPを打つ。
A PUの中点Dをとり、TC=DUとなるようにTU上にCを打つ。
B Cを固定して、DがST上にくるように折り曲げ、ST上にBを打つ。
C 同様にして、UV上にEを打ち、さらに、DがEに重なるように折り曲げる。Cと重なる
点Aを打ち、AB,AEで折り曲げる。
以上で、折り紙による正5角形の完成である。

(追記) 正5角形の作図について、上記では、1辺を与えて作図した。しかし、状況によっ
ては、正5角形の対角線の長さとか正5角形が内接する円の半径をもとに、正5角
形を作図しなければならないときもある。ここでは、そのような場合について、作図
の実際を見てみたいと思う。
(1) 対角線の長さが分かっている場合
正5角形の1辺の長さを、2 とすると、対角線の長さは、
+1 である。したがって、
逆に、対角線の長さを 2 とすると、一辺の長さは、
−1 となる。
したがって、与えられた対角線の長さが 2X のとき、1辺の長さ (
−1)X を作
図すればよい。
1)与えられた対角線をABとする。
Bにおいて、ABの長さの半分の垂
線 BCをかく。
2)AC上にCD=CBとなる点Dをとる。
3)ADの長さで、2点A、Bより、点E
を決める。
4)AB、AEの長さを用いて、残りの
頂点 F、G を決める。
左図において、点Pは線分ABを黄金
分割する点である。
よって、線分の黄金分割点が作図で
きれば、その線分を対角線に持つ正5
角形を作図することができる。
(2) 内接する円の半径が分かっている場合
正5角形が内接する円の半径を 2 として考える。(一般の場合は、定数倍すればよい。)
まず、このときの正5角形の1辺の長さを求めてみる。正5角形を中心で5分割し、次の
三角形で考える。
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θ=36°とすると、5θ=180° よって、sin2θ=sin(180°−3θ) =sin3θ =3sinθ−4sin3θ 2sinθcosθ=3sinθ−4sin3θ の両辺をsinθで割って、 2cosθ=3−4sin2θ =3−4(1−cos2θ) よって、4cos2θ−2cosθ−1=0 より、 |
これより、
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したがって、正5角形の1辺の長さは、![]()
よって、長さ 2 から、長さ
が作図できればよいことになる。
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左図において、Mは半径OAの中点 なので、OM=1 よって、BM= Aを端点とする直径上に、MC=MB となる点Cをとる。 このとき、OC= BC= となる。 よって、Bを中心とし、半径BCの円を 描き、円Oとの交点をDとすれば、線分 BDが求める正5角形の1辺となる。 |
(注) この作図方法はまた、円周を5等分する方法も与えている。
(参考文献:野口健助 著 平面画法入門(日刊工業新聞社))
(追々記) 上記では、直接的に正5角形の一辺を作図したが、正10角形の作図から正5
角形の一辺を作図する方法があることを最近知ることができた。
半径2の円に内接する正10角形の一辺の長さを L とおくと、余弦定理から、
L2=22+22−2・2・2・cos36°=8−8・cos36°
ここで、
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なので、 L2=6−2
より、 L=
−1 となる。
このことから、次のような作図方法が考えられる。
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OCの中点Mを中心とする半径1の円を 描く。 この円と線分AMとの交点をPとする。 このとき、 AP= そこで、点Aを中心とし、APを半径とする 円弧を描き、円Oとの交点を、Q1、Q2 とす る。 あとは、線分AQ1 の長さで、円Oの周上 を均等に分割し、点Q3、Q4、Q5、Q6、Q7、 Q8 を目盛ればよい。 そして、一つ飛びに点を結んでいくと、正 5角形を作図することができる。 |
(追々々記) 平成18年5月4日付け
上記で、折り紙による正5角形の作図法を取り上げたが、少し込み入っているかな?と
いう印象が私自身にはあった。もう少し初等的な折り方が望ましいと思っていたところ、次
のような折り方があることを最近知った。
| (1) | (2) | ||
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→ | ![]() |
→ |
| (3) | (4) | ||
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→ | ![]() |
→ |
| (5) | (6) | ||
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→ | ![]() |
→ |
| (7) | |||
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(コメント) 原理的には、前のものと同じかな?!
(参考文献:玉木英彦 著 小学生にピタゴラス (みすず書房))
(追記) 平成20年5月30日付けで、当HPの掲示板「出会いの泉」に、「k036」さんから
書き込みがあった。
「私の備忘録」の正5角形の作図を見ました。私もこの作図の正当性を証
明しようと2年前に挑戦しました。そして、下記を見つけました。

左図のように、
FA=a 、 FC=b 、 FE=c
とおくと、
a2+b2=c2
が成り立つ。
(コメント) これは正にピタゴラスの定理に出
てくるような関係式ですね!
「k036」さんによれば、これは「ユークリッド原論」(→参考:山口大学教育学部卒業研究)
の第13巻にある命題9と命題10:
命題 9 同じ円に内接する、正6角形の辺と正10角形の辺が書かれたとき、直線全
体は外中比に分けられ、そして、そのより大きい部分は正6角形の辺となる。
(参考: 証明 → 山口大学 渡邉 正 研究室のHP)
命題10 正5角形が円に内接するとき、正5角形の辺の上の正方形は、同じ円に内
接する正6角形の辺と正10角形の辺の上の正方形の和と等しい。
(参考: 証明 → 山口大学 渡邉 正 研究室のHP)
を簡単に説明・証明することになるそうである。
すなわち、例えば、原論 第13巻 命題10 の内容は、
同一の円に内接する正10角形、正6角形、正5角形の辺長について、
(正5角形の辺長)2=(正6角形の辺長)2+(正10角形の辺長)2
とうことを意味する。
正5角形、正6角形、正10角形の配置図は次のように描くと分かりやすい。
(「k036」さんによるものを、なぞらせていただきました!)

「 a : b 」が黄金比であることは、よく知られているが、さらに、 a 、
b 、 c について、ピタ
ゴラスの定理に出てくるような関係式が成り立つことは初見でした。
大いに興味があったので、「k036」さんによる証明を参考にまとめさせていただいた。こ
のような機会を与えていただいた「k036」さんに感謝いたします。
冒頭で計算したように、正5角形の1辺の長さを 2 とすると、 a=2 、 b=
−1 で
ある。また、
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なので、
c=![]()
となる。 このとき、明らかに、 a2+b2=c2 が成り立つ。
上記では三角比の値を求めて証明したが、あまり初等的とは言えない。「k036」さんに
よる次のような証明が十分初等的で分かりやすい。
(k036さんによる証明・・・一部修正させていただきました!)
左図において、△ACD∽△DCF なので、
a+b : a = a : b
よって、 ab=a2−b2 が成り立つ。
また、 直角三角形AFGにおいて、
AF= a 、FG=c/2 、 AG=(a+b)/2
なので、ピタゴラスの定理より、
a2=(c/2 )2+{(a+b)/2}2
すなわち、
c2=3a2−2ab−b2
よって、上式に、ab=a2−b2 を代入して
c2=3a2−2ab−b2=a2+b2
(コメント) 意外なところに、意外な関係式で大変面白いと思います。