[目次] 2002/12連合調査:不払い残業の実態 2002/09労基法違反で続々とニュース 2002/09労基法違反で東京・羽村市の特養ホーム「神明園」捜索 2002/07 若い看護師の過労死で国に賠償を求め提訴 2002/06 過労運転をさせた使用者への罰則強化(道路交通法) 2002/05 国会審議で問題になったサービス残業(違法残業) 2002/04 サービス残業:85%の職場が労基法に抵触 厚労省調査
連合調査:不払い残業の実態
連合が、組合員対象に隔年実施の個人アンケート調査である。(実施時期:2002年6月配布、9月回収)、調査対象:連合組合員 約2万3千人(配布43,860枚) 【調査結果のポイント】
○職場の不安第1位は「収入が大幅に低下する不安」、第2位は「昨年と比べ仕事がきつくなった」
○正社員減少、時間外労働増加の職場ほど「仕事がきつくなった」
○30代前半男性の30人に1人が年間労働時間3000時間以上(過労死認定基準)の可能性
○2人に1人が不払い残業、平均不払い残業時間は月29.6時間
○月90時間以上残業している人の56.7%が「健康不安を感じる」
○共働き子供あり世帯の女性の8割が、仕事と家庭の両立に負担を感じる
○仕事と家庭の両立に「かなり負担を感じる」女性の3割が「短時間正社員制度」を「すぐにでも利用したい」
★連合が行った調査資料(リンク)
労基法違反で続々とニュース
★労働基準オンブズマン掲示板にサービス残業関連ニュース
労基法違反で東京・羽村市の特養ホーム「神明園」捜索
東京労働局は13日、労働基準法違反(割り増し賃金不払い)の疑いで、東京都羽村市の特別養護老人ホーム「神明園」(中村行子園長)の捜索を始めた。
同労働局によると、同園では、介護職員が残業などをした際に支払う時間外手当(割り増し賃金)を支払わない状態が続いていた疑いがあるという。(2002/09/13 読売新聞)
若い看護師の過労死で国に賠償を求め提訴
「娘は過労死」と看護婦の両親が国の賠償求め提訴
○2001年3月、国立循環器病センター(大阪府吹田市)の看護師、村上優子さん(当時25歳)がくも膜下出血で死亡した。両親が、「過重な看護業務が原因の過労死だった」として国を相手に、約1億4000万円の損害賠償を求める訴えを2002年7月31日、大阪地裁に提起した。国家公務員の過労死を巡る損害賠償訴訟は初めて(2002/07/31 読売新聞より)。
○優子さんの残業時間はセンターの公式の記録では月約16時間とされていますが、同僚の証言や電子メールの送信記録から、直前2か月間は少なくとも月約80時間にのぼっています。看護研究等を含めると100時間にもなる実態があったと考えられます。厚生労働省は、労働基準法や労働安全衛生法を使用者に守らせるべく責任を負う官庁です。自らが使用者として違法なサービス残業を放置して、大切な職員を過労死させることは許されません。
○国の責任は重大です。坂口厚労相は、2002年5月14日の大臣記者会見で、残業を減らして「早帰り」をすすめ、自らも「夜行性にならないように心掛けて」いると表明しています(2002/05/13 読売新聞夕刊)。国立循環器病センターは、厚生労働省が直接に責任をもつ最先端の医療機関です。多くの看護師が3年も勤務を継続できないという厳しい労働実態がありました。「早帰り」などとはほど遠い職場です。大臣はどこまで認識しているのでしょうか?
7月30日には、村上さんの訴訟を支援する会が発足しました。この問題への関心を多くの方に持っていただきたいと思います。(S.Wakita)
過労運転をさせた使用者への罰則強化(道路交通法)
改正道路交通法の施行により、2002年6月1日から、過労運転等への罰則が強化されました。
改正法第66条は、以下の通り、過労運転等を禁止しています。第66条 何人も、前条第1項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。
この禁止に違反した行為への罰則(第117条の2第1号の1、第117条の4第3号)が強化され、従来の「6月以下の懲役又は10万円以下の罰金」から、「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」へと2〜3倍もの重罰となったのです。重要なことは、会社の自動車の場合、使用者にも過労運転をさせてはならい義務が課せられることです。
道路交通法第75条は、自動車の使用者は、その者の業務に関し、自動車の運転者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることを命じ、又は自動車の運転者がこれらの行為をすることを容認してはならない、とし、その第1項第4号で、「第66条の規定に違反して自動車を運転すること」と定めており、罰則も予定されています。とくに第66条の2は、「過労運転に係る車両の使用者に対する指示」として、車両の運転者が65条の規定に違反して過労により正常な運転ができないおそれがある状態で車両を運転する行為(過労運転)を使用者の業務に関してした場合、使用者が過労運転を防止するため必要な運行の管理を行つていると認められないときは、公安委員会は、使用者に対し、過労運転が行われることのないよう運転者に指導し又は助言することその他過労運転を防止するため必要な措置をとることを指示することができる、と定めているのです。
○過労運転の問題は、1985年1月、三重交通のスキーバスが転落し、日本福祉大学の学生ら25人が死亡した事故で注目されました。事故原因が運転手の判断ミスとされましたが、会社にも2週間連続過密勤務を運転手に命じるなど運行管理責任があるとされ、会社、運行主任が、道交法75条(過労運転の命令、容認)違反容疑で書類送検されという事例です。(1985/08/26 朝日新聞)。
○その後、東京都調布市の玉突き事故(死亡2名)で、追突事故を起こしたトラック運転手に長時間の過労運転をさせていたとして、運輸会社の営業所長と、派遣会社運行管理課長が道路交通法違反(過労運転の下命・容認)の疑いで逮捕されています。同法の両罰規定に基づき、法人としての両社についても書類送検されました(2000/09/07 朝日新聞)。
この運転手は事故直前の2日間に愛知県から埼玉県まで夜間運転を続け、未明に愛知県の自宅に帰宅しました。直前の4日間の睡眠時間は自宅での約5時間と、車内での仮眠数時間だけでした。しかし、会社は、それを知りながら同日早朝から東京までの長距離運転を指示していました。
○2001年8月、リストラ・合理化を過度に進めたため事故が多発した西鉄バスについて、厚生労働省福岡労働局は、同バスの「大半の事業所で運転手の勤務状態にゆとりがなく、一部には明らかな労働基準法違反があり、労務管理に問題があったとして、近く西鉄本社に、運転手の勤務体系の見直しなどを指導する方針を決めた。」(2001/08/30 西日本新聞)
○最近では、社員を1ヵ月にわたり1日平均23時間勤務させ、居眠り運転事故を招いた宮城県の運輸会社とその運行管理役員が、道路交通法違反(居眠り運転容認)の疑いで秋田区検に書類送致されています(2002/07/03 河北新報)。○道路交通法によれば、運転専門業務だけでなく、一般業務でも自動車運転をする業務であれば、従業員の過労運転を防止する義務が使用者にはあります。
労働基準オンブズマンは、これまで主に労働基準法違反で使用者の告訴・告発の取り組みをしてきました。しかし、過労運転を容認する点で、道路交通法違反をめぐって会社=使用者の刑事責任を追及することも可能だと考えられます。(S.Wakita)○追記:8月10日、三重県で発生した大規模追突でも「過労運転」が問題になっています。
運転手が事故当時「非常に疲れていた」と述べており、会社に道路交通法違反(過労運転等の禁止)がなかったかについても警察が調べを進めています。
これまでの調べ等によると、「直近の勤務状況は、7日午後6時ごろ日立市を出発し、翌8日午前9時ごろに大阪市に到着。1〜2時間かけて積み荷を下ろした後、仮眠など休憩を取って翌9日午前9時に日立市へ帰着。同日午後9時に再び日立市を出発、大阪市に向かう途中で、居眠り運転し事故を起こした」ということです。鈴鹿5人死亡事故から1週間 「渋滞で休憩取らず」茨城新聞2002.8.17
国会審議で問題になったサービス残業(違法残業)
国会154回-参-厚生労働委員会-11号 2002/05/23
○井上美代君 今日は、もう一つ私はどうしても質問をしたいというふうに思っているものがあります。それはサービス残業についての質問なんです。
特に、今、労働者の間でのサービス残業というのは増えておりまして、大きなやはり社会問題になってきております。働く女性、それから働く夫を持つ主婦からのサービス残業についての深刻な訴えがたくさん出ております。
私は女性団体の会長もしておりますものですから、そういうところでの調査なども、そしてまた今全国的にいろいろこの訴えがありまして、労働基準監督署を女性が訪れているというのが増えているんです。私のところのその会の報告でも、指導に入り、会社がサービス残業を認め改善されたというのが二件今出ておりますけれども、指導に入り継続中だとか、指導に入る約束をいただいたとか、資料不足で後日タイムカードと勤務表を送ることになっているとか、そういういろいろな人たちが全国的に出てきております。
サービス残業の実態調査、監督署の申告を行って対応した監督官は全体としてよくやってくれていると、これが報告として上がってきております。企業数に比べて監督官が足りないので迅速、十分な指導ができないのではないかというような心配も女性たちの間からも出ております。
問題点として次の3点があるわけなんですけれども、一つは、深刻なサービス残業の実態があっても、会社に知れるのを恐れて申告をためらい、申告しないということなんですね。
例を挙げれば、Aさんですけれども、一か月約170時間以上も残業しているんです。残業代というのは30時間分しか付きません。毎日くたくたになって帰ってきて、そして家で食事はできない、夫婦でゆっくり会話もできない。そしてまた、監督署に申告したけれども、監督署は指導に入ったけれども、会社は就労状況の報告書になるものはないと言ったんです。その監督署はAさんの名前を隠して就労状況の報告書を会社に示しました。そうしましたらサービス残業を認めました。そして、その後Aさんは早く帰れるようになったんです。しかしながら、これまでのサービス残業代は会社に名前が分かってしまうため請求をしていないという、そういう状態にあります。
二つ目の問題は、会社自体がタイムカードを廃止して自主申告になっている、そしてまた正確に残業時間を書く雰囲気ではないためにサービス残業時間を事実に基づいて書けないという。これも例がありますけれども、何しろ毎月毎月少しのサービス残業代しかもらっていないんですね。何しろ3倍やっている、もらっているのの3倍やっているという報告来ておりますけれども、そういう状況にあります。そのように3分の1しか付いていないという中にあります。
三つ目の問題なんですけれども、サービス残業というのは労働基準法に違反しているんですね。だから法違反なんです。犯罪行為です。会社や労働者に徹底する必要があるわけなんです。
私、これを質問するというので、福岡からファクスも届いておりまして、東京に住んでいる長男のこともとても心配してやってきているんですけれども、この犯罪行為であるサービス残業が息子のところでもやられているというので、もう追い掛けるようにして、この質問に間に合わせて手紙も来ているんですけれども、詳しく読むいとまはありませんけれども、私は三つのことを質問したいというふうに思います。
一つは、新日本婦人の会の取組でも明らかになってきた問題の一つなんですけれども、サービス残業は犯罪であるということ、この徹底が、会社に対しても労働者に対してももっともっと徹底すること、サービス残業を行った企業をもっと厳しく罰するということが大事なのではないかなと。そうじゃないと、もうサービス残業が今のように野放しになっている、通達は出たけれどもなかなか減らないという今日があるわけなんですけれども、やはりそこのところ、犯罪行為であるということをもっと知ってもらう、それは企業にも労働者にもということが大事だと思いますが、その点いかがでしょうか。参考人に質問いたします。
○政府参考人(日比徹君) 御指摘のように、いわゆるサービス残業、残業をやったけれども賃金を払わないと、これは労働基準法違反でございまして、労働基準法には当然罰則が付いておりまして、これは刑事罰に至るというたぐいでございます。
ただいまの、この罰則の点についてもっと周知徹底をという御指摘だと思いますが、その点は私どもも心掛けてまいりたいと思いますが、今、委員から御指摘の中でもございましたように、現実に未払分をどうやって払わせるか、払っていただくか、未払賃金の問題が、まず賃金の未払状態の解消、未払賃金を確保するという点にやはり一つ大きな重点を置くことが肝要だろうと思いますし、今も御指摘ございましたように、やり方といいますか、調べ方によりますとなかなか回収し難いといいますか、そういうようないろんな現実の問題に逢着しておることも事実でございます。
そういう点もございますが、基準法違反というのが御指摘のように罰則付きの条文違反だということ、これについては今申し上げましたように是正状況等を知ったときには必ず言っておりますけれども、さらに、事前の周知の方法というのがあるのか、あるいは、それが先ほど申し上げましたようないろんな関係の中でどの程度やっておくことが結果としていいことなのか、その点については十分真剣に検討したいと思います。
○井上美代君 罰則があるというのを言っていいのかという話なんですけれども、私はこのことをはっきり言わない限りはサービス残業というのはなくならないというふうに思います。それでかなりの利益が上がるんですから。上がるんですから、そう簡単ではないと思います。
ところで、私はこの機会に是非お聞きしたいと思いますが、労基法の37条違反のサービス残業で罰した企業の数というのはどのぐらいになっているのか、この5年間ぐらいを教えてほしいと思います。
○政府参考人(日比徹君) 労働基準法37条に係る送検件数でございますが、平成9年9件、それから平成10年6件、それから平成11年9件とそこら辺は10件弱でございましたが、平成12年に18件、平成13年13件とここ2年間は2けたの数字になっております。
○井上美代君 増えてはきておりますので相当やっぱり監督署が頑張っておられるということも分かるわけなんですけれども、私どもが見えるサービス残業の犯罪行為というのは物すごい数に見えておりますからね。だから、そこを行き届いていくようにやはりしていかなければいけない。まだ課題が相当あるというふうに思いますので、その課題も併せて追求してほしいと思います。
私は三問目に、厚生労働省は都道府県に通達を出されました。この通達が13年の4月6日に出ておりますけれども、そしてこの黄色のリーフを作られました。これも非常に私、分かりやすくて読みやすくて、これが監督署の窓口に置いてあったり都道府県にも行っているというふうに思いますけれども、そういうふうにして配られておりまして、今、女性団体のところでもこれがすごく読みやすくて歓迎をされております。
私は、こういうふうに作られたんですけれども、このリーフを見ますと、このリーフの中には罰せられるということがどこにもないんですね。ないんです。じゃ、この通達はどうなのかというふうに見ますと、通達は第3のところに「基準の遵守のための指導等」というのがありまして、「使用者が基準を遵守しておらず、労働基準法第37条違反が認められかつ重大悪質な事案については、司法処分を含め厳正に対処する」というふうになっております。
私はやはり、この通達に書いてあるように、これを守らせるというふうにするにはどうするかという知恵をやっぱり出さなければいけないんだと思います。だから、具体的に改善策を研究していくということが必要だと思いますけれども、最後に大臣にそこをどのように具体的に改善策を作っていくかということで御答弁をいただいて、終わりにしていきたいと思います。
○政府参考人(日比徹君) ただいまの点でございます。確かに御指摘のように、具体的な改善の仕方、どうしていくか、これがあろうかと思います。
昨年、もう旧聞になりますけれども、昨年前半にいろんな調査的監督といいますか、事前にPR兼ねてこの労働時間の問題をやらせていただきました。元々の私どもの考えでも、労働時間の把握の仕方について若干の適切な例、そうでないもの等をやっておったんですが、その点の分析等を含めまして、サービス残業、つまり働いているけれども払っていないという状態、その前提は労働時間の把握の問題でございますので、その点について具体的などういう手法を取って、企業レベルでどういう手法を取っていけばいいのかにつきましては従来の調査的監督等の結果も踏まえながら具体的なものを逐次考えてまいりたいと思います。
○委員長(阿部正俊君) 以上でいいですか。
○井上美代君 一言だけ。
やはり、今、労働問題を述べたんですけれども、私、先ほどから人口推計の、20年間、これから厚生労働として9月までに計画を作るということを持っておられますので、やはり子供が産めないというのは、これを知れば知るほどもう本当にそのとおりなんです。だから、是非、新しい少子化対策の取組の計画を厚生大臣は言っておられますけれども、その中に労働問題も入れていただきたいということをお願いして、質問を終わります。
(感想) 政府・厚生労働省の答弁にある、年に10数件の送検数というのは驚きです。政府の対応が、いかに熱意がないかを示しています。過労死を急増させている異常な日本の職場、労働基準オンブズマンに寄せられる相談数から、サービス残業が蔓延していることは否定できない事実です。労働者が弱い立場にあり、企業別労働組合が明確な指摘ができないために実際の問題提起数が少ないだけです。(S.Wakita)
サービス残業:85%の職場が労基法に抵触 厚労省調査
毎日新聞によれば、厚生労働省の昨年の調査で労働基準法違反の具体的な状況がすべては公表されていないことが明らかにされました。
時間外賃金が支払われない「サービス残業」に関する厚生労働省の実態調査で、84・8%の職場が労働基準法に抵触したとして、同省の指導や勧告を受けていたことが5日分かった。サービス残業の廃止は、ワークシェアリング推進の前提とされているが、深刻な実情が浮かんだ。
厚労省は昨年10、11の両月、全国2589事業所を無作為に選び特別調査を実施した。毎日新聞が入手した資料によると、このうち1875事業所(全体の72・4%)に是正勧告書、321事業所(同12・4%)に指導票を出した。法律違反の内訳として「労働時間」(45・3%)▽「賃金台帳の有無」(23・4%)――など7項目を挙げた。
一方、厚労省は国会議員や報道用にまとめた資料では、全体像を示す勧告、指導の数値は伏せ、法律違反の内訳のうち「労働時間」など3項目だけを公表した。
これについて厚労省労働基準局監督課は「(データを)隠したわけではない。(一部を)示さないというのもひとつの選択肢だと思う」とコメントしている。[毎日新聞4月6日]
○厚生労働省は、労働基準監督の結果をなかなか公表しません。今回の毎日新聞の報道でも、折角の調査の一部しか明らかにされていないということです。規制緩和などの政策を提言する以上、事実・実態に基づいた計画を示すべきです。その点からも政策にとって不都合な実態についても明らかにするのが当然です。(S.Wakita)
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last update: January 2, 2003