the owarai 西条昇のお笑い評論・コラムX

爆笑問題(漫才)

もしも、今、第三次世界大戦が起こり、渋谷にいる若者たちが戦場に駆り出されたらどうなるか?学徒出陣で行進中に携帯電話で友達と喋り続け、戦場では戦友の死より”たまこっち”が死ぬことを気にかけ、神風特攻隊…の飛行機にムリヤリ乗せられたいじめられっ子は”逆ギレ”をして味方に爆撃を加える...。

漫才コンビ「爆笑問題」が一年ぷりの単独ライブで、観客を大いに沸かせた最斯ネタの一部分である。政冶、事件、芸能、流行などさまざまな題材を青白い顔でヒョロリと背の高い太田光(三一)が毒のある発想で次から次へ斬りまくり、小柄で人の良さそうな田中裕二(三二)がまともな発想しかできないタイプの人間を代麦してツッコミを入れていくことで、観客の笑いを増幅させる。

彼らの漫才ネタを収録した単行本『爆笑問題の日本原論』(宝島社)は売り上げ十万部を突破しており、十代の女性から大人の男性までファン層も確実に広がっている。まさに”ブレイク寸前”といったところか。

コンビ結成は昭和六十三年。日大芸術学部演劇学科で出会った二人は、当初、演劇的なコントを得意としてしていたが、やがて量産のきく時事ネタ漫才にスタイルを変えていく。お笑い界の着手リーダー的存在と見られることが多い二人だが、いつまでも”若手”でいてもらっては困る。爆笑問題には、全盛期のビートたけしに匹敵する”笑いのカリスマ”になってもらわないと、お笑い界全体が活性化していかないからだ。

若手が総出演中の『ボキャブラ天国』では普段の漫才とはスタイルの違う語呂合わせの面白さを狙ったショート・コントで独特のセンスの良さを発揮し、一位の常連となっているが、”キャブラー”と呼ばれる着手のほとんどがメジャーに近づきつつあることを、素直に喜んでいるように見えるなかで、爆笑間題だけがどこか居心地の悪そうな顔をしている時がある。特に太田の不充足のかたまりのような表情には、MANZAーブームで人気が出る以前の、まだ不遇だったころのたけしと同じ匂いを感じる。たけしがそれまでの東京の濱芸界の番付を根底からひっくり返して、横綱の座に収まったやり方と同じことを太田がやるべきだ。勝負は、ここ一、二年『ボキャ天』での二人のキャッチフレーズ”不発の核弾頭”から”不発の”の三文字が取れる日も近い。

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