天蚕糸(テグス):江戸中期に中国より輸入され京都で使われ始めるが高価な為、釣り糸の先の部分や針の根巻き糸として使われた。
江戸後期まで長いこと天蚕糸は何で出来ているか解らなかった様だ。
何羨録(1723年)にはテグスとは本朝食鑑の「瓜つるを曝して乾かしたもの」、大和本草の「虫で作り、外国から来たもの」、和漢三才図絵の「広東の水中でできるもの」などと記載されている。
天蚕糸が何から出来るのか解るのは文化年間(1804年〜1818年)頃の事である
江戸末期に日本でも作られる様になるが強度が弱く主に中国産が使われていた。
○ 中国産 :楓(ふう)の木(マンサク科)に生息している楓蚕(フウサンはヤママユガの幼虫)の終齢幼虫の体内
より取り出した糸を酢で引き延ばし陰干ししたもの(楓蚕は中国・台湾・ベトナム・インドなどに生息)
参考: 楓(ふう)の木は日本の楓(かえで)とは違う
○ 日本産 :日本には楓(ふう)の木、楓蚕(ふうさん)ともになかった為、これに似た楠(くすのき)に生息する
楠虫(クスムシ)の終齢幼虫の体内より取り出した糸で作られたが中国の物に比べ強度は弱かった。
楠虫は楠の他、栗・椚・胡桃・漆などの木にも生息するが楠が一番で他の木の楠虫の糸は劣っていた
釣り糸として使える様に作られるのは明治以降である |