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整形、形成の看護
疾患別に見た援助の基本


□脊髄損傷の看護

 

■脊髄完全損傷

 脊髄組織が完全に挫めつされ、知覚、運動完全麻痺の状態である。

 *横断性完全麻痺:左右差はなく、知覚脱出自動運動はまったくない。
 *麻痺域の腱反射は消失し、弛緩性麻痺となる。(脊髄性ショック期)
 *自律神経障害:麻痺域動脈の拡張、静脈怒張、皮膚温上昇、血圧低下(脊髄性ショック)、麻痺域発汗低下。
 *尿意、自排尿は全くなし、膀胱は尿で充満、尿閉状態。
 *腸管運動麻痺、腹部膨満、麻痺性イレウス状態。
 *水様便の失禁。
 *じょく創が発生する。
 *頚椎損傷の生命危険信号
  ・呼吸困難
  ・異常高温


■脊髄不完全損傷

 脊髄の部分的損傷、不全麻痺。

 *知覚鈍麻:部分的自動運動が見られる。
 *知覚解離現象


■脊髄損傷の病型

?型、中心性頚髄損傷、シュナイダー型

 *頚部の過進展で発生する頚髄損傷。
 *高齢に多い。
 *麻痺は知覚鈍麻よりも、運動麻痺が強く現れる。
 *運動麻痺は、下肢より上肢、特に手の運動障害が強い。
 *頚髄の横断面の中心部が損傷される。

?型、前部損傷型

 *脊髄前方部が損傷される。
 *痛覚麻痺が強く、触覚、位置覚、振動覚、運動覚は比較的保たれる。

?型、後部損傷型

 *脊髄後部が損傷される。
 *上下肢とも運動麻痺を認め、知覚は深部の感覚が障害されるが、温度覚、触覚は障害されない。

?型、ブラウン・セガール型

 *脊髄の半側が損傷される。
 *損傷側の運動麻痺、位置覚、振動覚、触覚麻痺と反対側の痛覚、温度覚麻痺が出る。

?型、横断型

 *損傷部以下の運動、近くともに全て障害される。


?〜?は、不全麻痺。
?は、完全麻痺と、不全麻痺



■スパイナルショック

 受傷直後は、全ての反射が消失し、弛緩性麻痺となる。
 受傷後、24時間〜3ヶ月の間に回復する。
 麻痺は、弛緩性から痙性になる。
 この時期に筋肉の自動運動がなければ、完全麻痺である。


 弛緩性麻痺:末梢神経損傷のときに現れる運動麻痺であり、麻痺側の腱反射は消失、あるいは減弱する。

 痙性麻痺:脊髄(中枢神経)の錐体路が損傷されると現れる運動麻痺である。麻痺域の腱反射は異常更新し、病的反射が現れる。



□急性期の看護

 生命を維持するために、損傷を最小限に留めるように局所の安静、整復固定を行う。


 *2次的損傷、損傷部位の拡大、程度の拡大を防ぎ、機能障害を最小限にする。

  ・損傷部位の安静と保護
  ・損傷部位の整復固定
  ・観察:受傷状況(経過時間も)、損傷部位と程度、検査内容、処置内容、全身状態(呼吸、循環障害、意識、消化器症状、膀胱直腸障害、体温、麻痺、出血など)


 *全身状態の管理により、重篤な合併症が起こらない。


 ■脊髄損傷の合併症 (急性期〜慢性期)

 急性期
 ・外傷合併:頭部外傷、胸郭肺挫傷、腹部臓器損傷、脊椎骨折、四肢骨折、皮膚筋挫滅、そのほか
 ・呼吸器:血胸、気胸、呼吸筋麻痺による呼吸不全、感染症、肺水腫、肺塞栓
 ・消化器:ストレス潰瘍、イレウス
 ・泌尿器:尿閉、尿路感染症
 ・皮膚:じゅく創
 ・循環器:血圧低下、深部静脈血栓症

 亜急性期、慢性期
 ・泌尿器:尿閉、尿失禁、尿管逆流減少、尿路結石、尿路感染症、尿道狭窄、尿道皮膚痩、腎機能不全
 ・消化器:慢性便秘、便失禁
 ・自律神経機能:起立性低血圧、発汗不全、体温調節不全、自律神経過反射
 ・皮膚:じょく創
 ・四肢関節:拘縮、異所性仮骨
 ・そのほか:疼痛、痙性、脊柱変形



□障害受容過程  
  *脊髄損傷患者から、脊髄損傷者になる過程*

 障害
 ↓
 ショック
 ↓
 回復への期待
 ↓↑
 否認
 ↓↑
 混乱と苦悩
 ↓↑↓↑
 再適応への努力
 ↓
 再適応


  急性期:障害→回復への期待
  回復期:回復への期待→再適応

  機能訓練:回復への期待→再適応への努力


■ショック期

 集中治療を受けている時期なので、今後の洞察にかけている。
 この時期が過ぎれば何とかなるだろうとぼんやり考える時期。


■回復期

 障害が自分におきたことを認める。
 障害が消失すると、確信している。


■否認、混乱、苦悩

 障害がはっきりと、全身と患者の心に現れてくる。
 将来の希望は、無力感に支配され、訓練に耐えるだけの意欲はなく、誇りや信念を捨てる時期。


■再適応への努力

 自分がだめなのは、身体障害よりも精神面の弱さだと気づき始める。
 受容は完全ではなく、安定していない。


■再適応

 障害はあっても、人間としての価値が変わらないことがわかる。
 将来のことを考える。



□看護者の援助

*患者自身の心理状態の混乱が強いときには、周囲の人は、見守ることにとどめる。
*はげまし、なぐさめ、おだてるなどのことはしない。
*患者が気持ちよく生活できるように環境作りをする。
*多くの場合、自殺念慮を抱く。常に患者とその周りを観察しておく。
*毎日の病室での生活パターンは、患者の状態を見ながら、可能な限り維持、継続する
 (体位変換、膀胱訓練、排便調節、日常動作の訓練など)
*精神的問題で訓練に出られない場合もあるので、訓練を促したり、休ませたり対応する。
 (PT、OTとの連絡をよくする)
*病室以外での情報を出来るだけ集め、患者の全体像の把握をする。
 不安や悩みを緩和できるように、他部門との連携を図り、チーム全体で見通しをつけながら対応していく。
 (医師、PTOT、ケースワーカー、友人、家族によって、反応が違うことが多い。)
*患者の訴えをよく聞き、受け止めるように努める。
*訴えのない患者には、特に注意深い観察が必要である。
 (訴えが出来ないほどの問題を抱えている場合もある。また言葉をかけられるのを待っていることもある。放って置いて欲しいこともある。)