戻る | 情報利用の際の注意とお願い | コメントする |

整形、形成の看護
疾患別に見た援助の基本


□変形性股関節症の看護

 保存療法と手術療法がある。


■保存的療法の看護

 疼痛や障害の程度を観察しながら、日常生活の援助と指導、疼痛コントロールに対する援助を行う。
 体重コントロール、鎮痛剤、杖の使用、筋力強化訓練もおこなう。


 *股関節の負担をなくすように、車椅子での移動などをする。
 *トイレや洗面以外はなるべく安静にする。トイレは洋式をすすめる。
 *安静にするために、運動量が低下し、体重増加することのないように食事内容などの工夫をする。
 *疼痛が強いときは、鎮静剤を使用する。投薬、座薬のほかに、軟膏やマッサージもする。症状の観察をする。

 *関節周囲筋の強化、関節可動域の維持などのリハビリテーションをおこなう。

 退院時は、リハビリが済み、杖歩行など、股関節に負担をかけないような状態となる。


■手術療法時の看護

 股関節は、手術してから、6〜8週間かかる。
 術後2〜3週間は、ベッド上安静となり、ベッド上排泄、体位変換、ベッド上運動の練習も必要である。



 □手術前の看護

  手術に対する不安や恐怖の緩和、療養への積極的な姿勢を持たせる。
  術後合併症の予防をする。
  
  入院は、手術3日前くらいになることがおおいので、以下のオリエンテーションを計画的に行うことや、準備を早くすることが大切である。



 ■オリエンテーション (術後合併症の予防訓練など)


 *排泄訓練
  実際に便器尿器を用いて、排泄の練習をする。

 *体位変換の練習
  外転枕を使用して、術後の安静のイメージをする。体位保持用の枕の当て方などを前もって説明する。
  よい方の膝を立ててヒップアップできるように練習する。

 *ベッド上の運動の練習
  下肢挙上運動、関節可動域運動などの練習。

 *呼吸訓練
  スパイロン、深呼吸練習。AM・PM・深夜10回ずつなど。

 *食事摂取の練習
  ベッドアップ30度で食事の練習をする。

 *含嗽練習
  ガーグルベースンを用いて、嗽の練習を午前午後くらいで行う。


 ■術前準備 (術前オリエンテーション+手術の準備と処置)
 
 *手術前日から当日、手術後のスケジュールの説明。
 *手術前の合併症予防訓練

 *手術前処置(清拭、抗生剤テスト、排便確認、禁飲食の説明)
 *手術当日の処置(点滴、前投薬、バイタルサイン測定、出棟直前準備)


 ■手術後にはこうなる

 *酸素マスク
 *点滴
 *膀胱留置カテーテル
 *排液リリア・ドレーン
 *外転枕



 □手術後の看護


 ■ベッド上安静期

 *感染の予防
  リリアドレーン挿入:定時のミルキング
  人工材料の使用(カテーテル、点滴など)

 *脱臼予防
  術後より外転枕を装着し、外転・中間位を保つ。
   (股関節の内旋、内転、屈曲をさせない。)

 *じょく創予防
  外転枕により、自力での体動困難や、固定用のベルトによる水泡など。
  踵部のじょく層(表層)は、クッションをする。
  ベルトによる水泡は、皮膚の弱い場合に多いが、タオルなどで保護する。

 *ひ骨神経麻痺
  外転枕によって、ひ骨頭圧迫による。2〜3時間の圧迫でも起こしてしまう。
  外転枕の固定状況(バンドの位置)に気をつける。

  症上の観察は、母指、足関節背屈、知覚低下が現れる。
  患者は、手術後の痛みと間違えているため発見が遅れやすいので注意が必要である。

 *術後疼痛
  創部痛だけではなく、同一体位肢位による圧迫痛、筋肉痛、ギプス、包帯の締めすぎによる循環不全などさまざまなものがある。

 ++痛みの観察++

 ・痛みの部位:全体が痛いのか、傷が痛いのか。
 ・痛みの性質:どんな痛みなのか。どれくらい痛いのか。
 ・痛みの起こる背景:どんな時に痛いのか。
 ・痛みの時期:いつ痛いのか。一日のうちでいつ痛いのか。
 ・痛みの訴えや表情、体位などの観察
 ・バイタルサイン測定:疼痛による血圧上昇、嘔気などの観察。

 *体位変換、背部清拭
  かならず2名以上で行うようにする。

 *食事セッティング
  ベッドアップ制限があるので、ご飯をおにぎりに変えてもらう、おかずを見えやすい位置にするなどの工夫をするが、自力摂取が難しい場合は、介助する。

 *排泄:Bカテーテル
  なるべく早い時期にカテーテルをとり、訓練した便器尿器での排泄が出来るようにする。

 *筋力トレーニング
  術後2日にリリアドレーンが抜去されるので、ベッド上リハビリが開始される。
  健側の筋力を落とすと、移乗等が大変になるので、運動するようにする。


 ■離床期

 「脱臼予防」
  人工関節置換術により、関節包、筋肉、靭帯などで固定してあるものを切ってしまう。
  この切った部分の修復には最低3週間かかるので、脱臼しやすい時期なので、外転枕の装着と保持が必要である。

  脱臼肢位は、ひとによって違う。
  この脱臼する角度は、術中に脱臼させて確認してあるので、確認する。

   例)股関節屈曲30度−内旋60度
          90度−内旋40度
 
  靴下や、爪きりなどには要注意である。



 「起立性低血圧の予防」
  低血圧の症上の観察、ベッド挙上、座位保持の訓練などをする。


 「荷重していないか観察」
  移動方法などを看護婦がついて観察する。
  早期は、ベッド上安静から安静度が拡大したときは、看護婦監視下での訓練や移乗、移動とする。


 「退院指導」
  体重コントロールの継続。栄養士に関わってもらうこともある。
  早期から、パンフレットを渡し、日常生活の指導をする。
  脱臼肢位の説明をする。

   脱臼肢位の説明:内股にしないようにする。椅子からの移動などは、がにまたにするようになど。

 「ホームリハビリテーション」
  リハビリの専門家とともに家に帰り、リハビリや改修の相談をする。

 「外来受診の指導」