わたしは最近まで知らなかったがシティ・カクテルと呼ばれるカテゴリーがあるらしい。容易に想像はできるが、街の名前がはいったカクテルのことを言う。こんなことを持ち出したのも、レスリー・フォーブスの『ボンベイ・アイス』を読んでいたらこんなシーンが登場してきたからだ。
バーに入ると、外国の地名にちなんだカクテルを片端から注文した。「マンハッタン、シンガポール・スリング、ハワイアン・パンチ、ロンドン・フォグ、トバコ・ティーザー、モスクワ・クーラーにアイリッシュ・コーヒー。景気良くいきましょ」(中略)
ハワイまでたどり着いたところで、おつまみは何があるかとバーテンダーに訊いた。
「ボンベイミックス(果物やナッツを混ぜたスパイシーな乾燥スナック)はいかかでしょう、マダム。」
本書の主人公、ロズ・ベンガルはフリーの女性ジャーナリストで、ボンベイ(現在はムンバイと改称)を舞台とした物語は一向にぱっとしなかったが、こうした小道具は結構気が効いていた。そういう目でカクテルを眺めると、このコーナーで取り上げたキューバ・リブレもそうだし、本書の舞台であるボンベイを冠したボンベイ・マティーニだってある。
この『ボンベイ・アイス』で取り上げられたカクテルは女性向きのカクテルがラインナップされている印象を受けるが、ここでははやり筆頭に挙げられたマンハッタンを紹介しておきましょう。正直に白状すれば、ロンドン・フォグのように見当のつかないカクテルもあるので、カクテルの女王と呼ばれるマンハッタンが無難だ。
レシピは下に載せた通り、ウィスキーベースでスウィートヴェルモットを入れるため、甘めのカクテルの部類に入るだろう。カクテルの王様マティーニとはかなり違いますね。また、マンハッタンにはインディアン語で“酔っぱらい”という意味もある。オランダ人が土地を買おうとした時、インディアンの酋長に酒をたらふく飲ませ、さっと契約されてしまった。俺はマンハッタン(泥酔)だったから無効にしてくれと訴えたがこれを聞き間違え、土地の名だと勘違いしてしまったという逸話があるらしい。
ところで、カクテルで世界一周を企ててもいいだろう。あっ、むろん一晩で世界一周は無理ですよ。80日間ぐらいかけてゆっくり一周するのがいい。でも、そうなると日本に立ち寄った時に何を飲むかが大問題となりそうだが、知り合いのバーテンダーに相談したけれど、ここはやはりヨコハマでしょうね。
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| ウィスキー |
2/3
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| スウィートヴェルモット |
1/3
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| アンゴスチュラービターズ | 1dash |
| 赤チェリー | |
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