シーバスリーガル


いまさら講釈する必要もないぐらいで、「スコッチのプリンス」という呼び名もある有名なスコッチ・ウィスキーですね。シーバスリーガル自体はブレンド・ウィスキーですが、キーとなるモルトはスペイサイドと呼ばれる地域のストラスアイラ蒸留所で作られているそうだ。ここで生産されたモルトウイスキーは「まろやかな山の霧」と称される風味をもっていると言われる。「まろやかな山の霧」なんてうまいコピーだなぁ。ウィスキー好きの心をくすぐりますね。また、今日当たり前になっている何年物の表示も、このシーバスリーガルが1938年に世界で初めて「12」年熟成表示を行ったのが始まりだそうだ。

わたしはこのシーバスリーガルにちょっとした思い出があります。入社して間もない頃(といってもすでに二十年以上前のことですが)、実験装置などの備品を納入している業者から、お歳暮を贈りますが何がいいですか、と問われて強要(?)したのが、このシーバスリーガルなのだ。いまにして思えばどうせ要求するならもっと高価なウィスキーにすれば良かったと思いますが、当時はいまのような酒の安売り店があったわけでもなく、わたしのウィスキーの知識も限られたものだったのですね。

ところで、カーステン・ストラウドの「ブラックウォーター・トランジッド」なるミステリでシーバスリーガルが登場してくる。ニューヨーク市警の署長が愛飲しているのだ。

署長はケイシーに廊下へ出て待つように言うと、ボスとしての重荷が耐えがたくなったときのために抽斗にしまってあるボトルを取り出し、スコッチを注いだ。そうしてシーバスリーガルとしばらく相談しているうち、直感のようなものがわいた。天才的なひらめきだ、と彼は思った。

ウィスキーを飲んでひらめきが得られるなんて羨ましい限りだ。本書を読んで以来、わたしも天才的ひらめきを得ようと懸命にウィスキーと相談しているのだが、女房には理解してもらえないようで・・・。