ベルンハルト・シュリンクの「ゼルプの欺瞞」(小学館)は実に69歳という老私立探偵ゲーアハルト・ゼルプが主人公を演じるミステリだ。ナチ時代に検事をしていたという設定も異色だ。「ゼルプの欺瞞」のミステリとしての評価は少し辛めにならざるをえないが、主人公ゼルプは魅力的だ。高齢ながら食べるものや飲むものについてウルサイところがある。池波正太郎さんが描く秋山小兵衛みたいですね。
コーヒー豆をいれた缶とサンブーカ、それからグラスを机から取ってきて、サンブーカをグラスに注いで豆を入れた。肘かけ椅子に腰を下ろし、歯で豆を割り、透明で油っぽい液体を舌と喉に転がす。ひりひりした。
さすがにヨーロッパの探偵、なんでもビールとウィスキーですましてしまうアメリカの探偵とは違いますね。このサンブーカだが、イタリア特産のリキュールで、原料はエルダーの花やアニスなどハーブ類を使用しているそうで、アニス系リキュールという分類にはいる。ゼルプのやっているようにコーヒー豆を入れるのは一般的に行われている飲み方の用で、それもコーヒー豆を三ついれると幸運を呼ぶといった言い伝えがあるようだ。
それにしてもコーヒー豆を歯で割って飲むなど、かなり刺激的だ。