ロバート・B・パーカーのスペンサー・シリーズではアルコール類が登場するときに、ビールとかウイスキー、カクテルといった一般的な名詞ではなく、きとんと銘柄や種類が書いてある。そこらのこだわりはハードボイルド小説の基本でしょう。本シリーズの「虚空」ではこんなシーンが出てくる。
スーザンは塩付きのマルガリータを注文した。私がちらっと見ると、穏やかな笑みを浮かべた。「飲み物は何を?」
マルガリータはテキーラベースとしては最も有名なカクテルと言っても良いでしょう。スノー・スタイルといってグラスの縁に塩を飾るのが一般的だ。ここで、わざわざ、”塩付きの”なんて注釈がついているのは本編の別な箇所で、スーザンは塩をつけないマルガリータを飲んでいるからだ。最近のスーザンは健康志向にはしっており、減塩の一環なのでしょう。
でも、マルガリータを飲むときは、このグラスの周囲についた塩をどのように飲むというか、舐めるかという大問題がある。最初に口をつけた一ケ所から飲むと、そのほかの塩は残ってしまい、本来のマルガリータの味をそこなうような気がするし、グラスを少しずつ回して飲めばいいようなものだが、グラスのいろんな箇所に口をつけるのは行儀が悪い印象がある。グラスの一ケ所からだけ飲むのであれば、塩の量もたいしたことはなく、わざわざ塩がついてないマルガリータを注文する必要もないだろう。してみると、スーザンはグラスを一回転させながらマルガリータを飲むのだろうか? イメージが違うなぁ。
ところで、このマルガリータはロサンゼルスのレストラン“テール・オ・コック”のバーテンダー、ジャン・デュレッサーの創作で彼の若き日の恋人の名前に由来したもの。2人で狩猟に行った際に、彼女は流れ弾にあたって亡くなってしまった。その彼女を偲んで作られたカクテルといわれている。マルガリータはスペイン語で、英語ではマーガレットとなる。マーガレットというカクテル名だったらこんなに世界中に広まらなかっただろう。
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| テキーラ |
1/2
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| ホワイトキュラソー |
1/4
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| レモン |
1/4
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