ラフロイグ


スコットランドの西部に位置するアイラ島を原産とするラフロイグ。日本でも知名度はまだまだと言ったところでしょうか。でも、一度飲んだら、その味を忘れることはないと思うほど、強烈な個性を放っている。

スチュアート・ウッズの「不完全な他人」では機内で二人の男が知りあうきっかけとして、ラフロイグが使われている。

ピーターは液晶画面を元に戻し、ヘッドセットをはずし、フライトアテンダントから三杯めのスコッチを受け取った。自然と顔が横を向き、儀礼的な言葉が口をついて出る。「あんたもやるかい?」
「断る理由はないな」と隣席の男。「何を飲んでるんだ?」
「<ラフロイグ>」
「そいつはいい。わたしにも同じものを」

ちなみにこの二人はこの後、お互いの妻の交換殺人を企てるという設定になっている。「そいつはいい」なんて言っているが、ラフロイグは相当にクセのあるウイスキーですよ。濃密なピート香とか、海藻の匂いと言ったたとえ方もあるけれど、判りやすく言えばうがい薬のイソジンです。二人の関係を考えると、ふさわしい味と言えるかもしれな。