さらに数学と株のお話

(2004.5.5)


前回に引き続きジョン・アレン・パウロスの『天才数学者、株にハマる』のお話しです。
株で儲かる方法はわからなかったのだが、ヘエと驚いた事実とわたしの実験の結果をご覧に入れましょう。まずは引用から。

説明のために、ヘンリーとトミーの二人の挑戦者がいるとし、一定期間にわたって1日に1度コイン投げを行い、それぞれ表と裏に賭けるとする(なぜそんなことをするのかはとりあえず考えないことにしよう)その日までのコイン投げで表のほうが多ければヘンリーがリードしており、裏のほうが多ければトミーがリードしていることになる。コインは公正であるから、二人にうち一方がリードする可能性と他方がリードする可能は同じだが、二人のうち一人が、このどちらかといえばつまらない競争のほとんどの間、リードを保つ可能性が高い。数量的に述べればこれは、1000回のコイン投げをすれば、ヘンリー(またはトミー)が全体の時間のたとえば96%以上でリードを保つ可能性が、二人のいずれかが全体の時間の48%から52%でリードしている可能性よりも高い、という主張です。(中略)
このコイン投げコンテストでヘンリーとトミーの優劣が入れ替わることが相対的に稀であることを考えると、二人ともコインの出る面をいっさいコントロールできないにも関わらず、二人のうち一方が「勝ち組」、他方が「負け組」として知られるようになったとしても不思議ではない。

これはわたしたちの直感とはかなり違います。ヘンリーとトミーがコインの裏表を言い当てるのなら勘の良し悪しが反映しますが、単純に表が出たらヘンリーの勝ちとするのだがら、これは確率としては二分の一で、ある回数以上では五分五分のはずです。

高名な数学者の言うことを疑うわけではないけれど、にわかには信じがたく、実験をしてみることにする。と、言っても実際にコインを投げるのは面倒なので、そこはエクセルの乱数を使ってシミュレーションします。乱数を使っての話だから、いくらでもパターンがあって、何が代表例ということもないのですが、いくつかサンプルをグラフにしたものをご覧に入れましょう。

このグラフは1000回コイン投げをした場合を描いていますが、本当にジョン・アレン・パウロスの言うとおりですね。無論、サンプルとして何を選ぶかにわたしの主観が入っているので、お疑いの方はご自分でお試しあれ。

本来は株の話しですが、このグラフを見て思い出すのはプロ野球のペナントレース。パリーグなどは早々とゲーム差が開いて二強四弱と言われているけれど、そういう言い方は正しくないかもしれない。まったく五分五分の力でも今程度のゲーム差がつく可能性は高いということでしょう。そもそも、強いということと、優勝することは無関係かもしれない。

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