なんとも、苦しい作品だ。パトリシア・コーンウェルにはおなじみの「検屍官」シリーズがある。その合間をぬったこのシリーズも「ススメバチの巣」、「サザンクロス」についで三作目である。ところが、主な登場人物の像が一向に定まらないのだ。この作品の邦題にもなっているハマー署長にしても、警察官のアンディ・ブラジルにしても個人的な悩みを抱えていたはずなのだが、そんな事は忘れ去られ、ハマー署長にいたってはいつの間にか「魅惑のスーパー・ヒロイン」になっている。下巻の帯には「検屍官スカーペッタも登場!」と書いてあり、確かに登場するのだが、申しわけ程度の登場で、帯にこんな宣伝文句でも書く以外に講談社も手のうちようがなかったのだろうねぇ。
かなりカリカチュアライズされた登場人物やドタバタ喜劇のような展開など、訳者が後書きで書いているように、すこし気分を変えたいのかもしれないが、出来が悪すぎる。前作、「サザンクロス」のときは、これがコーンウェルの作品でなかったら、途中で放り出していただろうと思ったものだが、今回は本当に途中で放り出してしまった。こんな本に付き合うほど、暇ではないのだ、小生だって。
| 書名 | 女性署長ハマー |
| 作者 | パトリシア・コーンウェル |
| 翻訳 | 矢沢聖子 |
| 出版社 | 講談社 |
| ISBNコード | 4-06-273324-2 4-06-273325-0 |