既死感


キャスリーン・レイクスの「既死感」は冒頭から凄い死体の発見で始まる。テンペランス・ブレナンはモントリオール法医学研究所で骨の鑑定を専門にする法人類学者である。神学校で発見された惨殺死体の鑑定を依頼されたが、その死体には過去に扱った事件との共通点があった。ブレナンは連続殺人事件の可能性を主張するが、担当の刑事は取りあおうとしない。業を煮やしたブレナンは自ら捜査に乗り出すのだが、犯人の魔手はブレナンの身辺にも及んできた・・・。

この種のミステリとしてはありきたりの展開である。骨の切断面から凶器を特定するところなど、アメリカ法医学協会から正式に認定された法人類学者でもある著者キャスリーン・レイクスの専門性をいかしているが、今となってはそんなに目新しくもない。自ら捜査にあたるのだが、それもいささか無謀な感じがする。まあ、研究室の中に閉じこもっていては物語にならないとは思うけれど。なにやら悪口ばかり書いたような気もするが、全体としては可もなく不可もなく、といったところだろうか。

とことで作中、主人公のブレナンはいろいろな連想をするのだが、何度か映画俳優のジョージ・バーンズが登場してくる。

わたしの頭が行きあたりばったりのスキャンを始めた。ふたたびジョージ・バーンズが登場して「わたしはいつも未来に興味があるんだ。残りの生涯はそこですごそうと思ってる」といった。

ほかにも、ジョージ・バーンズが演じた野球帽姿の神さま、という表現が出てくる。先のセリフも映画の中のものだろうが、どの映画のことか判らない。これが読み終わったあとも気になってしょうがない。あの映画だ、とピンとくると、思わずニヤリとできるんだがなあ。


書名 既死感
作者 キャスリーン・レイクス
翻訳 山本やよい
出版社 角川書店
ISBNコード 4-04-287101-1
4-04-287102-X