ニューヨーク市警十九分署に勤めるパトロール警官エド・ギャヴィンは五年前に一人娘のアレックスが行方不明になって以来、同じ年頃の身元不明の死体がでると確認にでかける生活を送っていた。そして二十九年間の相棒ダニーが自殺をし、ますます落ち込むばかりだった。そのダニーの代わりに相棒を組むことになった新人警官ジョン・ストレーガはプリンストン大学出身のエリートだ。ある日ギャヴィンは上司から、自殺とされているダニーの事件を調べるようにいわれる。今年になってすでにニューヨークの警官の自殺が十六件も発生しているが、他殺の可能性もあるというのだ。ギャビンはストレーガと一緒に調査を開始する。そんな折り、NY警察本部長の娘にして、”歩く花火”のような女性警官マリア・アルヴァレスがストレーガに近づいてきた。しかし、そのマリア・アルヴァレスには隠された秘密があった・・・。
「刑事は、しゃれたスーツを着こんで、犯罪が起きてしまってからなにがあったかを知ろうとするものさ。そもそも、犯罪が起きるまえに食い止めるのがおれの望みだ。そのためには、現場にいないとだめなんだよ」
ギャヴィンの相棒ダニーが常々くちにしていた言葉だ。刑事に昇進しようとせず、パトロール警官であることに誇りを持って生きようとする男たち。そういう意味では日常のもっと些末な事件をしっかり描いても良かったとも思うが、ストーリーは警官の連続自殺の真相とNYでも比較的安全な十九分署で発生した連続強盗事件を軸に展開する。
比較的早い段階で物語全体のからくりが見えてしまうのが、欠点ともいえるが、謎解きが主題でもないのでそれほど気にはならないだろう。判っていても、最後まで読ませる力がある。物語の進展に従って、どこかで読んだ話のような気がしてしょうがなかったが、ネルソン・デミルの「将軍の娘」だと思い当たった。かなり状況は異なるが、父と娘の葛藤、娘の破天荒な行動という側面は一致している。それにしても女性作家が女性を描くと両極端になるような気がするのだが、これは気のせいか?
書名 無法の正義 作者 ジャニーン・キャドウ 翻訳 田中一江 出版社 講談社 ISBNコード 4-06-264988-8