ニューヨーク・タイムズの記者という経歴をすててメイン州の片田舎に住み、バード・ウォッチングに精を出すジャック・マクモロー。恋人ロクサンヌに「冬眠しているあなたを見ていても幸せではない」と言われたことも手伝って、地方紙の雇われ記者となる。週二日、裁判所の記事を書く仕事だ。その裁判所で同棲していたボーイフレンドの家庭内暴力を訴える女性ドナ・マーチャントに出会い、記事にする。しかし、そのことでマクモロー自身、ドナのボーイフレンド、ジェフリーから脅迫される。そして日をおかずドナ自身が殺される。ジェフリーが犯人と思える簡単な事件に見えたが、何かしっくりこないものを感じたマクモローは捜査にのりだす。
ジェリー・ボイルの「究明」、ジャック・マクモローが主人公のシリーズ三作目だが、手にとるのはこれが初めてである。のんびり隠遁生活をおくっているようで、心の中には記者魂が残っているマクモローは何ごとにもことなかれ主義の地方紙の編集長アルバートと衝突する。
「新聞を発行するのに困難はつきものでしょう。楽にやってるなら、まともなやり方をしてない証拠です」
アルバートは厳しい目つきでわたしを見た。
「ニューヨーク・タイムズでは、そういうことを教わってきたのかね?」
「いい新聞は誰かのケツにキスしない、と教わりました」この本のなかではマクモローがニューヨーク・タイムズを辞めた理由が明らかにされていないので、なんとなくすっきりしない。この種の小説ではやはり主人公の性格付けがポイントだから、いかにシリーズ物とはいえ、しっかりそのあたりを紹介しておいて欲しい。意外な結末が用意されてはいるが、まあ平均点といったところでしょうか。
| 書名 | 究明 |
| 作者 | ジェリー・ボイル |
| 翻訳 | 佐久間俊 |
| 出版社 | 講談社 |
| ISBNコード | 4-06-264858-X |