ボーン・コレクター


昨年の「このミステリーがすごい」で第二位にランクインした「ボーン・コレクター」を読む。最近、ハードカバーに手を出すことはほとんどないのだが、先日読んだ「静寂の叫び」が面白かったものだから、一挙に作者ジェフリー・ディーヴァーの株がわたしの中で上がったせいで、読む気になった。

線路脇で発見された無惨な死体。しかし、そこには不可解な証拠品が残されていた。その証拠品が次の犯行の現場と時刻を示すものであることが分かった時点から、警察と犯人の息詰まる知恵比べがはじまる。追うのは元ニューヨーク市警科学捜査部長リンカーン・ライム。ライムは捜査中の事故から現在では四肢麻痺の身でありながら、ベッドの上から指揮をとる。そしてライムの手足となって現場の鑑識にあたるのは、たまたま最初の被害者を発見した女性巡査アメリア・サックス。最先端の分析機器を用い、わずかに残された証拠から犯人を絞りこんでいくライム。しかし、この犯人の真の目的は実に意外なところにあった・・・。

と、こんな調子でストーリーは展開していく。確かに面白いし水準以上の作品ではある。ただ、どちらかと言えば同じ作者の「静寂の叫び」のほうに軍配をあげたい気分ですね。

さて、この作品中の名セリフは民間人であるリンカーン・ライムの指揮をあおぐことに不満を述べる部下にたいする刑事ロン・セリットーのセリフ。

セリットーは冷静な口調で言った。「巡査、よく聞いてくれ。俺たちは全員、リンカーン・ライムの監督下にあるんだ。あいつが民間人だろうが、市警本部長だろうが、バットマンだろうが、そんなことはかまわん。わかったかね?」
「でも-」
「不服なら書面にしろ。だが書くのは明日にしてくれ」

日本の組織においては上下関係にあっても合意形成を重んじるから、一方的な命令というのは少ないと思うけれど、ときにはこのようなセリフを言いたい上司も結構いるでしょうね。


書名 ボーン・コレクター
作者 ジェフリー・ディーヴァー
翻訳 池田真紀子
出版社 文藝春秋社
ISBNコード 4-16-318660-3