ボストン・テランの『凶器の貴公子』です。物語としてはわりと単純な話なのですが、登場人物がみな難しいことを言う。難解なミステリです。本書のあとがきでは、書評家の杉江松恋さんが力の入った解説を書いているが、わたしにはピンときませんでした。
不慮の事件で死亡した青年テイラー・グリーンの角膜移植によって視力を取り戻したデイン・ラッド。デインがテイラーの死亡した原因を探るというストーリーだが、その秘密は読者にはほとんど見え見えという設定。デイン・ラッド自身にも秘密があり、それがポイントではあるが、それも読み終わってみれば中途半端ですね。
ただ、みな一癖二癖ある登場人物なので、なかなか気の効いた警句がちりばめられている。
人は金を持てば持つほど金に動かされやすくなる。
自己憐憫というのは利己主義の危険な形態だ。
(2005.09.25)
| 書名 | 凶器の貴公子 |
| 作者 | ボストン・テラン |
| 翻訳 | 田口俊樹 |
| 出版社 | 文藝春秋 |
| ISBNコード | 4-16-770508-7 |