ホステージ


説明不要でしょうが、現在公開中のブルース・ウィリス主演の映画『ホステージ』の原作です。著者ロバート・クレイスは、前作『破壊天使』で、元爆弾処理班の刑事と爆弾魔の闘いを描いて達者なストーリー・テラーぶりを発揮していましたが、この『ホステージ』でもその才能を見せつけてくれます。

ロス市警SWATの交渉人として立派なキャリアがありながら、ある事件の失敗を契機に片田舎の警察署長におさまったジェフ・タリー。事件らしい事件もない町で人質事件が発生する。コンビニを襲った三人組のチンピラが警察に追われ、ある家にたてこもり、父親と姉弟の三人を人質にとったのだ。かつての経験を活かし、交渉に当たるタリーだったが、その家は普通の家ではなかった。その家の主スミスはマフィアの会計士をつとめる男だったのだ。スミスの持つ秘密が漏れることを恐れたマフィアはタリーの妻子を人質に獲り、偽のFBIを送り込んできた・・・。

二つの人質事件という破天荒な着想に加えて、単なるチンピラと思われた三人組の一人が実は・・・、といった予想外の仕掛けをいくつか仕込ませた物語はさすがに面白い。映画のような細かな場面転換で一気呵成に読ませる。それだけに、映画の出来のほうが心配になります。かなり複雑な設定なので、それを映像で表現するとなると難しい側面もあるでしょう。それに、主人公ジェフ・タリーはブルース・ウィリスのイメージではないけれど、これは仕方ないでしょうね。映画を観てから、本書を読むというのが正解かもしれません。

(2005.06.12)


書名 ホステージ(上・下)
作者 ロバート・クレイス
翻訳 村上和久
出版社 講談社
ISBNコード 4-06-275117-8
4-06-275118-6

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