闇に薔薇


ジェームズ・パターソンの『闇に薔薇』です。ワシントン市警の殺人課刑事アレックス・クロスを主人公とするシリーズ物で、新潮文庫から『多重人格殺人者』、『キス・ザ・ガール』などが出版されているそうですが、わたしは未読。『キス・ザ・ガール』は『コレクター』というタイトルで映画化され、アレックス・クロスをモーガン・フリーマンが演じていましたね。ただし、原作のアレックス・クロスはモーガン・フリーマンより若々しく、趣味としてガーシュウィンやコール・ポーターの曲をピアノで弾くようなタイプとして描かれている。

凶悪な銀行強盗が発生する。大金を奪取し、人質を惨殺して逃走するという手口だ。ワシントン市警のアレックス・クロスはFBIと協力して、実行犯を絞り込むが、クロス達が駆けつけた時には、その実行犯も殺害されていた。その黒幕は自らを”闇将軍”と名乗り、犯行を繰り返す。そして、闇将軍は捜査をするFBIの捜査官へも魔の手をのばしてくる・・・。

ミステリとして非常に面白いのですが、さてこの中途半端な後味は感心しない。それもそのはずで、『闇に薔薇』の原題は"Rose Are Red"というのだが、この次の作品は"Violets Are Blue"という。二人のジョッガーが惨殺される事件が発端となるようだが、再び闇将軍とアレックス・クロスが対峙する物語となるようだ。いつも言うことだが、こういうパターンではできるだけ早く次回作を翻訳して欲しいものだ。

なお、闇将軍がクロスの身近にいることは読者に明かされているので、見当はつくのだが、最後のページのラスト一行でその正体が明かされるので、ラストシーンをチラッと覗き見るくせのある方は要注意でしょう。

さて、今日紹介するのはFBIのベッツィー・カヴァリエ捜査官のセリフ。

「あさましいハゲタカたち」ベッツィーはわたしにささやいた。「人生にはたしかなことが三つある。死と税金と、マスコミの誤報よ。彼らはきっとまちがった報道をする」

マスコミの誤報については意見が分かれるかもしれませんが、死と税金については間違いない!

(2005.05.22)


書名 闇に薔薇
作者 ジェームズ・パターソン
翻訳 小林宏明
出版社 講談社
ISBNコード 4-06-275054-6

ホームへ戻る酒とミステリの日々へ戻る