カジノを罠にかけろ


『人生はギャンブルだ。配られたカードでなんとか勝負するしかない』とは本書に登場する警句。ジェイムズ・スウェインの『カジノを罠にかけろ』はその題名通りにカジノを舞台としたミステリだけに、ギャンブルについてなかなか含蓄のあるセリフが登場し、それを読んでいるだけでも楽しい。

主人公トニー・ヴァレンタインは、元警官でカジノでイカサマをする詐欺師を摘発するコンサルタント業を営んでいるが、あるカジノから依頼を受ける。ブラックジャックで大勝ちをする不審な男がいる。しかし、トニーはあまりにもあからさまな手口に裏があるとにらむのだが・・・。

粗筋を書くとこんな感じなのだが、賭博師を相手の知恵比べにぐいぐいと引っ張っていくという感じがない。ミステリとしてはもう少しテンポが欲しいところだが、息子ゲリーとの不仲や近所の老嬢との親交などもまじえて物語はゆったりと進んでいく。ユニークな登場人物も多いのだが、なかでもカジノのオーナー、ニック・ニコクロポリスはとにかく女に手の早い、節操のない男なのだが妙に律儀なところもあって憎めない人物だ。彼が師匠から教わったギャンブルの本質とは?

「グリークに言ったんだ。ずっとギャンブルを続けていたら、結局は負けじゃないかって。最後にはカジノの勝ちになるだから。グリークは笑って言ったよ。カジノで金を稼ぐ方法はただひとつ、カジノを持つことなんだよって」

と、言うわけでカジノを経営しているのだが、これはカジノに限った話ではなく、ギャンブル全体に通じる話ではあります。まぁ、これが判っていても止められないのがギャンブルですが。また、ニックはこんなことも言う。

「昔誰かが言ったよな。結婚は愛情の唯一最大の敵だって」

これも判っていても止められないのが結婚というもの・・・、かな??

(2005.04.03)


書名 カジノを罠にかけろ
作者 ジェイムズ・スウェイン
翻訳 三川基好
出版社 文藝春秋社
ISBNコード 4-16-766194-2

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