天使の遊戯


今週はアンドリュー・テイラーの『天使の遊戯』です。原題は"The Four Last Things"だが、キリスト教で言うところの四つの終末という概念で、死、審判、天国、地獄を意味している。この原題が示しているようにキリスト教を背景にもつミステリだが、その全容は『天使の遊戯』だけでは判らない。この作品は三部作の一作目にあたり、時代をさかのぼりながら謎が解き明かされるようだが、興味津々の三部作だ。

セント・ジョージ教会の女性副牧師、サリー・アップルヤードは説教中に一人の老婆から手ひどい言葉を投げつけられる。「穢らわしい不信心者。バビロンの淫婦。サタンの娘。おまえとその一族に災いあれ」 あまり気にも止めなかったサリーだが、一人娘ルーシーが何者かに誘拐される。サリーの夫マイケルは警察の部長刑事だが、有力な手がかりが無く捜査は行き詰まる。しかし、切断された子供の体の一部が何カ所かで発見されるにおよんで、事件は急展開する。そして、それが四つの終末の意味をもっていることにサリーとマイケルは気付く。いったい犯人の真の狙いは・・・。

物語は三人称表現で、被害者であるサリー夫婦と犯人の両者を描いていく。犯行に加わる青年の少年期の経験や謎の女性エンジェルの不可解な行動などを丹念に描く一方で、被害者の心のゆれ、事件による夫婦関係の歪みなどを含みながら物語が進展していく。ただし、警察の捜査についてはほとんど語られない。なぜなら、本書での最大の謎は真犯人ではなく、事件の背景そのものだ。しかし、本書では随分と謎をふくんだ終わり方で、第二作に引き継がれることとなっている。

こういうのは好きじゃないなぁ。絶対次回作を読まなければならないじゃないか。願わくば、次回作を早く、できれば来月ぐらいに出して欲しいものだ。お願いしますよ、講談社さん。

さて本書はキリスト教をテーマにしているので、われわれ日本人には難しいところもあるのですが、面白いと思ったサリーの独白を紹介しておきましょう。

信仰心のない者でさえ、おのれの人生の不遇を神のせいにしたがるものだ。


書名 天使の遊戯
作者 アンドリュー・テイラー
翻訳 越前敏弥
出版社 講談社
ISBNコード 4-06-273954-2

ホームへ戻る酒とミステリの日々へ戻る