むむ、こういった小説は感想が書きにくいなぁ。そう、デニス・ルヘインの『シャッター・アイランド』のことです。書店で手に取った方はわかると思うが、この『シャッター・アイランド』はその結末が、週刊誌のヌード写真のように袋とじになっているのです。今時そこまでやるかな、と言った印象もあるけれど、内容はたしかに大胆なトリックが施されている。デニス・ルヘインといえば、全作『ミスティック・リバー』が映画化され公開間近ということや、文庫本が出されたこともあって旬の作家といってよいでしょう。もっとも、わたしは私立探偵パトリックとアンジーのシリーズから大きく変わった『ミスティック・リバー』は敬遠して読んでいないのですが。
ボストン沖のシャッター島にある南北戦争時代の砦を改装したアッシュクリフ病院は、精神を病んだ凶悪犯のための病院だった。連邦保安官のテディ・ダニエルズは新しく相棒となったチャック・オールとともにフェリーでその島に向かった。アッシュクリフ病院で一人の女性患者が奇妙な暗合を残して行方不明になったというのだ。ダニエルズは不可解な対応の病院関係者から事情聴取をしながら、その女性の行方を捜すのだが、実は彼にはシャッター島を訪れたもう一つの目的があったのだ・・・。
実は、こんなふうに粗筋を紹介すること自体、あまり意味のないことなのだが、なぜそんなことを言うかは、読んでのお楽しみということにしておきましょう。すごいなぁとは思うものの、手放しで誉められないものも残るので、この手口に対しては賛否両論あると思います。池上冬樹さんは本書の解説(これも袋とじと念が入っている)で、パトリック&アンジーのシリーズや『ミスティック・リバー』と物語は変わっても、テイストは変わっていないと書いている。たしかに、ベースの素材は一貫していると思うけれど、その料理法が異なっているので、かなり違った味わいになったという印象だ。わたしの感覚から言えば、少し趣向に走りすぎたと言える。でも、読んで損はない、ミステリ・ファンなら読んでおくべき問題の一作と言ってよいでしょう。
| 書名 | シャッター・アイランド |
| 作者 | デニス・ルヘイン |
| 翻訳 | 加賀山卓朗 |
| 出版社 | 早川書房 |
| ISBNコード | 4-15-208533-9 |