B、C、GとIからMまで。
これだけでは何のことだか判らない。スー・グランフトンのキンジー・ミルホーン・シリーズのうちから、読んだ物だけ抜き出すとこうなるのだ。あいにくとシリーズの最初からつきあっているわけではない。「無実のI」が最初に読んだ作品だ。女性が書いて、女性が主人公で、かつ一人称で書かれているわりには、乾いたタッチが気に入って、以来のつき合いである。「無実のI」を読んだ折り、Niftyのフォーラムで既刊のミルホーン・シリーズからベスト・スリーを選んでもらって、B、C、Gを読んだ。最初に文庫本で読んだものだから、文庫化されるのを待って読む習慣になっている。さて、「悪意のM」である。死亡した建設会社社長には四人の息子がいた。しかし、次男は18年前に家出して以来、行方不明であった。キンジーはその次男の捜索を依頼され、意外にあっさりと次男のガイ・マレックを見つけだす。ところが、ガイを家族のもとに連れ戻した矢先に、そのガイが殺されてしまう。当然、遺産相続に絡み、他の三人の息子が疑わしいことになるのだが・・・。
こんな調子でストーリーは展開するのだが、謎解きとしては単調。むしろ、家族の問題児であったガイのほうが人間としてまともに成長し、そのガイにどこかしか心を惹かれるキンジーの姿や、ロバート・ディーツ(「探偵のG」で登場)との再度の関係が丹念に描かれている。
キンジーはひょんなことから、ガイ・マレック殺害容疑で逮捕された四男ジャックの弁護側に立つことになるのだが、思わずこんなことを言う。「実際、わたしは彼の弁護側に立っていることさえ信じなれないの。ジャックのことなんて好きでもないのに」
「彼を好きになるために金をもらっているわけじゃないんだ。われわれは彼をこの状況から脱け出させるために金をもらっているんだ」ロニーは言った。ロニーはキンジーが事務所を間借りさせてもらっている弁護士だ。なるほど、プロですね。凶悪犯罪の弁護をする世の弁護士さん達も同じことを思っているのでしょうね。
それにつけても、このシリーズ、「X」までいったらどうするのかなあ。
| 書名 | 悪意のM |
| 作者 | スー・グラフトン |
| 翻訳 | 嵯峨静江 |
| 出版社 | 早川書房 |
| ISBNコード | 4-15-076363-1 |