レインボー・シックス


「レインボー・シックス」を読む。久々のトム・クランシーである。クランシーといえばかの「レッド・オクトーバーを追え」が有名だ。確かに面白かったし、その後の同一主人公のシリーズ、ジャック・ライアン物も何冊か読んだ。しかし、いつの間にかご無沙汰していた、なぜなんでしょう。

この「レインボー・シックス」では、東西冷戦終結後のテロリストに対抗するためNATO側が結成した対テロ特殊部隊「レインボー」の活躍が中心だ。この手の物語ではおなじみのSASやデルタ・フォースから選りすぐりのメンバーを集めた精鋭揃いのとんでもないチームという設定。というわけだから、この「レインボー」に対抗する敵役もそれなりに凄くないと物語が成立しないのだが、正直言えば登場するテロリストはどれも役不足で「レインボー」に軽く一蹴されてしますので少し物足りない。
しかし、この物語の真の敵役は狂信的な自然保護主義者で、地球と自然を破壊する人類をごく一部の人間(つまり自分たち)を除いて、細菌兵器で抹殺しようとするとんでもない集団である。ただ、細菌兵器を開発したりする科学者が中心だから、やはり戦闘能力は見劣りがする。従って、かれらの細菌兵器をばらまくという計画が露見してしまうと、企みはあっさり頓挫してしまい、最後の盛り上がりに欠ける。
そして首謀者達はブラジルの奥深くに逃避してしまう。かれらをどう料理するかという解決法がいかにもクランシーなのだ。

「わたしはこれまで、法執行について思いわずらったことはあまりないんだ。こっちが執行するのは、もっぱら方針であって、法ではないんでね」

「レインボー」の指揮官で、本編の主人公ジョン・クラークのセリフだが、その言葉通りブラジルに逃げた一味をチームで強襲するのだ。法律などと、細かなことは言わずに事態が解決しさえすればいいという、なんだが昔の西部劇を見ているような調子なのだ。確かに同情する必要などない犯人達なのだが、乱暴というか、実に無邪気な正義感なのだ。あまりにアメリカ的なこんな要素がクランシー物に手を出さなくなった一因かもしれない。

ところで、この小説に題材をとったタイトルもそのまま「レインバー・シックス」なるシミュレーションゲームがある。そちらのほうに大いに関心があって、デモ版を入手してトライしているのだが、そちらのほうは別の機会に紹介しよう。


書名 レインボー・シックス(1,2,3,4)
作者 トム・クランシー
翻訳 村上博基
出版社 新潮社
ISBNコード 4-10-247212-6
4-10-247213-4
4-10-247214-2
4-10-247215-0