ブラックウォーター・トランジット


カーステン・ストラウドの「ブラックウォーター・トランジット」を読む。カーステン・ストラウドのデビュー作は1990年の「狙撃警官キーオウ」だから、久しぶりに読むことになる。以前に読んだことのある作家の久しぶりの作品というのがこの秋以来多い気がする。

ジャック・ヴァーミリオンはベトナム戦争から帰って、ブラックウォーター・トランジットという運送会社を興し、今では従業員も1800名を超える大会社となった。そのジャックのもとを元陸軍大佐のアール・パイクという男が訪ねてくる。武器コレクションを内密にメキシコまで運んでほしいというものだった。連邦法に違反する依頼だったが、ジャックはある思惑があってその依頼を引受ける。しかし、そのことがジャックを思わぬ運命に巻き込むことになる。

しかし物語は予想外の展開をみせる。あまり書きすぎるとネタをばらすことになるが、ジャック自身が警察に追われ、アール・パイクと対決することになる。そこにアルコール・タバコ・火器局(ATF)、ニューヨーク市警、ジャックの幼なじみのマフィアの大物などが絡んで先の読めないストーリーが繰り広げられる。最後にはきっちりとすべてが収まるのだが、少し強引な印象が残る。

意外な展開で読ませるが、あえてテーマをあげれば、友情と裏切り、復讐ということになるのだろうが、一つ一つは底が浅い。面白いが物足りないと思う由縁だ。


書名 ブラックウォーター・トランジット
作者 カーステン・ストラウド
翻訳 布施由起子
出版社 文藝春秋社
ISBNコード 4-16-766120-9